『森野福朗日記』~We are the MUSIC-MAKERS~

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平成16年夏の行状


★この文章は「学級通信」として書いていたものなので、表現が多少子供向けに書かれてあります。お許しを。


 長いと思っていた夏休みもあっという間に終了し、2学期がスタートしました。皆さんはいっぱい夏休みに楽しい思い出を作ったことと思います。私も短い夏休みを使って旅行をしてきたので皆さんにご紹介します。
 私は子供の時から鉄道に乗るのが大好きで、時々まとまった休みを使い、ふらっと時刻表を片手に旅立ちます。JRでは夏季・冬季・春季の長期休業中に「青春18きっぷ」というものを売り出します。これは「JR5日間乗り放題で¥11500」。但し「普通・快速列車のみ」という切符です。今年の夏はどこに行こうかな・・・。

8月18日(木)東京-(車中泊)

大変人気のある列車、快速「ムーンライトながら91号」の指定席券が手に入りました。この列車は古い特急列車の車両を使って、夜通し東海道本線を走る臨時快速です。余りお金を持っていない学生や、私のように青春18きっぷを使って旅行をする人に大変人気があってなかなか指定席を押さえるのが難しいのですが、運良く1枚手にすることができました。隣の席に座っていた若い女性の二人組は、乗り継いで四国まで行くんだって!けど青春18きっぷの旅行は初めてということで、色々アドバイス。

ムーンライトながら表示

23:55品川発。眠れないだろうと、ウィスキーをちびちびなめつつMDを聴きながら東海道本線を下りました。

8月19日(金)(車中泊)-大垣-米原-敦賀-金沢-珠洲-金沢-富山-直江津(ホテル泊)

 気が付かないうちに少しは眠れたようです。窮屈な座席で一晩を過ごすのは、いくら列車が好きでもちょっと厳しい年齢になりました。

5:55大垣着。別のホームで待っていた普通列車に乗り換え、米原を目指します。途中「関ヶ原」駅を通りました。ご存知「関ヶ原の戦い」はここであったんだねえ。

北陸本線米原駅

6:37米原着。ここからは琵琶湖の東岸沿いに日本海側まで移動します。米原発金沢行きの各駅停車。進行方向に向かって左側の席に座って、遠く琵琶湖を眺めました。敦賀からは日本海側を走ります。ちょうど通勤の時間帯でとても混んできました。私にとっては旅行の手段でも、周りの人にとっては日常の生活のための列車なんだなあと実感。前に座ったOLさんがパンを食べた後、お化粧直しをして降りて行ったのがなんだかとても印象的でした。これから仕事だろうな。平日だもんね。

9:51金沢着。ここからは能登半島を目指します。今回の旅行、能登半島を走っているローカル線「のと鉄道」に乗るのが目的のひとつでしたが、どう時刻表を調べても各駅停車だけで全線乗るのが厳しい。そこで金沢から特急バスに乗って能登半島の先っぽまで行き、そこから列車に乗って帰ってくることにしました。旅行を始めてからろくに何も食べていなかったので、バスに乗る前に名物駅弁「笹すし」を買って乗り込みました。

金沢駅笹寿司

10:20金沢駅前発。バスは特急だけあって観光用のちゃんとした乗り心地の良い車両を使っていました。席に落ち着いて笹すしをほおばっていると、そのうち日本海がバスの車窓から見えてきました。能登半島に高速道路がある事をはじめて知りました。道路に沿ってきれいな海水浴場が延々と5~6キロほど続いていました。台風が近く海が荒れていたので泳いでいる人はほとんどいなかったけど。。。

新しくてきれいな能登空港を経由して、12:51珠洲駅前着。2時間半かけて、ほぼ能登半島を縦断しました。能登半島といえば塗り物で有名な町、輪島に行きたかったのですが、昔はあった鉄道も今は廃止になってしまって、行くだけの時間がありません。

穴水駅のと鉄道

もうすぐ廃線になるかもしれないとうわさのある「のと鉄道」に乗って、まずは終点の蛸島まで行き、そこからまた金沢を目指しのんびりと戻っていきます。列車の中で暑中お見舞いをくれた担任クラスの生徒に返事を書き途中の穴水駅で投函しました。

穴水駅玉宝弁当

 特急列車を使えないので先の事を見通して列車の乗換えを考えないと距離を稼ぐことができません。すると列車の時間が優先するので、時にはゆっくりご飯を食べる時間も無い事があります。穴水駅でハガキを出して駅弁が無いかと売店をのぞいたところ、売店の人が「朝から全然売れてないから冷蔵庫にしまっといたんだけど半額でいいよ」だって。ラッキー!「玉宝」と名の付いた玉子寿司とお茶を買って車内へ戻り、遅い昼食です。

 和倉温泉、七尾とここで金沢行きの普通列車に乗り換え。もう夕方です。能登半島の温泉はいいと聞いていたので一泊してのんびりしたいところですが、今日中に新潟まで行くつもりだったのでがまんがまん。

 ここで大失敗してしまいました。お腹もふくれて睡眠も足りず、座席に落ち着いたとたん思いっきり寝入ってしまいました。途中の駅で乗り換えるつもりだったのに、目が覚めたときには「もうすぐ金沢」とのアナウンスが!ひゃあ。今持っている指定券、新潟発の「ムーンライトえちご」で東京へ戻るはずだったのが、間に合わなくなってしまいました。どうしよう。

 金沢駅で考えました。どうせ急ぐ旅じゃないしどこかで一泊して、明日の夜行で帰ろう。そうと決まれば指定席券の取り直しと今晩の宿の確保です。みどりの窓口でダメもとで聞いてみました。「明日のムーンライト東京の指定は空いていませんか?」。この列車も取ることがとても難しいんです。端末を操作してもらってあきらめつつも期待していると「ああ。2席空いてますね」。お。やった!たぶんキャンセルが出たのでしょう。これで帰りの列車は確保。もう一つ「きらきらうえつ」という新潟-酒田間のリゾート列車を聞いてみたらこれも空いていた。ラッキー!これで明日のコースが決まりました。

 なんとかスムーズに手続きができて、今晩は直江津にある格安のビジネスホテルに泊まる事になりました。台風15号が来ているので、雨の中を直江津まで移動、タクシーに乗ってホテルに着いたのが23:00。お疲れ様でした。(その2へ続く)

8月20日(金)直江津-新潟-酒田-新庄-山形-仙台-(車中泊)

雨にしぶく直江津駅ホーム

 揺れない部屋のふかふかのベッドでグッスリ休みました。台風が過ぎたとはいえ駅のホームはまだ雨でしぶいていました。風も強いぞ。直江津7:21発の快速で新潟へ。


きらきらうえつ

朝起きて何も食べずに移動してきてしまったので、新潟では万代口から途中下車して駅前にあるドトールでモーニング珈琲。旅に出るとどうってことないコーヒーが美味く感じられます。ここ新潟からは昨日指定席券がとれたリゾート快速「きらきらうえつ」に乗車。台風の影響で10分ほどおくれてからの入線。曇って薄暗いホームへ、いやに派手な車両がなんかミスマッチで面白い。駅弁とワンカップを買って乗り込みました。


飲み比べセット

このところJRではいろいろな所でこんなリゾート列車を走らせているようです。単に移動の手段としてではなく、沿線の観光地の紹介をしたり、割引券を車中で配布したり。運転台のすぐ後ろ(もちろんガラスで仕切ってありますが)には腰掛けることの出来る簡易スツールまで設置してある。単線での列車の運行が面白くて、しばらく運転手の視点から線路を眺めました。
サロンカーに行くと「飲み比べセット」なるものが!地酒好きの自分にとってはありがたいJRのご配慮。¥1050で3種類の新潟・山形周辺の地酒を提供していただきました。あ。おつまみが別売りだったのはちょっと残念。


鮭はらこ弁当

 自分の座席に戻り、昼食。新潟で買っておいた「鮭はらこ弁当」。万代口の売店や在来線のホームでは品切れだったので半分あきらめていたのですが、「新幹線の改札内だったら・・・。」と駅員に断って改札を通してもらい手に入れた貴重な駅弁。まあ駅弁なんて好みが分かれるでしょうけど、やはり自分が狙っていたものが手に入ると嬉しいです。飲み比べセットでほろ酔い加減の胃袋にワンカップと共に美味しく収まりました。


酒田スパガーデン

 あとから考えると「きらきらうえつ」の中で酒を2合以上飲んでいるのね。。。ちょっとお行儀が悪いかな。と考える間もなく寝入ってしまいました。気が付いたら終着の酒田駅のホームにすでに列車は到着していて、乗務員に「お客様。終点です」と声をかけられる始末。その乗務員の方が結構美人の女性車掌だったので目茶苦茶恥ずかしい想いをしました。。。
 ここ酒田からは内陸に入り最上川をさかのぼって新庄から山形へと移動するつもり。その前に待ち合わせの時間を利用してレンタサイクルで酒田の町を一回り。立ち寄り湯があったのでカラスの行水。

食べかけのそば

 快速「最上川」でそれこそ最上川沿いに内陸へ入ります。台風の後で濁流と化している川を車窓の右左に眺めながら新庄へ。駅にある案内スペースには周辺のガイドブックがいっぱい置いてあって、ざっと読みながら検討。時間が限られているのでゆっくり見たい所はあったけど次の機会に譲ることにしました。山形へ移動し、前に入った事のある蕎麦屋で腹ごしらえ。「板そば」といって、大きな木のお盆に蕎麦の玉がなんと12枚!無理すれば食えないことは無いけれど、半分にしてもらって天ぷらを添えて戴きました。これでも充分すぎるくらい。出来上がりの写真を撮る事を忘れてしまって、食べかけの画像で申し訳ない<(__)>.

ムーンライト東京列車票

山形で腹いっぱいになってぶらぶらと町を散歩。暗くなってから仙山線で仙台まで。途中「行く年来る年」でおなじみの「山寺」を通りますが、今回はパス。以前の冬、雪の中を掻き分け掻き分け登ったのを思い出しました。

 仙台からは昨日幸運にも手に入った「ムーンライト東京」の指定席があります。この列車は昔の電車寝台の車両を使っています。寝台を作ってはくれないけれども、訳知りの人は座席を引っ張り出してあぐらをかいていました。確かに座席のまま一晩過ごすのは大変だもんね。車掌さんもあんまりあからさまには文句を言っていませんでした。ちょっと表情が硬かったけど。

モハネ582-100

 ここで皆さんにお願い。指定席はちゃんと取りましょう!
実はこの「ムーンライト東京」の車中でトラブルがありました。隣のボックスの若い男性が車掌ともめている。耳を傾けているとどうやら指定席券を持たずに青春18きっぷだけ持って乗車してしまったみたい。知らずに乗ってしまうならまだかわいいもんですが、どうやら確信犯。理不尽な事を言いながら車掌に一晩中ごねていました。

 席を外した時にその車掌さんと立ち話になりました。
「あんな人、結構居るのですか?」
「私がこの列車に乗務するのは月2回程度ですが、若い学生さんで案外いますねえ」
「その場合、どう対処するのですか?」
「皆さん普通はちゃんと指定席券をお持ちですからねえ。規則としては次の停車駅で下車していただくのですが、この列車は次が大宮ですから…。悪質な場合は鉄警(鉄道警察隊)のお世話になります」
なるほど。「ムーンライト九州」は福島を発車すると次の停車駅は大宮。白河で時間調整の為長い停車があるのですが、業務停車で扉は開きません。

 とりあえずは眠いし、どうなるのかなあと思いつつ眠りにつきました。

 翌朝、大宮駅到着。なんか騒がしいので目が覚めたら、多分大宮駅の駅員でしょう。5~6名が隣のボックスへ乗り込んできて、例の方を引き摺り下ろしていきました。「荷物が別の車両に置いてある!」などと変ないい訳をしながらだいぶ抵抗していたのですが、あきらめが悪いねえ。。。

 その後の車内アナウンスが傑作でした。
「ただいま大宮駅で『お客様ご案内のために』列車が遅れました事を深くお詫び申し上げます」。JRも苦労するねえ。

 「ムーンライト東京」は変わった経路で東京駅へ。大宮を出た後、武蔵野線へ入り西船橋。車窓から通勤ラッシュの人々が見えてちょっと優越感。その後京葉線へ入り、ディズニーランドの舞浜駅へ停車して一路東京へ。

 東北からの帰りで東京駅京葉線地下ホーム着という変わった旅の終わりになりました。








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