堕落の天使

No6


Power

その日は、あの話を聞いた日から早くも一週間はたとうとしていた頃。その頃は既に鈴華へ基礎的な力は身に付いていた。
「本当に上達が早い。流石と言っても良いでしょう」彼女は汗1つかかず武術稽古をこなしつつ言う。
「いいえ。まだまだと欲を言っています」
相手をして貰っている少女は粒の汗を幾つも額に滲ませながらそう言った。
「そうですね。躰は正直なのでしょう、ですがひとまず此処で休憩を挟みましょう。そのまま続けてしまえば」
「なんでしょう?」
「私も汗をかいてしまいます」
「あ」そう、少女,鈴華はジャージといういかにも練習的な格好吸収性満天なのに対しイヴは西洋人形を思わせ、尚悪魔の様な漆黒を使ったドレス(本人はワンピース)だったから。俗に言う(『ゴスロリ』だが。)
「さぁ。紅茶でも如何ですか?」其処へ凪がいつものようにお茶セットを持ってきた。
「調子はどう?イヴ」やんわり問う凪
「ええ。やはり鈴華は上達のスピードが並ではないわ。この先が楽しみね」
「そんな…。私はイヴさんの指導力で此処まで来たんですから」その評価を消すように手をばたつかせて講義する鈴華。
「でも、肉体術の発達が此処まで早い人は前例を見てもやはり彼女しかいないのよ?貴方は産まれながらの才能ね」
「それに、俺の教える魔術の方も基礎はほぼ完璧だ。これ程凄いヤツはイヴしか見たことがない」
「そんな…其処まで誉められてしまうと」其処で区切ると
「私…茹で蛸になります」

・・・・・・

-ぷっ

誰と無く吹き出し笑いを零し爆笑へとなった。
「さて、そろそろ稽古するかい?」そう鈴華へ問うと、笑み「はい!」
と元気良く返事をした。
「この前の復讐はした?」
「もちろんです」
「じゃあ…俺の攻撃を全部防御で防いで」ニコッと笑んで凪。
「防御でですね。」真剣な面もちで鈴華
一刹那の沈黙の後

ボンと言う爆破音と共に膨大な粉塵が舞い上がりその中から土の刃が昇り龍のように鈴華めがけて飛び出し、そのまま彼女の胸元を貫こうとした瞬間、微かに口元を動かしたと見え其処へ目に見えない壁が現れた
「!ふ~ん」目を細めバッと龍を作り出した腕を空めがけ高く付き伸ばしその壁を潰しにかかる。
「!」フッと笑んで腕で満月を自身の前に描くと同時に壁,風を巻き起こし粉塵を完全に消し去り龍までも粉塵に変え
「なっ・・」瞬間凪は居た場所から数十メートル先へ跳んだ。

再び刹那の沈黙

「凪の負けね」 イヴがティーカップを置くと同時にそう零した。
「勝ったんですか…?」その鈴華が呆けたように言ったと同時に、凪が笑った。
「参った。まさか、こうも早く鈴華に負けてしまうとは」笑ってはいるがその格好は結構な有様だった。
白いYシャツは土煙に汚れ黒ジーパンも若干のほつれが生じ何より整っていた髪の毛がグシャグシャになってしまっている。
「ほら、凪こっちいらっしゃい?折角の髪型が乱れてしまっているわ」
優しく諭すイヴにされるがままになっている姿は何とも微笑ましい。
「でも…、どうしてこんなにも早く力をつけなければいけないのですか?」鈴華がふと零した疑問にも不思議な明るさで「ん?小さなゴミがこれから現れるかも知れないからさ」と答えられた


其れが現実となったのはこの日から二月後だった…-


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: