happy coming

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 赤は血や炎を思わせるせいか、熱い、つらい、華やか、痛みなどという生理的な感覚にかかわる言葉、また、命、エネルギー、自己主張という激しさや強い生命力など高揚した心理と結びつきやすいものです。赤という色は誰が見ても強い印象を受ける色なのです。何かを強調して表現したい時、人は赤を使います。例えば、授業のノートで大切なところには赤で印をつけたりしますし、割引商品に赤札をつけたりします。また、交通信号や消火器にも赤が使われていますね。赤という色を表現するとしたら「生命力が奮い立つ状態」ということになるでしょうか。赤は人を奮い立たせたり、戦闘態勢を引き起こさせたりする交感神経の働きと見事に重なり合います。ここに、人間が求める赤という色の本質があるようです。例えば、柔道のヤワラちゃんのトレードマークは髪留めのリボン。彼女はピンク色が好きで、7,80本ものピンクのリボンを持っているらしいのですが、1997年の世界選手権の選考会を兼ねた大事な大会に、怪我で満足に練習をできない不安な状態で大会に臨まなければならなかったとき、彼女の髪に結ばれたのは赤いリボンでした。
 次に青の心理を見てみましょう。赤や橙などの暖色系の外に向かう動的なイメージとは反対に、内側へ、あるいは中心へ向かう静かなエネルギーを感じさせるのが青色です。確かに大いなる海や広い空を見ていると、心がだんだん静かになります。そこには、自分だけの世界を求めようとする心の動きがあるのです。人は心のエネルギーが内側へと向かうときには、暖色系よりも寒色系の方が落ち着くのです。例えば、ピカソが親友の自殺にショックを受けた直後に書き上げた『人生』という作品は、まるで改定に浮遊するかのような感じです。
 さて次は白です。白はすべての色光を反射する色です。よく「頭が真っ白になった」という言葉があるように、感情や意識が漂白されたような非日常的な状態に伴って選ばれることがあります。また放棄と新生。この両極の心理状態にあるとき、人は白に惹かれるのかもしれません。古代から日本において「白」は、浄土や禊(みそぎ)の色として、中でも神事には欠かせない色でした。たとえば神社のしめ縄やおはらいの御幣、また、新年には白い鏡餅を飾ったりします。武道における胴着の白などは、精神集中や瞑想効果など心理的な浄化作用を促す色とされてきました。
 最後に黒を紹介しましょう。人は黒に対してコンプレックス、葛藤、反抗など、マイナスのイメージを抱いているようです。しかし、自らが黒を選ぶ時には精神的な不安を発散する治療効果というプラス面ももっています。たとえば、正装に黒が多く使用されるのは、自分を確立しようとする凛とした強さとつながっている気がします。

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