「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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山さんの刑事部屋
オペレーション・ダンスフロア
三好・・・女性。高校一年生。
萩原・・・女性。高校一年生。
●旧校舎・階段・夕・夏服
鳴り渡る『ジョニーが凱旋するとき』。
夕闇が忍び寄る階段。
高い窓から茜色が射す。
派手に駆け上がる上靴。
三階踊り場でキュッと急ブレーキ。
座敷童系女子高生・三好。
荒い息を何とか治めようと胸に手。
中間の踊り場を見上げて。
逆光に佇むスタイリッシュな影。
スケバン系女子高生・萩原。
三好「・・・しくじった!」
萩原「だろうな。で、どうすんの?」
三好「一ミリも浮かばない!」
余裕のない表情で背後を気にして。
三好「ちなみに目標はすぐそこまで迫ってる」
萩原「プランA通りの背水の陣じゃん。少々、
いやだいぶ前倒しだけどさ」
三好「あわわ、心の準備が・・・」
萩原「しっかりしろよ、韓進将軍」
階下からゆっくりと近づく足音。
その場で無意味に足踏みする三好。
三好「やっぱムリ、たすけて・・・」
救いを求めた先に萩原はいない。
●旧校舎・中間踊り場・昼・夏服
三階から上った中間踊り場。
上階への階段手前に立入禁止ベルト。
下からは見えない死角に。
丸テーブルと二脚の椅子。
向かい合って座る三好と萩原。
三好「以後、この作戦名を<ダンスフロア>
と呼称する!」
勢いよく立ち上がる三好。
倒れかけた卓上扇風機を支える萩原。
萩原「ランディング」
三好「ホワット?」
萩原「<踊り場>作戦って言いたいんだろ?
だったら<ランディング>」
三好「えー、いいじゃん<ダンスフロア>で。
ほら、何かクールだし」
萩原「じゃあいいよ、もうそれで」
三好「うわあ、すっごい槍投げ」
萩原「投げやり、な」
萩原、手元の文庫本から目を離さず。
萩原「それでどうなんだ、首尾の方は」
三好「・・・まあ、やってるよ、ぼちぼち」
急にトーンダウンする三好。
萩原「ぼちぼちじゃわかんねえ。逐次報告は
どうした、基本だろ」
三好「夏休みの予定は聞いた、それとなく」
萩原「それとなく? わざとらしくの間違い
じゃねーの?」
三好「もー、いちいち馬鹿にして。私だって
微妙な駆け引きくらいできるんだから」
夏服の胸ポケットから手帳。
文字でびっしり埋まった頁を見せる。
三好「どや、自習時間の情報戦の成果!」
萩原、一瞬文庫本から目を移す。
萩原「おーすごいすごい。けどさ、自習時間
はちゃんと課題やらねーと」
三好「ハギーがそれ言う!?」
萩原「義務は真っ先に片づけるタチなんで」
三好「そもそも何さ、真面目に聞く気もない
くせに!」
萩原から文庫本を奪い取る。
三好「大事な話してる時に上の空とは失礼な。
さてはえっちなTLだな!」
頁をパラパラめくって困惑。
三好「古文書じゃん」
本を奪い返す萩原。
萩原「滝口康彦。時代小説な」
三好「泣けるやつ?」
萩原「ああ泣けるぜ。武士道と家族愛の葛藤
の物語だ」
三好「読み終わったら語ってよ」
萩原「『貸して』じゃねーのかよ。無精せんと
自分で読め」
三好「好きなんだけどな、ハギーの解説」
頬杖ついて本の蔭を覗き込むように。
萩原「は? そんなん知らんし」
ますます本で顔を隠すように。
萩原「・・・とにかくだな、こういうことは
大概計画通りには運ばないんだ。プランB、
プランCくらいまで用意して事前に持って
こい。添削くらいはしてやるから」
三好「えー、終業式まであっという間だよ。
プランAを徹底的に詰めた方がよくない?」
萩原「・・・受験の時、担任に泣かれて渋々
滑り止め受けた口だろ」
三好「え、何で知ってんの」
萩原「しくじるぞ、そのうち」
三好「うっ・・・」
謎の頭痛に襲われる三好。
萩原、本の蔭で苦笑い。
●旧校舎・中間踊り場・昼・夏服
萩原の背後でその長い髪を梳かす三好。
三好「ハギーはさ・・・」
萩原「ん・・・」
トリミングされる仔犬のように夢心地。
三好「その・・・いるのかなぁ・・・?」
デクレッシェンドな問いかけ。
萩原「・・・だれが?」
寝言のように漏れる子供っぽい声。
三好「・・・好きな人」
萩原「・・・いる」
思わず櫛を持った手に力が入って。
萩原「いててて! おい、ハゲるって!」
完全に目が覚めた萩原。
三好「あ、ごめんごめん。絡まっちゃった」
萩原「勘弁だぜ。そーっと外せよ」
三好「そっか、いるのか・・・」
萩原「??? 何の話してんだ」
三好「ふーん」
萩原「お前、人がウトウトしてる時に何を」
三好「私もいるんだ、好きな人」
深々と静まり返る踊り場。
三好「ね、協力してくれない?」
櫛から解放される艶やかな黒髪。
●旧校舎・中間踊り場・昼・夏服
萩原、手鏡で自分の顔とにらめっこ。
三好、白紙の原稿用紙とにらめっこ。
萩原「いつまで悩んでんだ。たかが四百字詰
二枚分の小論文だろ」
萩原のツッコミを掌で遮って。
三好「ちょっと黙ってて。今呼んでるところ
だから・・・」
萩原「〈私の半径一メートルの世界〉がテーマ
で、何で神様降ろすみてーな壮大なノリに
なってんのよ。こえーよ」
三好「降りてきたぁ!」
三好、くわっと開眼。
三好「ひまわり、カラス、月・・・!」
萩原「神託と見せかけて三題噺かよ」
三好「今朝、通学路で見た物。あんまり空が
青いから思わず見上げたら、お家の屋上に
ひまわりが一輪咲いてたの。それだけでも
絶景なのに、近くの電線にでっかいカラス
が止まってて、背景には薄れゆくお月様が
見えたんだ。どう、なかなか風流でしょ」
萩原「うーん、もうちょっと簡潔にまとめた
方がいいな。あと、最後に『いとをかし』
って付けてみようぜ」
萩原、にやにやしながら。
三好「それいいね! いただき!」
萩原「・・・少しは疑問を抱けよ」
勢いよく書き始める三好だが。
その筆の勢いはすぐに尻すぼみ。
再び悩み始める文豪三好。
萩原「・・・書いてもいいけどな」
三好「ん?」
萩原「ここのこと」
三好「ここ?」
萩原「ちょうど半径一メートルくらいだろ」
三好「あー、なるへそ」
自分の腕で空間を測るようにして。
三好「・・・けどやめとく。ありがと」
萩原「この場所、別にバレても構わねーぞ」
三好「もう外の世界って感じじゃないんだよ、
私には・・・」
いつになく真剣な調子で。
三好「インナースペース? って感じで」
萩原「・・・そうかよ。よう分からんけど」
萩原、満更でもない様子。
ごまかすように手鏡を覗く。
三好「ハギーはなに難しい顔してるの」
萩原「いやちょっと、ニキビがな・・・」
三好「あーダメダメ触りまくっちゃ。ハギー
はさ、お肌キレイなんだからもうちょっと
構ってあげなよ。寝る前に乳液とかつけて
るの?」
萩原「んなベタベタしたモン塗るかよ」
三好「サラっとしたのもあるよ。いい匂いが
して安眠効果があるやつも。今度見繕って
あげるよ」
萩原「ったく、ガーリーな話になったら急に
活き活きするんだもんな、お前」
三好「女性美で言ったら完敗なんだけどね」
萩原の肉感的な夏服姿をチラ見。
己の幼児体型と見比べて。
三好「はーーーっ」
萩原「こんなモン何が羨ましいんだよ。喧嘩
になったら邪魔なだけだぞ」
自分の胸をポヨポヨ持ち上げる。
三好「・・・持たざる者の哀しみを知れ!」
ガッと萩原の頭をホールド。
その顔を胸の平原に押しつける。
三好「ふんぬー!」
萩原「ギブ! ギブ!」
テーブルを必死にタップ。
●旧校舎・中間踊り場・昼・夏服
高い窓の外を滑り落ちる雨滴。
いつもより薄暗く陰気な空間。
主なきテーブルと椅子。
下から湿った足音が上ってくる。
濡れ髪を頬に張りつかせた三好。
おろしたての夏服も透けるほど濡れて。
何かをきつく胸に抱きしめるように。
萩原「どうしたんだ?」
矢庭に降ってくる萩原の声。
四階の踊り場から見下ろす姿。
三好「落とし物・・・探してて・・・」
細かく震える三好の肢体。
いつの間にか傍に寄り添う萩原。
萩原「こんな日に落とし物・・・?」
三好「ノートと筆箱・・・無かったら午後の
授業困りますし・・・」
胸に抱えたシワシワのノート。
萩原の目に凶暴な光が宿る。
萩原「・・・ここで待ってろ」
下階へ駆け下りようとする萩原。
その二の腕を掴む三好。
萩原「タオル取ってくるだけだ」
三好の手を振り切って。
雨音の通奏低音がいつの間にか止む。
高い窓から天使の梯子が降りている。
うなだれて座る三好の頭にパサッ。
ふんわり白いタオルが乗せられた。
タオル越しに押さえつける手。
容赦なく髪をゴシゴシ。
三好「ちょっ、乱暴・・・」
萩原「じっとしてろ。風邪ひくから」
萩原の唇の端に滲んだ血。
三好は知る由もない。
●旧校舎・中間踊り場・昼・冬服
階段で高く跳ね上がるピンポン玉。
三階踊り場の三好の遥か頭上へ。
三好「うわ!」
萩原「っしゃ、マッチポイント!」
中間踊り場から見下ろす萩原。
ラケット片手にガッツポーズ。
三好「なんの、勝負は下駄を脱ぐまで!」
三好、萩原に向けてサーブ。
段鼻で鋭く跳ね返るピンポン玉。
三好「ふごっ!」
避ける間もなくおでこ直撃!
三好、おでこを赤くして抗議。
三好「ちょっとこのゲーム、永遠に勝てなく
ないですか私」
萩原「今ごろ気づいたか。実は最初の陣決め
ジャンケンで勝負はついていたのだ!」
支配者のポーズで勝ち誇る萩原。
萩原「あと、『下駄を履くまで』、な」
●旧校舎・中間踊り場・昼・冬服
テーブルでトランプ遊びする二人。
萩原「失敗だろ二人大富豪。二人ババ抜きも
グダグダだったけどそれ以上じゃん」
三好「ふっふっふ、清教徒革命!」
叩きつけられる5の4カード。
萩原「なにを、王政復古!」
炸裂する4の4カード。
三好「ぐわー、クロムウェル死んじゃった」
萩原「だから予め読めるって。二人だぞ」
残った2のカードを出して。
萩原「これで二十連勝。パクスロマーナだ」
三好「うう・・・底辺から抜け出せません」
力なく手から落ちる3のペア。
萩原「この社会の真理を知っちまったな。さ、
撤収撤収」
トランプを片づけ始める萩原。
落ち込む三好、ふと生気を取り戻して。
三好「萩原さん、ご存知ですか?」
萩原「なんだよ藪から棒に」
三好「この階段の先に何があるか」
萩原「は? 屋上だろ」
三好「旧校舎は四階建です。で、ここは三階
から上った踊り場ですよね。つまり、この
上にはまだ四階があるんです」
萩原「だから?」
三好「ニブイなあ。つまりは丸々ワンフロア
が謎に閉鎖されてるってことですよ!」
キバヤシの如き大袈裟なポーズ。
ジャジャーンとSEが付きそう。
萩原、なぜか顔を伏せて。
その肩が小刻みに震え始める。
三好「私が聞いた噂だとですね、昔ある女子
生徒が担任に邪恋を抱いたあげく、過酸化
水素水とアセトンを持ち出して・・・」
萩原「・・・ククッ、アハハハ!」
我慢しきれず吹き出す萩原。
三好「怖すぎておかしくなった・・・?」
萩原「フフフ・・・いや、実に有意義な実験
だったと思ってさ」
三好「まさか、恐怖の人体実験ですか!?」
萩原「ちょ、もうやめれ・・・」
腹がちきれそうなほど笑う萩原。
三好、アングリと口が塞がらない。
萩原「それ、あたしがソースな」
三好「え、オリバー? ブルドッグ?」
萩原「だから、あたしがニュースソースなん
だって。入学早々放流した噂がまさかここ
まで育つとはな。あたし、もしかしてイン
フルエンサーってやつ?」
萩原、似合わないギャルピース。
萩原「しかも、持ち出したブツがガチヤバな
代物になってるし。誰だよ尾鰭つけたテロ
リスト予備軍は」
まだ可笑しそうな萩原を見つめる三好。
三好「・・・なんでそんな実験を?」
萩原「単なる好奇心。ついでにあたしだけの
聖域が手に入ったけど」
三好「逆に野次馬が増えたのでは?」
萩原「そりゃあ命知らずは居たよ、最初の頃
はな。動画サイトにアップでもしようって
思ったんだろ。次から次へとスマホ構えて。
けど、みんなこいつでイチコロさ」
どこからともなく鋭いラップ音。
怯えたように周囲を見回す三好。
追い打ちをかけるように呻き声。
声「うぅ・・・好感度が足りなぁい・・・」
まるで上階の闇から滴るように。
三好「え? え? なに今の? こわい」
萩原「安心しろ。フォックス姉妹といっこく
堂の合わせ技だ」
艶めかしい生足を上げて音を鳴らす。
三好「は、はしたないですよ」
萩原「こうした方が分かりやすいな。ほれ、
こうやって関節を」
靴下を脱いでさらに実演。
踊り場に響き渡るラップ音。
●旧校舎・中間踊り場・昼・冬服
サンドイッチを食べる萩原。
上ってきた三好、目ざとく見つけて。
三好「お、今日はパン仲間ですね♪」
萩原「似合わねえって言いたいんだろ」
三好「とんでもない、お似合いですよ」
向かいに座る三好。
コンビニ袋から五個入りクロワッサン。
萩原「珍しく単調なセレクトだな」
三好「なんかみんな売れちゃってて」
ナプキン包みを押しやる萩原。
三好「? 何です?」
萩原「足しにしろよ。作りすぎた」
ナプキンを開く三好の目が輝く。
三好「うわあ、パーティーだ!」
小さなバスケットにぎっしり。
バラエティ豊かな具のサンドイッチ。
萩原「残していいぞ。自分で買ったのも食う
だろ」
三好「ううん、こっちは保存用シールあるし
期限まだだし・・・いただきます!」
両手に違う種類のサンドを持って。
交互にパクついて幸せそう。
その様子を見るともなしに見る萩原。
少し無理した澄まし顔。
●旧校舎・中間踊り場・昼・冬服
丸テーブルと二脚の椅子。
片方の椅子に脚を組んだ萩原。
コンビニ袋をぶら下げ立ち尽くす三好。
三好「・・・どうしたんですか、コレ」
萩原「どっかその辺から借りて来た。地べた
座り、嫌々だったろ?」
三好「あ、いや、その・・・」
萩原「突っ立ってないで座れよ。何だ、また
パン祭りか」
テーブルにパンを並べる三好。
三好「はい、毎日がお祭りで」
萩原「飽きねえの?」
三好「全然。ローテーションも豊富ですし」
萩原「今日は菓子パン縛りなんだな」
三好「抑えはチュロッキーです。これだけは
譲れません」
萩原「たまには白メシ食いたくならねえ?
鮭オニギリとか」
三好「反動なんですかね。前のパパが絶対的
和食主義者だったんで」
萩原「前の・・・ふーん」
言葉に詰まって弁当箱を開ける萩原。
茶色主体の落ち着いた風合い。
三好「なんか渋いですよね、萩原さんの」
萩原「・・・悪かったな、ババ臭くて」
蓋で隠すように煮物を箸で運ぶ。
三好「白米に牛乳、イケる派なんですね」
萩原「別に気になんねーけど」
三好「私はダメです。小学校で苦労して軽く
トラウマ」
萩原「・・・パンに麦茶もまあまあだぞ」
三好「えー、全然合いますって。コーヒーと
似てるとこあるし」
萩原「ざっくりしすぎだろ。確かにどっちも
焙煎してるけどさ・・・」
三好「ともあれ、今日からは私もコレです」
袋から紙パックを取り出す三好。
一〇〇〇ミリのフルーツ牛乳。
萩原「・・・逆に不摂生じゃねえ?」
口の中に砂糖をぶち込まれた表情。
●旧校舎・階段・昼・冬服
コンビニの袋を提げた三好。
人目を気にしつつ三階踊り場から上へ。
数歩上った所で萩原の声が降ってくる。
萩原「恐れ入りますが満席でーす」
中間踊り場の曲がり角から萩原の顔。
三好「すみません、先客がいらっしゃるとは
つゆ知らず。失礼します」
素早くUターンしようとする三好。
萩原「待てよ、フライングダッチマン」
三好、中途半端な姿勢で固まる。
萩原、曲がり角から半身を出して。
ブルース・リーのように指で誘う。
三好「あ、他当たりますんで・・・」
萩原「冗談だよ。遠慮すんなって」
三好「でもお邪魔じゃ・・・」
萩原「さまよってるうちに昼休み終わるぞ。
ここで食ってけ。かび臭いのはすぐ慣れる」
三好、恐る恐る残りの段を上る。
踊り場に直接胡坐をかいた萩原。
二〇〇ミリパック牛乳チュウチュウ。
三好「し、失礼しまーす」
中腰の三好、なぜか小声で挨拶。
その姿勢のままコンビニ袋をガサゴソ。
萩原「お前、立ち食いする気かよ。定期的に
拭いてっから尻は汚れねーよ」
自分の横のスペースを示す萩原。
三好、ためらいながら並び座る。
ハンカチを広げて尻の下に。
隣で胡坐をかく萩原をチラ見。
白く張りのある太腿が露わ。
気まずそうに視線を逸らして。
暫くはパンの袋を開ける音だけ。
萩原「ハギワラ」
三好「へ?」
萩原「あたし」
三好「あ・・・ああ、ハギワラ先輩ですか。
こりゃどうもご丁寧に」
中年サラリーマンみたいな反応。
萩原「先輩じゃねえ、隣のクラスだ」
三好「あ、そうなんですね。えーっと、私は
ですね・・・」
萩原「三好だろ。知ってる」
三好「それはそれは恐縮です。私のような者
をお見知りおき頂き・・・」
名刺を出しそうな勢い。
萩原「御託はいいから食え」
ペコリと一礼して食べ始める三好。
まずはメンチカツパン。
続いて玉子パン、焼きそばパン。
牛乳を飲みながら萩原、目をまん丸。
萩原「めっちゃ食うんだな。しかも惣菜パン
ばっか」
三好「はひはははんはっへ・・・」
萩原「バカ、口の中洗い流せ」
ペットボトルの麦茶を飲み干す三好。
三好「萩原さんだってめっちゃ飲んでるじゃ
ないですか、それ」
指さした足元に既に空のパック牛乳。
萩原「・・・健康第一だからな」
三好、視線を牛乳から萩原の胸へ。
黒いセーラー服を押し上げる双丘。
三好「・・・明日から麦茶やめよかな」
●旧校舎・四階教室・夕・夏服
宵闇迫る空き教室。
一台だけ残った机に突っ伏す萩原。
ヘッドフォンで雑音を遮断して。
不意に持ち上げられたヘッドフォン。
蜩の鳴き声が一気に教室に満ちる。
萩原、顔を伏せたまま。
萩原「・・・戦果は?」
三好「この顔見て察してよ」
ゆっくりと面を上げる萩原。
萩原「・・・おもちゃ屋で一通りグズッた後
のガキみてーだな」
三好「あ、ヒドイ」
萩原「そもそも、どんなしくじりなんだよ。
D‐デイが丸一日早まるって」
三好「もう帰ったと思って机に手紙入れたの。
そしたら忘れ物してたらしくて・・・」
萩原「日付書かなかったのかよ」
三好「うん・・・『今日』の放課後、って」
萩原「そりゃ間が悪い」
三好「もう最悪だよ。陽動作戦してないから
取り巻きもついてきちゃうし、誕プレは家
に置いてきてるし・・・」
萩原「プランBどころの話じゃねえな」
まじまじと萩原の顔を見る三好。
三好「ハギーもまあまあヒドイ顔だね。お墓
から蘇ったばかりの女吸血鬼みたい」
萩原「・・・爆睡してたんだよ」
三好「・・・ウソツキ」
二人の顔、お互いにしか見えない。
三好「何聴いてたの?」
萩原のヘッドフォンを耳に当てて。
萩原「知らんだろ、今時の曲じゃねーし」
音楽に浸る三好の穏やかな背中。
●旧校舎・中間踊り場・夕・夏服
夕映えの残光が今しも消えてゆく。
階段を数歩先行して上る三好。
途中でくるりと振り返り。
後に続く萩原を見下ろして。
三好「踊ろっか」
萩原「まーた妄言が始まった」
三好「だってここ、ダンスフロアじゃん」
萩原に手を差し伸べる三好。
どこからか流れてくる音楽。
『青い影』。
●旧校舎・中間踊り場・素描
『青い影』に乗せて。
二人の聖域での思い出。
三好に勉強を教える萩原。
萩原にメイクを教える三好。
豪快に居眠りする萩原。
その頬を化粧筆でくすぐる三好。
三好、階段トレーニング。
萩原、護身術のレッスン。
くたびれてだらしなく座り込む二人。
ショート動画のダンスの真似事。
渋る萩原を無理やり巻き込んで。
撮るなよと釘を刺されるも隠し撮り。
テーブルに広げられた手作りの図面。
校舎を模した兵棋演習図。
軍隊符号代わりにカプセルトイの仏像。
多聞天が金剛力士たちを陽動した隙に。
誘導された迦楼羅を吉祥天が迎撃。
三好と萩原、あれこれ試行錯誤の末。
ようやく満足げに顔を見合わせる
●旧校舎・中間踊り場・夕・夏服
薄れゆく光と音楽。
ピクチャーポーズで静止した影。
三好が萩原をエスコート。
男前な表情で萩原を支える三好。
背を反らしながら息を弾ませる萩原。
萩原「・・・ミヨ」
三好「なに?」
萩原「・・・やっぱ好きだわ、お前」
三好を見上げてニカッと笑う。
了
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