三匹の侍






三匹の侍(さんびきのさむらい)


むかし、むかし、

ゴルディロックス(配役:レディ・ガガ)という名前(なまえ)の小(ちい)さな女の子(おんなのこ)がいました。

ある日(ひ)、ゴルディロックスはいつものように一人(ひとり)で森(もり)の中(なか)で遊(あそ)んでいました。

でもその日は、いつもより遠(とお)くへ来(き)てしまいました。

そこで、見(み)たこともない変(か)わったお屋敷(やしき)をみつけました。

本当(ほんとう)はいけないことですが、ちょっと、窓(まど)から中(なか)をのぞいてみました。

するとやはり中も変わった部屋(へや)で、誰(だれ)もいませんでした。

本当はいけないことですが、勝手(かって)に玄関(げんかん)の戸(と)を開(あ)けようとしてみました。

すると、鍵(かぎ)が掛(か)かっていなくて戸は開きました。

本当はいけないことですが、ゴルディロックスは勝手にお屋敷の中へ入りました。

すると、テーブルの上に三人分(さんにんぶん)の食事(しょくじ)が用意(ようい)してありました。

右(みぎ)の食事は、

玄米粥(げんまいがゆ)に鯵(あじ)の干物(ひもの)と梅干(うめぼし)

でした。

本当はいけないことなのですが、おいしそうなので、ゴルディロックスは粥(かゆ)をひとくち食(た)べてみました。

でも、とても熱(あつ)くて食べられませんでした。

真ん中(まんなか)の食事は、

粟(あわ)ご飯(はん)に蜆(しじみ)のおすましとめざしとたくあん

でした。

本当はいけないことなのですが、おいしそうなので、おすましをひとくちすすってみました。

でも、冷(さ)めていておいしくありませんでした。

左(ひだり)の食事は、

麦ご飯(むぎごはん)に小鯛(こだい)の塩焼(しおやき)とお煮(に)しめと蛤(はまぐり)のおすまし

でした。

本当はいけないことなのですが、おいしそうなので、おすましをひとくちすすってみまし
た。

ちょうどいい熱さだったので、全部(ぜんぶ)飲(の)んでしまいました。

他(ほか)のおかずも口(くち)にあいました。

お腹(なか)がいっぱいになったゴルディロックスは、まわりを見回(みまわ)すと、床の間(とこのま)に三つのiPod nanoが並んでいました。

そこで、本当はいけないことなのですが、右から順番(じゅんばん)に勝手に聴(き)いてみました。

右のiPod nanoからは、

中山優馬(なかやまゆうま) with B.I.ShadowやKis-My-Ft2やSexy Zone

が聴こえてきました。

ゴルディロックスにはしょんべん臭(く)さすぎました。

真ん中のiPod nanoからは、

SHINeeやSecretやAFTERSCHOOL

が聴こえてきました。

ゴルディロックスは韓流(はんりゅう)に対(たい)しては中立的立場(ちゅうりつてきたちば)だったので聴くのをやめました。

左のiPod nanoからは、

あやまんJAPANや羞恥心(しゅうちしん)や「マルモのおきて」オリジナル・サウンドトラック

が聴こえてきました。

のりのりになったのでヘッドフォンをかけたまま「まるまるもりもり」しながら、別(べつ)の部屋に行くと、寝室(しんしつ)に三組(さんくみ)の布団(ふとん)が敷(し)いてありました。

本当はいけないことなのですが、右から順番に勝手に布団をはがしてみました。
右の布団には、

実物大(じつぶつだい)、松田聖子(まつだせいこ)のプリントの抱(だ)きまくら

が入っていました。

ゴルディロックスは誰(だれ)だかわかりませんでした。

真ん中の布団には、

実物大、蒼井そら(あおいそら)のプリントの抱きまくら

が入っていました。

ゴルディロックスは誰だかわかりませんでした。

左の布団には、

実物大、松本潤(まつもとじゅん)のプリントの抱きまくら

が入っていました。

本当はいけないことなのですが、ゴルディロックスはその布団に勝手にもぐりこみました。

そしてそのうちすっかり眠(ねむ)ってしまいました。


しばらくして、三匹の侍(さんびきのさむらい)がお屋敷に帰(かえ)ってきました。

柴 左近(しば さこん=配役:丹波哲郎)

桔梗 鋭之介(ききょう えいのすけ=配役:平幹二朗)

桜 京十郎(さくら きょうじゅうろう=配役:長門勇)

の三人(さんにん)です。

ところが玄関の戸が少しあいているのに桔梗が気(き)がつきました。

桔梗は口に人さし指(ゆび)をあて、危険(きけん)を他の二人にしらせました。

三人は刀(かたな)に手をかけ、お屋敷に跳(と)びこみました。

「せっしゃの粥の椀(わん)の位置(いち)が違(ちが)う」

と、柴が言(い)いました。

「ワシのおすましも誰(だれ)かがさわったようだ」

と、桔梗も言いました。

「オラの飯(めし)は全部くわれておる、じゃがまだ遠くには行っておらん」

と言って、桜はまわりの気配(けはい)をうかがいました。

すぐに、

「ん? 誰かせっしゃのお気に入りのジャニーズ・ニューフェイスのiPod nanoをさわったな! 斬(き)る!」

と、床の間の前(まえ)で神妙(しんみょう)な顔(かお)で、柴が言いました。

「ワシの宝物(たからもの)の、韓流2011ベストコレクションもさわられておるぞ! 斬る!」

と、桔梗も肩(かた)をふるわせて言いました。

「ありゃ、オラの命(いのち)より大切(たいせつ)な、大人(おとな)のセレナーデ入(い)りのiPod nanoがなくなっておるわ! 絶対(ぜったい)に生(い)きては返(かえ)さん!」

と、桜が拳(こぶし)をつくり、泣(な)きそうな声(こえ)で言いました。

「散(ち)れ!」

柴の合図(あいず)でめいめいに屋敷をさがしていたが、やがて桔梗がなにかを見(み)つけたように、他の二人(ふたり)に無言(むごん)で手招(てまね)きしました。

「せっしゃの布団がはがされ、愛(あい)する聖子ちゃんがむき出(だ)しになっておるわ! 斬るっ!」

と、柴のささやくような声には強(つよ)い怒(いか)りがこもっていました。

「あれ、ワシのそらちゃんにも誰かがいたずらしやがったな! ううっ、このカタキは必(かなら)ずとるっ!」

と、桔梗がからだをふるわせて言いました。

そして、

「お、オラの布団に、だ、誰かいるっ! オラの、オラの、松潤(まつぢゅん)がっ! 斬るっ!」

と、桜が言うように、左の布団が盛(も)りあがり、端(はし)から、かみの毛(け)が見えていました。

三匹の侍はそっと刀を抜(ぬ)き、かまえながら、左の布団をかこみました。

でも、ゴルディロックスはヘッドフォンで音楽(おんがく)を聴いているので気がつきません。

「だ、誰じゃっ!」

と、桜が布団をはぎとると、

寝(ね)ていたゴルディロックスは眼(め)をさまし、三人を見て、

「ぎゃー!」と声をあげました。

それにびっくりして、桜も、

「ぎゃー!」と声をあげました。

二人の声にびっくりして、桔梗も、

「ぎゃー!」と声をあげました。

みんなの声にびっくりして、柴も、

「ぎゃー!」と声をあげました。

その隙(すき)をみて、ゴルディロックスは、布団からとび出して玄関に走(はし)りました。

そのまま、お屋敷を出てすばやく森の奥(おく)へ逃(に)げていってしまいました。

「オラのiPod~!、せめて松潤を~っ!」

と、桜は片腕(かたうで)をのばしひざを落(お)としてさけびつづけました。


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