「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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山さんの刑事部屋
2
『ブラザーブラッド』
登場人物表
柿原 衛(二六)男性。銀行員。
沢城 武(二八)男性。衛の兄。
能登 奏(二〇)男性。フリーター。
中村 慎吾(三〇)男性。衛の同僚。
中村 麗華(二八)女性。慎吾の妻。
稲田・・・男性。衛の上司。
阪口・・・男性。衛の同僚。
野島・・・男性。奏のお目付け役。
洪/成/元・・・すべて男性。野島の友人。
ミヤビ・・・女性。ガールズバー店員。
ロクさん・・・男性。監視員。
福山・・・男性。外交官。
エルンスト・・・剣士。ゲームキャラ。
メロディ・・・聖女。ゲームキャラ。
●闇
泥のように重い常闇。
子供たちの声が深淵から立ち昇る。
衛「やばいよ、ひかれちゃうよ」
武「慌てるなって。こうやって、しっかりと
くっつけとかないと」
衛「おにいちゃん、来た、来たってば!」
衛少年の悲壮な叫び。
大気を震わす凶暴な轟音が接近する。
●アルジェントタウン・郊外の森
朝に溶けるように薄れゆく闇。
メロディ(声)「起きて、起きてってば」
エルンストの視界を流れる雲。
まるで満腹したレヴィアタン。
雲を遮るように覗き込むメロディ。
メロディ「いつまでダウンしてんの。催眠の
効果なんてとっくに切れてるでしょ」
エルンスト「ああ・・・ホントだ」
確かめるように手をグッパー。
よっこらしょと上体を起こして。
振り向くと、正座した華奢な太腿が。
エルンスト「もしかして膝枕?」
寝ぼけまなこをゴシゴシ。
メロディ「エルフのお膝の上で夢を見ながら
回復できるなんて贅沢にも程があるよね」
エルンスト「面目ない」
メロディ「それに油断しすぎ。ベアードの眼
をまともに見る?普通」
エルンスト「だって、町の近くにあんな大物
が出て来るなんて思わないじゃん普通」
メロディ「それはそう」
平和な青空を見上げるメロディ。
聖女のフードを風になびかせて。
怠そうに立ち上がったエルンスト。
剣士の装具がガチャガチャ。
メロディ「ねえ、エル」
エルンスト「何かな、メロ」
メロディ「やっぱりあの噂本当だったんじゃ
ない?」
エルンスト、暫く考えて思い当たる。
エルンスト「いやいや、それは有り得ないよ。
ネクタル中毒者の戯言だって」
メロディ「戯言で切り捨てられる?」
エルンスト「切り捨てられるさ。このゲーム
システムを作ったのが某国政府の諜報機関
だとか、本当の目的はこの国の平和的侵略
に向けたシミュレーションだとか、ベータ
テストに参加したゲーマーが秘密を知って
消されたとか、陰謀論や都市伝説にも至ら
ない電波な与太話だよ」
急な早口を手で押し止めるメロディ。
メロディ「どーどーどー。それじゃないって。
むしろその戯言が初耳なんだけど」
エルンスト「え、知らない?」
通じなくて残念がるエルンスト。
思わず笑いそうになるメロディ。
メロディ「私が言ってるのは、隠しコマンド
の噂」
エルンスト「ああそっちか」
メロディ「ベアードが出現した理由、私たち
がたまたま秘密に近づいたからだって考え
られない?」
メロディの蒼い眼差しが射るように。
エルンスト「じゃあ君は」
メロディ「始まりの町アルジェントタウンの
近郊にラストダンジョンへの扉が隠されて
いる説、私は信じてもいいと思う」
見つめ合う二人、冒険者の表情に。
エルンスト「ヒック・・・」
メロディ「なにそれ」
エルンスト「しゃっくり・・・ヒック」
メロディ「緊張感ないなあ・・・」
●衛の部屋・朝
テーブルで簡素な朝食を食べる衛。
その背後で存在感を示すケース。
衛、ゼリーを吸いながら無視を貫く。
が、我慢しきれずに振り返る。
心なしか大きさを増しているような。
衛「ああ、もう・・・」
席を立った衛、クローゼットを探る。
冬用の半纏を引っ張り出して。
キャリーケースの上から被せる。
衛、気を取り直して朝食再開。
魚肉ソーセージを齧り齧り。
半纏を被って物言わぬケース。
●八島銀行・九泉支店・午前
カウンター内のデスク。
PCに齧りついて作業中の衛。
データと紙の書類を照合して。
衛「中村先輩、篠原電工さんの第三〇期決算
なんですけど・・・」
顔を上げずに無意識に。
斜め向いの席から顔を出す同僚阪口。
阪口「先輩は午前中挨拶回り。カッキーも朝
聞いてたじゃん」
衛「あ・・・そうだった」
阪口「あと一ヶ月でバトンタッチなんでしょ。
そろそろしっかりしないと」
子供を窘めるような阪口の口調。
貸借対照表に目を戻す衛。
視界の隅で踊り出す数字。
●アルジェントタウン・郊外の森
腕を組んで考え込むエルンスト。
その傍でやきもきするメロディ。
メロディ「まだ思い出せない?」
エルンスト「うーん、僕何したんだっけ」
メロディ「ダメだったらさ、ちょっと前まで
遡って行動を順番にトレスしてみたら」
エルンスト、指で空中に経路を描く。
エルンスト「僕たち、適当にレベル上げでき
そうなモンスター探して森に入ったよね」
メロディ「そうそう」
エルンスト「思ったように見つけられなくて
森の奥にどんどん踏み入って・・・そうだ、
ジャッカロープ」
メロディ「逃げ出したんだよ、エルが不用意
に動くから」
エルンスト「そいつを追っかけて・・・メロ、
後ろから何か撃たなかった?」
メロディ「撃った」
エルンスト「僕に当たりそうになって」
メロディ「伏せてって言ったよね」
エルンスト「聞こえなかった。けど切り株に
蹴つまずいたおかげで助かった」
メロディ「単なる足止めの魔法。当たっても
ノーダメなやつ」
エルンスト「何か穴があったんだ。ジャッカ
ロープが飛び込んで、続いて魔法弾も吸い
込まれた」
メロディ「どこ?」
エルンスト「え」
メロディ「穴」
エルンスト「ベアードの出現に気を取られて
たから・・・」
メロディ「最初に会敵した辺り?」
エルンスト「そう」
メロディ「じゃああっち!」
もどかしそうに走り出す。
足を縺れさせながら追うエルンスト。
*****
藪の切れ目を見下ろす二人。
崩れかけた石積みの井戸がそこに。
メロディ「穴って言うか井戸だね」
エルンスト「井戸でした」
メロディ「見つけたからには後は簡単」
魔法の笏を構えるメロディ。
エルンスト「待って、まさか」
メロディ「もう一回ぶち込む」
エルンスト「脳筋すぎるよ。第一それが正解
なんて」
メロディ「ベアードに注意ね。もしかしたら
もっと強いのがお出ましかもだけど」
エルンスト「人の話を聞いて」
メロディ「せっかくだしスペシャルな魔法が
いいよね」
笏が空中に描き出す複雑な魔法陣。
エルンスト「爆発とかする?」
両手で耳を塞ぎながら。
メロディ「しないしない。私が一ヶ月かけて
組み上げた必殺の解錠魔法だよ?」
狙いを定めるメロディ。
メロディ「たとえ地獄の門だって、コイツに
かかればひとたまりもないんだから!」
まばゆい光の束が井戸へと迸る。
次の刹那、周囲の風景に異変。
剥離し始める森のテクスチュア。
●衛の部屋・夜
キャリーケースを見下ろす奏。
目隠しの半纏が手前に落ちている。
奏の背後で及び腰の衛。
奏、無造作にケースを揺らす。
衛「あっ」
奏「え?」
衛「いや、乱暴にしたら爆発とか」
奏、呆れ顔。
奏「可愛い弟がうっかり爆死しても平気な人
なんだ、タケシさんって」
衛「それは・・・まあ無いかな」
奏「うーん、馬鹿みたいに重いね。死体でも
入ってるんじゃない?」
ケースを少し傾けて呟く。
奏「もう二、三日すればハッキリするかも。
臭いとか汁とかで」
衛「事故物件の元凶になるのかな、僕」
奏「開けられない以上、クヨクヨ考えてても
しょうがないって。いつかは取りに来るん
でしょ」
衛「その<いつか>が知りたいよ」
奏「それより早くゲームしよ。時間もったい
ない」
*****
ゲームモニターの前に座る衛と奏。
レースゲームの対戦プレイ中。
衛「うぉい、またデスコンボかよ!」
奏「バイビー」
衛「ホント性格変わるよね、マリカだと」
奏「こっちが真の姿だったりして」
衛「人間不信になるわ」
悠々と先行ゴールする奏。
奏「V8を讃えよ!」
衛「あー、目がシバシバする・・・」
後ろに寝転がる衛。
奏「休憩は五分」
衛「せめて小一時間」
奏「ラジャー。ソロでやっとく」
沈黙の空間に響くゲーム音。
衛「『ブラックブライド』さ・・・」
奏「ん?」
衛「まだメンテ中」
奏「長いね」
衛「おかしくない? もうすぐ半月だよ」
奏「普通は一日かからないもんね」
ロジャーのように起き直る衛。
衛「偶然かも知れないけど」
奏「偶然だよ偶然」
衛「やっぱりアレが原因なのでは?」
奏「・・・・・・」
奏のマシン、派手にクラッシュ。
●トンネル
松明を掲げながら進むメロディ。
後から続くエルンスト。
辺り一面は闇、と言うより無。
照らされた箇所にだけオブジェクト。
エルンスト「これって」
メロディ「ダンジョン、には見えないね」
エルンスト「バグかな?」
メロディ「コードは正確に書かれてるっぽい。
信じられないくらい複雑怪奇だけど」
やがて透明な壁に突き当たる二人。
エルンスト「行き止まりだ。もう戻ろう」
メロディ「引き返せないよ」
エルンスト「え」
振り返るエルンスト。
背後にも壁が迫っている。
メロディ「最近セーブした?」
エルンスト「毎回してる」
メロディ「グッド。ベアード撃破の経験値は
諦めよう。早く窓を・・・」
メロディ、眼前の壁に手を伸ばす。
水のように抵抗なく入っていく手。
メロディ「あれ、何かあるな・・・」
エルンスト「アイテム?」
メロディ「違う・・・計算式、かな」
手を伝わって流れ込む輝く数列。
メロディ「すごい情報量っ!」
メロディを包んだ光がさらに拡がって。
●住宅街・早朝
大あくびをしながら歩く奏。
大きく一つ伸びをして立ち止まる。
奏「そろそろ我慢の限界なんだけど」
誰かに聞かせるような通った声。
すぐ後ろで停まる黒塗りの乗用車。
後部扉からスーツ姿の中年男・野島。
苦み走った表情に浮かぶ苦笑い。
奏「しつこいオヤジは社会の害悪だよ」
野島「ろくに家に寄りつきもしない不良息子
ってのは社会的にどうなんですかね」
振り返って野島に微笑みかける奏。
奏「不良とか社会とか言うんだ、その口で」
野島「相変わらず辛辣でいらっしゃる」
美青年とイケオジの只ならぬ対峙。
ゴミ出しの主婦連、遠巻きに注目。
野島「それはそうと。先日お迎えに上がった
まま行方を晦ませてた連中がやっと帰って
来ましてね」
散歩中の小型犬が野島に吠えかかる。
野島「おっと」
渋い雰囲気のまま竦み上がって。
野島「・・・随分と酷い有様だったんですが
何か事情をご存じないですか」
●中華食堂・昼
食券販売機の前に立つ衛。
日替わりランチの押しボタン。
A定食に売り切れのランプ。
迷う衛に後ろから咳払い。
衛、仕方なくB定食を押す。
*****
混雑した店内で空席を探す衛。
湯気の立つトレイを持って右往左往。
中村「カッキー、ここ!」
テーブル席で手を振る中村。
衛、中村の対面に着席。
衛「お疲れ様です」
中村「お疲れ」
衛「このあと帰店ですか」
中村「まだ。個人の得意先回りが残ってる」
衛「大変ですね」
中村「ま、お客さんに育ててもらったような
ものだから」
二人、お互いのトレイに視線。
中村、酢豚とかに玉の定食。
衛、麻婆豆腐とエビチリの定食。
衛「食欲ないんですか」
中村のランチ、未だ手つかず。
中村「そうじゃないけど・・・それB定?」
衛「はい」
中村「売り切れてなかった?」
衛「売り切れてたのはA定ですけど」
中村「B定じゃなくて?」
衛「先輩の、A定ですよね」
中村「B定が売り切れてたからね」
箸の先でパイナップルを指す中村。
中村「これだけは許せないんだよな」
衛「あの、もし良かったら」
自分のトレイを少し押しやって。
中村「いいの?」
衛「はい。僕もどっちかと言うとそっちの方
が・・・」
その時、衛のスマホが鳴動。
衛「すいません、ちょっと」
席を立って店の隅へ。
着信表示は『兄』。
衛「もしもし、兄ちゃん?」
スピーカーから武の冷静な声。
武(声)「売り切れてたのはA定なんだな」
衛「は? 何でそんな・・・」
武(声)「A定かと聞いてるんだ」
冷静なようで少し苛立った声。
衛「そうだよ。それより鞄・・・」
武(声)「券売機を確認しろ」
衛「え?」
武(声)「いいから、何が売り切れてるのか
今すぐ確認してくれ」
衛「今度は何のゲームだよ・・・」
スマホを手に入口の方へ。
券売機を前に立ち尽くす衛。
B定食に灯った売り切れランプ。
衛「さっきはA定だったのに・・・」
武(声)「よく聞くんだ。そのB定は食うな。
絶対に食うんじゃないぞ」
衛「唐突に何!?」
武(声)「俺を信じろ。そうだ、袋か何かが
あったらサンプルを・・・」
武の声にノイズが混ざり始める。
遠くなって、やがて途切れる通話。
*****
席に戻る衛。
中村「どしたの、スマホ片手にウロウロと」
衛「いえ、変な電話が・・・」
中村「イタ電? 昼時に最悪だな」
衛「おかげで冷めちゃったかも・・・」
目の前の酢豚から中村の皿に視線。
中村、蓮華で麻婆最後の一すくい。
衛「あの・・・何ともないですか?」
中村「俺辛いの平気だから。美味かったよ」
衛「じゃなくて、体調とか」
中村「大袈裟じゃない? そんなに苦手なら
元から頼まなきゃよかったのに」
衛「・・・大丈夫なら別にいいです」
冷めた酢豚を食べ始める衛。
パイナップルも頓着せず。
中村「麗華もさ、入れる派なんだよ」
衛「え?」
中村「パイン。あとポテサラにミカン。幾ら
愛しててもそこだけは許容できないわ」
食後の茶を啜り、衛を見つめる。
中村「もし麗華の旦那がカッキーなら、酢豚
の具で離婚危機なんて事にはならないな」
衛「・・・不毛な仮定です」
中村「案外そうでもないよ。知らなかった?
新人研修の時、あいつ結構気に入ってたん
だぜカッキーの事。あの頃俺と付き合って
なかったら或いは・・・」
衛「笑えないですよ」
口いっぱいに白飯を頬張る衛。
中村、気まずい空気に無理に破顔。
中村「笑えって。俺が滑ったみたいじゃん」
●歩道・昼
伏し目がちに歩く衛。
脳内に去来する中村の姿。
衛を責める客に衛より深く頭を下げる。
理不尽な恫喝には逆に一歩も退かない。
子供の目線に屈んで記念の風船を渡す。
地域の商店主たちと屈託なく笑う姿。
泥酔した衛を迷惑がらず介抱する姿。
凹んだ衛にコーヒーを差し出して。
中村「こういう日はブラックに限るぞ。心の
苦さを舌で上書きするんだ」
受け取った衛、一口飲んでしかめ面。
中村、衛の肩に腕を回して。
中村「甘口がふさわしい日もいつか来るさ。
それでこそ人生ってもんだろ」
衛「・・・不毛な仮定なんだよ」
中村との思い出を呟きで掻き消す。
胸ポケットで鳴動するスマホ。
機械的に電話を取る衛。
武(声)「やっと繋がった。マモル、B定は
食わなかっただろうな」
スマホを握る手に浮く血管。
衛「・・・食べたよ。それがどうしたの」
武(声)「アホ! 何やってんだ!」
衛「アホはどっちだよ!」
突然の大声に目を向ける通行人たち。
衛「勝手にいなくなって、突然帰って来たと
思ったら何の説明もせずに振り回して!
僕は兄ちゃんのオモチャじゃないんだぞ!」
暫く続く沈黙とホワイトノイズ。
武(声)「・・・そんな事思ってないよ」
今までになく気弱な声。
衛、毒気を抜かれて脱力。
衛「・・・ごめん、言い過ぎた」
武(声)「謝ることないさ。説明不足は事実
なんだし。でももう少し待って欲しい」
紛らすような咳払い。
武(声)「それより体は平気か。気分が悪い
とか意識が朦朧とするとか・・・」
衛「うーん・・・」
別れ際の中村の笑顔を思い出して。
衛「・・・特に何ともないみたい」
武(声)「良かった、杞憂だったか。午後の
仕事の予定は?」
衛「ずっと内勤だけど」
武(声)「願ったりだ。終業時間までは外に
出ない方がいい。それと帰りは絶対寄り道
するんじゃないぞ」
衛「何だよそれ、小学生じゃないんだから」
思わず苦笑い。
遠くで微かに救急車のサイレン。
衛の意識には届いていない。
●八島銀行・九泉支店・午後
電話で取引先と話す衛。
背後で別の電話に出ている稲田。
衛「では、明日朝いちでお伺いします」
見えない相手に頭ペコペコ。
先に終話した稲田、衛の背中を凝視。
極度の緊張で引き攣った表情。
衛が受話器を置いた瞬間、低い声で。
稲田「・・・柿原」
衛「はい!?」
飛び上がるように振り向く衛。
稲田「ちょっと話が。ここじゃアレだから」
●同・中廊下・午後
薄暗く狭い廊下で対峙する衛と稲田。
稲田「どうだ、引継ぎの方は」
衛「書類上は大体。来週、中村さんと一緒に
ご挨拶回りの予定です」
稲田「そうか・・・」
稲田、苛々と指で鼻の下を叩く。
衛の視線に気づいて。
稲田「ああ、どうも指の持って行き場が無く
てな。ウチ、電子も禁止になっただろ」
衛「はあ・・・」
稲田「死刑宣告だよ、俺らにとっちゃ」
居心地が悪そうな衛。
衛「あの、それで・・・」
稲田「クラタ・ゲンショウ」
廊下に寒々しく響く名前。
稲田「お前が引き継いだ客の中にこの名前は
無かったか」
誘導灯を見ながら記憶をたどる衛。
衛「・・・いえ、特に覚えは」
稲田「だろうな。五年前に収益不動産購入で
融資を申し込んだ個人客だ。結局その時は
審査が下りなかったが」
衛「返済能力ですか」
稲田「いや、そこそこ資産家で担保も貯蓄も
申し分なかった。ウチに口座も有った」
衛「だったら・・・」
稲田「認知症だよ」
衛の疑問を叩き潰すように。
稲田「まだ軽度だったが症状が出始めてた。
医者嫌いで診断は受けてない。でも証拠が
無いからってハイソウデスカと融資が通る
道理もない。親族とも疎遠、そもそも後見
が有っても借入は不可能だ」
見えない煙を吐き出すように溜息。
稲田「話はそこで終わった筈だったんだ」
音を立てて開く店舗側の扉。
紙のような顔色の阪口がそこに。
阪口「か、課長・・・」
稲田「騒々しいな。まだ営業時間内だぞ」
阪口「た、大変です・・・」
廊下の二人に交互に視線を。
阪口「中村さんが・・・社用車で・・・」
衛の視界が万華鏡のように回り始める。
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