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もっともっと苦しめなければ復讐にはならない師景は、正人は気違いではない。なるべく早い機会に正人を倒そう・・・。自分の野望を妨げになる者はすべて打倒すというのです。祐吾が捕らえて来た百姓一揆の首謀者たる12名を領内の者達の見せしめのためにも死刑にすることに決ります。海に突き出た岩場に二人が一組に縛られ立っています。まずは一組に弓矢が放たれ二人の百姓は胸を射抜かれ海へ落ちて行きます。次は火縄銃が狙いをつけて引き金が引かれようとしたとき、「やめろ、散れ、その人達の縄をとけ」馬を飛ばし駈けつけたのは正人でした。「やっぱり正人様が助けに来てくれた」と大喜びする宗恵達です。復讐のためにも、領民を救うためにも、師景を討つこと、手段はそれ以外ないと、城に戻った正人は、出迎える庄司に目をやると、一目散に師景の寝所に足を向けます。庄司は黙ってその様子を見守ります。寝所近くまで行くと、ゆっくりと剣を抜き寝所に踏み込み剣を振り上げます。そのとき菩薩像が目に入り、師景を亡き者とする振り上げた剣は宙に止まったままになっていました。 正人は心で静かに叫びます。『ほとけに見守られた彼奴の眠りは極楽、さきに熟睡するこの極悪人をこのまま一瞬の苦痛であの世にやっていいのか、父上それであなたのこの世の妄執ははれるのでしょうか・・・そして、・・・』 正人は振り上げていた剣を静かに降ろしながら、『・・・この俺は仏の前で、この手を悪事にまぎらす卑怯な騙し討ちと人にはそしられ、王見正人の武士道は地に落ちる・・・それでいいのか』 正人が力なく師景の寝所から出てしばらく立止まって、離れて見守っていた庄司の前を黙って通り過ぎて行きます。その正人に庄司が「何故?」と、「もっともっと苦しめなければ復讐にはならない」と正人。正人が落ち着いたところで、先ほどから何度も奥方様から使いがあり、「お部屋の方へおいで願いたい」と申されているというと、正人の気持ちには動揺がありましたが、「母上が」・・・・・「いつかはあなたに・・・」・・・「・・・そのときが・・・」・・・「とうとう来ました」 母時子のところへ出向く決心をしました。 続きます。🎞️『炎の城』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。炎の城・・・(1)炎の城・・・(2)炎の城・・・(3)炎の城・・・(4)炎の城・・・(5)炎の城・・・(6)
2024年06月29日
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雪野、・・・すまん・・・許せよこの手で母上に復讐することはできない、と・・・どうして証拠をにぎろうと、どうして復讐など誓ったのかと、嘆き苦しみ、耐えきれなくなった正人は、その怒りを庄司にぶつけて行きます。正人「庄司、・・・何とか言ってくれ・・・」声を荒げて、庄司に救いを求めます。庄司「正人様は考えるお方です」正人「なにぃ」庄司「苦しむお方です。・・・しかし、一旦お心が決まったら、必ず実行されるお 方です。・・・強い勇気をもって・・・」静かな口調でいう庄司の言葉に、勇気づけられたのでしょう。正人「庄司、俺は祐吾のような男になりたいぞ。・・・今こそ、今こそ、あの男の ように・・・」 正人はそこまでいって、廊下を渡って来る雪野が目に入り、話をやめます。正人の母時子が今の方へ正人に来てほしいとのことで雪野が迎えに来たというのです。庄司は「申し上げてもお分かりになるかどうか」といい、正人に「お聞きになりましたか」というと、正人は無言で首を縦に振ります。 庄司「では、おいでになりますか、・・・母上様のお居間へ」正人「・・・母上は俺など、生んでくれなかった方がよかった」その言葉に雪野が驚きます。正人「人間はみんな悪い、悪者ばかりだなあ」 庄司が庭先に様子を窺っていた者を追って行きます。正人は、雪野に、お前も生まれて来ない方がよかった、といい、立ち上がり雪野の方に、雪野も正人の前に、気の触れた態度は崩さず、「寺へ行こうか」と話しかけると、正人「なっ、俺と一緒に寺へ行こう」雪野「正人様、ほんとに気が狂っておいでなのですか」 そのとき、正人の心が乱れるのです。雪野は、正人が明国へお発ちになるうれしい誓いの言葉と一緒に頂いた品でございます、お忘れではございますまい。「正人さま、この鏡の前でお聞かせください。本当のお心を・・・正人様」 正人の背にもたれかかる雪野に、正人「祝言をするなら、相手は阿保がいいぞ。世の中に馬鹿ほど幸せな者はいな い」私だけには、そのような言葉を・・・と悲しい顔で正人から離れる雪野に、追い打ちをかけるように、 正人「女は、紅や白粉を塗りまくるぞ、天から授かった顔を、もう一つの顔にこし らえるぞ。・・・化け物だなあ」雪野は、「私にだけはどうか真実のお言葉を・・・」 そこへ戻って来た庄司に、正人が気が狂っているとは・・・思えないという雪野、すると、正人が急に大笑いをしはじめます。「このとおり、これが正気の人の笑い声か」と、正人を援護します。正人「女は嫌いだ。女は汚い、娘も汚い、妻も汚い、母も汚い、女は嫌いだ・・・ お前も嫌いだ。・・・出てけ」 雪野が出て行ったあと、奥の間の正人は、・・・辛かったでしょう・・・、正人「雪野、・・・すまん・・・許せよ・・・」 続きます。🎞️『炎の城』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。炎の城・・・(1)炎の城・・・(2)炎の城・・・(3)炎の城・・・(4)炎の城・・・(5)
2024年06月23日
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母上にも復讐しなければならんのか城中広間では、正人が呼んだ猿楽の狂言が始まろうとしています。師景は直之進から一座を呼んだのは正人で、一座が古事記の一つを見せてくれるということ、・・・正人が何か企んでいるとしても、まことの気違いか、うその気違いか、探りをいれるのによい機会だ、と広間へ出向きます。途中から入って来た正人は、雪野のところに行き寝そべっています。 狂言は終盤を迎え・・・弟は兄の妻とよくない謀を企て、兄を倒して我等の天下にする。すなわち兄の妻に兄の命を奪うようにさせる・・・という場面になりました。時子の顔色が変わるのを正人が見てとります。そして、雪野にこうつぶやくのです。正人「雪野、母の後ろには、父上がお出ましになって見ておられるぞ」その言葉に、「はっ」として雪野は正人の方を振り向きます。狂言が妻が夫を殺す場面に入ろうとしたとき、「無駄な口上はたくさんだ、早く人殺しを始めろ」と正人の声が飛びます。 妻が夫を刺す場面になったとき、時子は顔をそむけるように、師景も驚きの顔をし、弟が最後の止めを刺した場面で、時子が悲鳴をあげると、「もうよい、やめろ」師景の声がしたのです。部屋に帰った正人は正人「庄司、見たか・・・叔父上、母上の様子を・・・」あれが動かぬ証拠だ、計画が図にあたったと喜び興奮しますが、「しかし・・・」と複雑な思いが去来するのです。 正人「父上の顔に涙をながしながら、母上は鎧通しを振り上げたのか・・・」庄司「でも、それを言いつけたのは殿ですよ、きっと」正人「言いつけた叔父上は憎い。父上をやっつけたのは叔父上だ。・・・だが、母 上はその言いつけを守って・・・俺は母上にも復讐しなければならんのか」それに対し、庄司はいう言葉がなかったのです。正人は、この手で母上に復讐することはできない、と・・・どうして証拠をにぎろうと、どうして復讐など誓ったのかと、嘆き苦しみます。 続きます。🎞️『炎の城』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。炎の城・・・(1)炎の城・・・(2)炎の城・・・(3)炎の城・・・(4)
2024年06月15日
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俺は心を決めたぞ時子の兄の六角祐吾が正人の帰りを待っていました。城のため、妹時子のために正人の帰りを心待ちにしていた祐吾にとって、気が狂って帰って来た正人は許し難かったのです。庄司に思いを話すと、「いつまでも未練は残さず、正人様は死んだも同様と思って出かけるぞ」という祐吾に庄司が「どこへ?」と聞くと、「領内の百姓に一揆の気配がある、殿の命令で倒してくる」といい、祐吾は「若殿」といい深く頭を下げると部屋を出て行きます。正人「祐吾が村々の一揆をおさえに出かけるといったが・・・庄司、俺は村の 者達と約束をした・・・」庄司「えっ?」苦しげな表情をする正人。 祐吾が時子は、父直之進と兄祐吾に、正人様は本当に気がくるっているのだろうか、とてもそうとは思えない、といい出します。「もしもニセ気違いだとしたら、こんなことをする理由が・・・」祐吾がそう思うわけは何か聞きます。雪野「目です、私を御覧になる、そして奥方様を御覧になる目です。あの澄みきった目がどうして気の狂った人の目といえましょう」居室で物思いに沈んでいた正人は何かの気配を感じ振り向きますと、亡き父勝正の幻影が現れたのです。そして、正人を促すように・・・音もなく部屋を出て去っていくのをみて、「父上」と夢中で勝正の幻影を追って行くと、幻影は師景が寝所まで導いたのです。 寝所に踏み込もうとした正人でしたが、見張っている者の姿が目に入り、気がふれている迷った風に廊下を戻って行く途中、正人を心配して来ていた庄司に「あそこはごみ溜めより汚いぞ」と呟きます。 一揆を起す百姓を何人でも斬るため、意気揚々と出発する兵の様子を見て、師景の野望が成し遂げられていることを確認し、正人は「村の人達との約束を守らなくてはならない・・・しかし城内でも仕事はある」と自分にいいきかせ、正人「庄司、俺は父上を見たぞ」庄司「えっ」正人「うつつではなかった。しかし夢でもない。父上は血にまみれ、無念そう な顔で、何か俺に話しかけていたようだ。確かにそう見えた」庄司「正人様は、それで」正人「俺を導いて行ったのだ。・・・叔父上と母上の寝所の前まで」庄司「えっ」正人「何か恐ろしい秘密があることはもう疑いない・・・庄司、俺は心を決め たぞ。秘密があるのなら、きっとそれを暴き出してみせる。・・・それ も近いうちに・・・どんなことをしても、きっと・・・」 続きます。🎞️『炎の城』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。炎の城・・・(1)炎の城・・・(2)炎の城・・・(3)
2024年06月06日
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