お気楽毎日

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12/2 ファントマ えん魔版曽根崎心中



一昨年in→dependent theatreで見た曽根崎心中の再演。
あの時は狭い会場、まん前で繰り広げられるフジモ徳兵衛とあわお初の恋物語に幻惑されました。
二人のラブシーンにドキドキして、フジモにぼーっとなったことを思い出します。
今回はHEP HALLでの再演。そして、あわさんのファントマ最終作となります。

あらすじ
天満屋の遊女お初と身持ちの固いと評判の手代徳兵衛は人目を忍ぶ恋仲。
苦界を倦んだお初が首をくくろうとしていたところに徳兵衛が通りかかり、諭したことが二人の出会いであった。
お初を身請けしようと懸命に働きやっとためた金を徳兵衛は友人の九兵衛が商売のお金を落としてしまって困っていたのを助けるために貸してしまう。
しかも世話になっている叔父からは姪との結婚を勧められ、お初のこともあり断ると勘当され、持参金に母親に渡したお金を返せとせまられる。母親のところへ行くともう持参金は使ってしまった後。
九兵衛が落としたお金は油屋から九兵衛の手元に戻り、九兵衛は手に入れたお金の誘惑にまけ、徳兵衛からの借金を踏み倒し、借金の催促に来た徳兵衛を借金の証文を偽造したとして告発する。
九兵衛とその取り巻きから暴行を受けた徳兵衛は重傷を負ってお初のところへ。
そこにやってきた九兵衛はお初を身請けするという。実は徳兵衛とお初が恋仲になる前からお初に恋焦がれていたが、何の金もない手代だったのでどうしようもないとあきらめていたのだ。徳兵衛から巻き上げた金でお初を身請けしようとする九兵衛。
お初は「一生私は徳兵衛さまのおんなです!」と言い切る。
お初の足元に隠れていた徳兵衛はそれを聞いて、心中を決意。二人で遊郭を抜け出す。
油屋から呼び出しがかかった九兵衛は落としたといっていた証文に押したはんこが自分の手文庫から出てきて、嘘がばれ、お店の信用を考える油屋に始末されてしまう。
そんなことを知らない二人は曽根崎の森で互いをしっかりとしばり、手に手を取って死出の旅へー。

徳兵衛が藤元さん(以下フジモ)verと上瀧さんver.があるのですが、他の見た人々の感想を見るとフジモver.の方がよかった!という声が多かったです。
でも、私は上瀧さんver.の方がスキでした。
それは、前回フジモver.を見ていて、もう散々ドキドキした後だったからというのもあるとおもいますが、私がぼんやりと曽根崎心中に抱いていたイメージに近かったからです。
以下私見ですが・・・。
フジモver.は大人の恋って感じで、フジモが大人なんです。フジモは苦界で働くお初を愛し守り、お初は頼れるフジモによりそって、愛して、愛しすぎて、死んでも一緒にいるんだと。
フジモの「お前がひどい目にあうのはごめんや、だけど、お前と引き離されるのもごめんやな」っていう言葉がすごく沁みます。多分フジモ徳兵衛はお初を愛しているということをあまり口に出さないような気がするから。後ろから抱きしめたり、顔が常時近かったり行動には出しまくりだけど(笑)。
だから、フジモ徳兵衛はお初を連れて行こうと、お初はついて行きたいと言った感じ。
もし心中の前に濡れ衣が晴れたら、魅かれ合う二人はなんとか一緒になって、いい夫婦になったろうな。

上瀧さんver.は上瀧さんがさわやかな青年なんです。お初さんはぼくが守らなくちゃ!みたいな(笑)。お初はそんな徳兵衛に大事にしてもらえるのがうれしくてならない感じ。
フジモ徳兵衛に比べ、お初への接し方もやわらかで、フジモが後ろから抱きしめていたのが、上瀧さんはそっと肩に手を置いてた(笑)。
それに比べて、フジモ九兵衛のエロ悪いこと。
九兵衛は浅野さん、橋田さん、フジモと3人見ましたけど、一番悪かったです。前の二人が徳兵衛と自分の欲望の間で最後まで迷っているのに対し、フジモ九兵衛は裏切るとなったら容赦ない。完全にスイッチをパンって切りかえたように徳兵衛への友情は今まで抑えていた劣等感から来る憎しみに変わっていました。
嘘がばれた時も、浅野九兵衛は少しほっとした感があったのです。やはり悪いことは出来ないな、お初、幸せになってくれ。みたいな感じ。
だけど、このフジモ九兵衛は最初に悔しさが感じられましたもの。もう少しでお初を手に入れられるところだったのに、って。徳兵衛に関してはもう眼中にない感じ。
浅野九兵衛はもしお初が手に入っても、お金で転ぶお初を愛し続けられたか?って思うと疑問だけど、フジモ九兵衛はきっとお初を手に入れた自分の力に満足して自分のものにしたお初と満足して暮らしていけたろうな。浮気しても俺が力あるのに、何が悪い?って開き直りそう。
その分上瀧徳兵衛がいい人に見えました。あんな狂っちゃった人を「わからんでもない」ってどんだけいい人やねん。
そんな上瀧徳兵衛が抜き差しならない状態に陥って、心中するとなった時、「お初、つらいか?生きていたいとは思わないのか?」って聞くんだけど、フジモ徳兵衛に比べて、上瀧徳兵衛は本当に聞いている気が。うまくいえないのですが、フジモ徳兵衛が心中の意思を確認しているのに比べて、上瀧徳兵衛は心中の意思を質問している感じ。フジモ徳兵衛がお初に「心中するのはお前を苦しめていないか?」って聞いているのに対し、上瀧徳兵衛は「本当に一緒に死んでくれるの?」って聞いてる感じ。もし、お初が「そうね、もう少し生きていたいかも」って言ったらにっこり笑って、そうか、じゃあがんばれよ。っていいそうな感じがしました。
そんな上瀧徳兵衛にお初は「この人を一人に出来ない。私が一緒に行かないとかわいそう。」って思った気がしました。あくまで私見ですよ、私見。
で、なんだかぼーっと私が思っていた曽根崎心中に近い気がしたんです。いうなれば、おとぎ話のような若い恋。いろいろ掛け金が違って、心中することになっちゃったけど・・・。一つ違えば徳兵衛とお初が上手くいかなくなる可能性もあったし、心中することにならなくても、添い遂げたかどうかはわからない感じ。ロミオとジュリエットみたいな…。

まあ、2バージョン見たのでつらつら物思いにふけってぐだぐだと書いちゃいました。

フラッシュバックする好きなシーン
【1】 やっぱり最後のシーン。お初を抱きかかえて徳兵衛が前を見据えて刀をくわえて鞘を払ったところで暗転。何回見てもため息が。
【2】 お初が「お薬や」といって、怪我した徳兵衛にチュッとするところ。何回見てもドキッとします。
【3】 フジモ九兵衛がお初に対する欲望をむき出しにするシーン。「九兵衛、わっるー」と思いましたなあ。
【4】 お糸ちゃん(笑)。

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