堕落の天使

No3


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それから1時間後パタンと本を閉じると軽いため息を一つ零し何か思いこんだような面もちで鈴華は俯いてしまった。
暫しその姿に疑念を抱き「どうしました?」
何を聞いても彼女は応えない。
心配になり彼女の目を見る。「!」
何故かその目は酷く生気を失い焦点も全く定まらない。
『…ぁあ主よ、其処に居られるのですね今参ります』鈴華は全く別人になってしまったかの様な声色でおまけに何処かの狂信者のようになっている。
「鈴・・華?おい!おい!!」凪は無意識的に相手を女と忘れてしまっているのか力あらん限りに肩を掴み揺さぶっている。
だが、其れは逆に効果的だったのか「・・ぁえ?」
「(ふぅ)・・・よかった」彼は安堵の息を零し彼女は焦点の定まらない目を泳がせながら凪の方を見る。
そして「ぁの・・」
「え?」
「痛い」
「あ″!ごめん」パッと申し訳なさそうに即効で手を離しふと
(肩…細いな)などと深々考えしばし己の手を見て何を頭に見たのかブンブンと振り困惑していた。
「??何々?私一体なにしたの?…もしかして、凪サンを辛い目にあわしちゃった…?」哀しげな瞳に魅入られらしくもなく頬を紅潮させしどろもどろになっている様はイヤに滑稽だ。
「ンな事はない…ただ…」
「ただ?」そこでやっと冷静になれたのか
「ただ…なにかに取り憑かれてしまったかのようになっていただけだよ」
「そんな…」青ざめ信じられないと言った顔でしばし俯きやがて、
「ごめんなさい」そう言い深々と頭を下げ
「私、なにも憶えてないんです」
「ぅそぉ??」唖然とし彼女の貌を見開いた目で見てみたが、相変わらず何があったのか解らないと言う顔でキョトンとしているだけだった。
「でも…今ちょっと思った、この本は神様のお言葉ぢゃなかった。」
「なら…?」

「堕天使の戯言か悪魔の甘美な呟きか」

「「!?」」ハッと彼は背後からの声に反応しやがて
「…・・イブ」
「新しい子?…貴方の名前は…「ぁ」大丈夫。鈴華ね…よろしく」
彼女の声は甘い媚薬のような慈愛も重ね備えている、そんな不思議な声音だ
「?どうして知ってるんですか?」
「イブは、俺と珠洲樺.もう一人の。その頃からのつきあいだから」
「へぇ。で、イブさんは本名ですか_?」
「「・・・・」」二人は暫し見合い黙ったが
「ええ。神に頂いた生涯の恋人よ」
「で、イブ。今日は何のようで此処へ?お客かい?お茶中としてかい?」
そう聞くなり「あの本が其処にいま蘇った。」
「……はっ。嘘だろう?」冷や汗を背筋に流れたが凪は信じまいと否定したが彼女の言葉で眼は現実を据える
「否定をすることを咎めない。けれどこれは据え置かなければならない痛心の事実」
「…んな…」
「先程、彼女に異変が生じたと想うけれど違わないでしょう?」其れを言われ厳しい現実を否応なく突きつけられた。
「まさか・・嘘も対外にして「嘘でこんな事言わないわそれに過去だって訊かない」
「くっ・・・・」
「ぁの?私なにをしましたか?」
「そうね.貴方のお陰で再びこの本にであったのだから」「え?」
「ほんとに、あなたはあの人にそっくりねぇ・・想い出すわ」そう囁くような声で遠い日を見据える様な眼差しで何処かを見つめている姿は哀しいモノを想うそんな出で立ちだ。
「イブ、話そう。あの日此処で何があったのかを」
「…そうね」

nexst?



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