From 歌姫さん



バトルっ!

今ではないどこかで。
コンピュータが反乱を起こし、
街に狂った機械があふれる。
そんな中で、今日も人々は『生』をかけ、
走り、戦い、そして―――――――――――
「こんの、どあほうっ!」
怒鳴る。
「きっさっまはバカか、アホか、その首の上の物はただの飾りか~っ!?」
「うわあ!ごめんなさいすみません俺が悪かったです~っ!
だから槍の先をこっちに向けないでーっ!」
「問答無用!」
「きゃーっ!リゲル落ち着いて!今はこの状況をどうにかするほうが先よー!」
「わかっている!わかっているがこいつを一発突かんことには気がおさまらん!」
「だから俺が悪かったって―っ!!」
「…結構余裕だな、おまえら…。」
わーわー、きゃーきゃーと騒ぎながら走る4人。
後ろから、山のような数の機械兵が追いかけてきている。
「だいたい、カストルが、あんないかにも怪しげなスイッチを押すのが悪い。」
「そうだろうっ!」
「アーク、リゲルをあおらないで!」
アークと呼ばれた黒髪の青年は、無表情な黒い瞳を呼んだ少女に向ける。
「だまって聞け、スピカ。」
「はい…。」
スピカと呼ばれた茶髪の少女は、怖いようといいながらアークから離れた。
「と、いうわけで、リゲルが起こるのも無理はない。」
「あ、アーク!」
金髪の少年が慌てる。
「だまれカストル!…で?まだ続きがあるのだろう?アーク。」
リゲル、と呼ばれていた少女が、先を促す。
「ああ。だが、スピカの言うとおり、今はこの状況をどうにかするほうが先だ。」
「いつまでも鬼ごっこしてるわけにもいかないもんねえ。」
「げ、さっきより増えてやがるし…。」
カストルが、後ろを振り向いて言う。
「そう。だから、その怒りをやつらに向けて、この状況をどうにかしてくれ。
カストルの責任追及はその後だ。」
「………………………………………………言いたいことはそれだけか?」
「?ああ。」
「…最初からそう言えばいいだろう…。」
「それだけでは納得しないだろうと思ってな。」
「…もういい。貴様の話をまじめに聞こうとした私がバカだった。」
リゲルは大きくため息をつくと、突然止まって振り向いた。
「でもまあ、その案には賛成だ。いい気晴らしになるだろうからな。
暴れさせてもらうぞ!」
そして、手に長槍を持ち直し、その紫の瞳をカッと見開いて、
敵の群れの中に突っ込んでいった。
「あらら。」
「行っちまった…。」
スピカとカストルが立ち止まって言うと、アークは剣を鞘から抜いて言った。
「何をボケっとしている。俺たちも行くぞ。」
さらりと言われて、カストルがため息をつく。
「やれやれ。喧嘩っ早いこと。」
「もともとはカストルが悪いの。」
「うっ…わ、わかってらあ!」
言い返したカストルは、肩に担いでいたバズーカ砲にようなものを構える。
「あれ?今日はつっこんでいかないんだ?」
「今日は後方支援の気分なの。」
「一応、責任感じてるんだね。」
「うるせえ!」
ぶつくさ言いながら、カシャンと弾を装填し、狙いを定める。
「行け!ファイアー!」
そう言いながら引き金を引くと、炎の弾がどおんっとでる。
「ほら、行っといでよアーク。そんなところで突っ立ってないでさ。」
「…しかし。」
「大丈夫。自分の身くらい、自分で守れる。
だから、リゲルの手伝いしてきてあげて。」
「…すまない。…頼む。」
そして、言うが早いか風のように敵の方へ走っていった。
「それじゃ、私も。」
どこかうきうきとスピカが言い、銀色に光る弓に、矢をつがえる。
「…裂け。」
ぽつり、と呟かれたと同時に放たれた矢は、リゲルを襲おうとしていた
機械兵に命中した。
リゲルが、ぶんと槍を大きく上で振る。
彼女なりの、感謝のしるしだ。
「よっし、がんばるぞー!」
スピカは、自分自身に気合を入れるようにそう叫んだ。

「ふう…。」
どれくらい時間が経っただろうか。
敵の数も、だいぶ少なくなって来ていた。
スピカは、その紺色の瞳であたりを見回し、少し疲れたな…と呟く。
リゲルは、藍色の髪を振り乱して走りながら暴れているし、
カストルの姿は見えないが、砲撃の音がする。そう遠くはない。
一番近くにいるのはアークだが、
3体の敵を一度に相手にしていて身動きが取れないようだ。
そんなアークを助けようと、弓に矢をつがえ、狙いを定めていると。
ふと視界が暗くなった。
あれ、と思い、振り返れば。
目の前に機械兵。

頭が真っ白になる。
機械兵が振り上げた武器が、自分に襲い掛かってくるのがスローで見える。
動けない。
誰かが、悲鳴のように自分の名前を呼ぶのが聞こえた。
ああ、私、死んじゃうのかな。
他人事のようにそう思う。
視界が。
黒く染まる――――――――――――――――――――――

「スピカっ!後ろだっ!」
リゲルの声に、スピカのほうを見る。敵に襲われていた。
「くっそお!」
慌ててカストルが駆け出そうとするが、敵に阻まれてしまう。
リゲルのほうも、隙あり、とばかりに敵がいっぺんに襲ってきて、
スピカから遠ざかってしまう。
「あ、おい、アークっ!!」
カストルの焦ったような声が聞こえる。
無視して、走り出していた。
「疾風のアーク」と名高い自分のスピードが、
このときばかりは遅く感じる。
早く、速く。
彼女のもとへ。


「ぐはっ…。」
視界を覆っていた黒が揺れる。
「……へ?」
生きてる…と、呆然とスピカが呟く。
目の前で揺れている黒の正体が、‘誰か’の髪だ。と気がつく。
その‘誰か’は、大剣を振り上げ、機械兵を切り裂いた。
あ、この人知ってる。えっと…
それから、ぐらり、とスピカのほうへ倒れてきた。
「!!アークっ!」
とっさにアークの体を支えるが、
体格が違いすぎる。一緒に倒れてしまった。
「いたた…大丈夫、アー…っ!!」
彼に声をかけようとして固まる。
血がだくだくと流れている。
「…アークっ!!」
悲鳴のような、スピカの声が響いた。

スピカの叫び声が聞こえると同時に、雷の弾を撃ち、敵を倒す。
倒れていく機械兵の向こうに見えたのは。
倒れているアークと、アークを揺さぶっているスピカ。
アークの胸の辺りは、真っ赤に染まっている。
「っ!!」
声にならない悲鳴が、自分の口から漏れる。
スピカを狙っていた機械兵に気付いて引き金を引く。
ほとんど無意識の行動だ。
音をたてて機械兵が倒れる。
スピカは、アークを揺さぶり続けている。
走り寄ろうとする。
が。
「そっこを動くなバカ男っ!!」
後ろから聞こえた怒号に、一瞬動きを止める。
その一瞬のうちに、背中に軽い衝撃。
リゲルが、カストルを踏み台にして、ジャンプしたのだ。
「…人を踏み台にするなよ…。」
ぼそっと言うが、感謝はしている。
混乱していた頭が、少しすっきりした。
リゲルは、スピカの近くに着地している。
スピカは、それにも気がついていない様子だ。
自分のすべきことは何か。
瞬時に考えて、結論を出す。
リゲルとスピカの護衛。
「…死ぬなよ、『疾風のアーク・トゥルス』!!」
強く言い、カストルは引き金を引いた。

マズイな。
カストルの背中を踏み台にしてジャンプし(少し、悪かったと思っている。あとで
謝っておこう)、
アークとスピカのそばに着地して、リゲルが最初に思ったことがそれだった。
アークの状態も、まったくもってよくない。
しかし、それ以上に問題なのが。
「どうしよう…どうしよう…。」
さっきからこればかり繰り返し、アークのそばにへたり込んでいるスピカである。
たぶん、リゲルがそばにきていることにも、気がついていないのだろう。
とりあえず、アークの応急手当(といっても、止血するだけ)をすませてから、
スピカに話し掛けてみる。
「おい、スピカ。」
「どうしよう…。」
「スピカっ!」
強く呼びかけてみても、全然だめ。
反応なし。
仕方がない。
リゲルは、ため息をつくと、
何を思ったかスピカの頬をおもいっきりひっぱたいた。
「っ!?」
「落ち着け、スピカ。」
「あ…リ、ゲル、アークが、アークがっ!」
リゲルがいることにやっと気づき、すがりつくようにして言うスピカ。
目には、大粒の涙がたまっている。
「大丈夫だ。まだ死んではいない。危ない状態だが。」
さとすように言い、スピカの頬を両手でつつむ。
「でも…私のせいだ…。」
「ちゃんと謝れば、許してくれるさ。」
「けど、もし、アークが死んじゃったらっ!」
「だいたい!」
大声で、スピカの言葉をさえぎる。
驚いたようにスピカが目をみはり、涙が頬にあてたリゲルの手をぬらすと
同時に、どこかで砲撃の音がした。
カストルが、どこかでまだ戦っているはずだ。
「だいたい、アークがこの程度で死ぬような男だと思うのか?」
すこしおどけてそういうと、スピカは、ふるふると、小さく首を横に振った。
それから、涙でぐじゃぐじゃの顔をぬぐって、
今度ははっきりと、首を横に振った。
「思わない。」
「だろう?だったら、ここは私にまかせて、カストルの手伝いにまわってくれ。
できるだけ早く、こいつの手当てをしないとな。」
「わかった。」
スピカは、笑顔で頷いた。

「せいっ!」
気合を込めて、矢を放つ。
「リゲル~、全然減らないよお~。」
「言うな。言ったら、余計に面倒くさくなる。」
まじめな顔をして言うリゲルに、はあい。と前を向きなおす。
壁となった機械兵たち。
これだけうじゃうじゃいると、味方の動きが邪魔になるらしい。
先ほどから、攻撃はしてこない。
「まったく…こんな時にカストルはどこ行ったのよ…。」
呟くが、本人がいないので答えが返ってくるはずもなく。
ちらり、と、後ろを振り返る。
反対側の敵たちを相手にがんばるリゲルと、
まだ意識の戻らないアーク。
このままではまずい。
医学の知識のないスピカでも、そうわかる。
でも、この状況をどうにかするって…。
リゲルに見つかったら怒られるので、こっそりため息をついたスピカだった。
と。
厚い(敵の)壁の向こうで、爆音と、タイヤの回る音。
「この音…。」
「車…?」
リゲルが呟くのが聞こえる。
爆音は、カストルのせいだろう。
しかし。
「車…?」
いったい、どこから持ってきたのだろうか。
敵の壁がくずれる。
「リゲル!スピカ!」
「カストル!」
「どうしたんだ、その車…。」
「いいから、早く乗れっ!」
確かに、今はそんなことを気にしている場合ではない。
スピカは、リゲルとうなずきあうと、敵に向かって、矢を放ち始めた。
「カストルっ!アークを運ぶのを手伝え!」
「了解っ!」
アークを運びこみ、リゲルも乗ったあとで、カストルが叫ぶ。
「スピカっ!乗れっ!」
敵の攻撃をよけた勢いで、そのままひらりと車に飛び乗る。
カストルが銃をかまえて言う。
「じゃあな。」
そして、引き金を引く!
ものすごい爆音が響いた。
あとに残ったのは、車の走り去る音と、煙だけだった。


 本当に歌姫chanの小説ゎすばらしいです☆
 なぉ、この小説の更新は未定です★持ち出しは×!!

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