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どうしても果たさなければならぬ仕事がある領内の一揆は手には負えないほどに拡がっていると、城に帰って来た祐吾は、父直之進の仇正人を討つという復讐の念を固く誓い、直之進の眠る墓前に行くと、毎日花を添えている雪野の姿がありました。必ず正人を探しだし斬るという祐吾に、雪野はどんなことがあっても正人が好きだと答えます。そこへ正人を城下で見た者があるという知らせが祐吾に届き立ち去った後、泣き崩れる雪野が背後を振り返ると、正人が立っています。雪野の「正人様」の声に、正人は駆け寄り、二人はしっかりと抱き合います。 やっぱり帰って来てたと喜ぶ雪野に正人「俺は間違って直之進を刺した。許してくれるか」 そんな正人に、雪野は雪野「私を連れてどうぞ何処かへ、知らない人ばかりいるとこへ逃げてください」正人「俺もそうしたい・・・そうしたい」雪野「父はあなたに殺されました。でも私はそれを忘れます。兄はあなたを父の仇 とねらっております。でも私は兄を捨てます。あなたと共に暮らせるのなら ・・・」正人「雪野」 雪野「あなたから頂いたやさしいお言葉の数々、私はそれを一日とて忘れることは できません。忘れることはできません」正人「雪野、その心は俺とて変わりはない。・・・だが、・・・許せ・・・」そういって、雪野と握り合っていた手をほどいて立ち上がります。 雪野は正人の真の心を見たのです。雪野「それでは正人様、正人様は私のために帰って来てくだすったのでは・・・」正人「そう聞かれたら・・・俺は、そうではないと答えねばならん」では、何のために・・・と言いたそうな雪野に、正人「父上の子として、どうしても果たさなければならぬ仕事があるのだ」 雪野「そのためには、この私はお邪魔なのでしょうか」正人「答えねばならぬのか」じっと正人の方から視線を外さずいる雪野、しかし正人は振り向かず、その様子から精一杯耐えていると、正人は「・・・許せ・・・」と一言いって立ち去るのです。 正人の言葉から絶望した雪野は、夕暮れの海に吸い込まれるように入っていきます。 続きます。🎞️『炎の城』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。炎の城・・・(1)炎の城・・・(2)炎の城・・・(3)炎の城・・・(4)炎の城・・・(5)炎の城・・・(6)炎の城・・・(7)炎の城・・・(8)炎の城・・・(9)
2024年07月29日
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城へ帰れと・・・早く立ち上がれと庄司が身を挺して逃がしてくれ、城下を駈け抜け小舟で海に出た正人は、ある島に打ち寄せられていました。その島の小屋に正人の姿がありました。陀七という男が、疲れはてている正人に大盛飯をもってやってきます。正人が助けられたところは倭寇と呼ばれた海賊達が集まるところでした。陀七が仲間に入れと誘います。正人が「帰るところが無くなった人間なんだよ」というと、陀七は頭に会えと正人にいいます。正人は「うん」と明るくいうのです。 正人は、陀七に海賊の仲間入りしたのか聞きます。陀七が話します・・・王見城に支配されていた百姓のせがれだが、年貢段銭の取立が厳しくて、親父が首を吊ったよ・・・正人は陀七に、正人「それじゃ恨んでいるだろう王見城を」陀七「当たり前じゃねえか、いずれはここの仲間に頼んで、あの城に攻め込んでえ くらいだよ」正人「復讐か」陀七「そうとも。百姓の長い間の苦しみを思い知らせてやらなきゃ気がすまない よ」 正人「お前達と同じ思いをしてる奴は多いだろうな」陀七「皆だよ。王見城領内の百姓皆だよ」 陀七「遠い国から帰って来た城の若大将は、百姓の味方だという奴がいたが、俺は そんなことは信用はしねえ。・・・どうせ口ではうまいこといったって、同 じ穴の貉だ。・・・俺はまだ顔を見たことはねえがねえ」 しけが襲来した小屋の中、陀七の言葉は正人にやるべき情熱を再び燃え上がらせるのです。小屋の中を動きながら心で呟きます。『領民達は救いの手を待っている、それを思うとじっとしてはいられない。絶望の領民達は復讐を始めるだろう、王見城に。それに、父上のこの復讐を成し遂げなければならぬ。王見城を支配しているあの男に・・・。領民の復讐と平和を好んだ前城主の世継ぎの復讐と、この二つの復讐は』、そして、声に出し「そうだ、二つの復讐はいま一つになるのだ、俺によって、この正人の中で」 城へ帰って復讐へとかきたてる気持ちに、雪野はどうしようと・・・もうこの腕に雪野を抱く資格はなくなってしまった・・・それを思うと、声をあげもだえ苦しみます。 そうしたとき、父勝正の幻影が現れます。正人は思わず「父上」と・・・勝正の幻影は正人の近くへ来ると、正人に手で合図をしたのです。「父上、城へ帰れと・・・早く立ち上がれと・・・」正人はそう理解したのです。 続きます。🎞️『炎の城』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。炎の城・・・(1)炎の城・・・(2)炎の城・・・(3)炎の城・・・(4)炎の城・・・(5)炎の城・・・(6)炎の城・・・(7)炎の城・・・(8)
2024年07月23日
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あなたは、気が狂ってるんではないんですね正人が呼ばれて行こうとしている母時子の部屋では、丁度六角直之進に時子が話をしているところです。王見勝正を殺したのは師景、そのことを知っているのは、師景とあたしと直之進の3人だけ、しかし直之進も知らないことがあると、勝正が長い病気の折師景が無理矢理自分を犯したことを話します・・・・・ひたすら正人の帰りを待っていた、正人の前に身を投げ出して許しをこい、正人の思うままにすればよいと、・・・その正人が気が狂って帰って来た、どうすればよいかと苦しんだ、・・・時子は正人に何もかも白状してしまいたいと直之進にいいますと、「それは・・・」という直之進に「どうして・・・」と聞く時子。「和子はニセ気違いではないかという噂がございます」という直之進に、時子は「それならあたしは、いっそううれしい」という言葉がかえってきたので、そのことで直之進が意見をしているところに、正人の来るのを察し直之進は屏風の奥に隠れるます。正人が常軌を逸した状態で部屋へ入って来ます。時子は正人の父勝正を殺したのは自分ではない、それだけは信じてほしいといいますと、正人は母の顔を見て突き放し、正人「けものだ」そして、敷いてあった寝具を持ち正人「けものの寝床だ、・・・汚いな」 老いゆく身になお情欲の火を消しかねて、見ろ、この牝め脂ぎった牡と睦言だ」 時子は耐えきれなくなり、「正人」と。正人「恥を知れ、・・・といっても、けものには恥はないのだな。アッハッハ、臭 いぞ、臭いぞ、どこもかも腐った臭い」時子「そうです、・・・あたしは、一番大事なことを、母であることを忘れていた のです」正人「けものめ」 正人は、師景の使っている箱枕を時子の目の前に示し、正人「この牡は、お前の前の夫に比べれば、ねずみやみみずほどにも値しない奴 だ」そういうと、箱枕を投げつけ、座り込みます。時子には、正人の一言一言が剣のように胸を刺すと、いいます。 ひどい言葉を時子に投げつけていた正人は耐えられなくなり、どうして、どうしてあんなけものの寝床に率いられて・・・というと、顔を埋めて泣き出します。時子がもっとひどい言葉を投げつけてと、・・すると正人が、正人「そうだ、俺はもっといいたい、ののしりたい。・・・でも、でも父上の声が 聞こうるのだ。・・・弱い者よ、それが女だ。お前の母上はあんなに苦しん でいる。もう助けてやれと・・・」そのとき、時子は正人の方に向きを変え、正人を見つめます。正人「そんな父上の声が聞こえるんです」涙を流している正人の顔をじっと見つめると、確信したのです。時子「正人、・・・あなたは、気が狂ってるんではないんですね」 時子が正人にそう言ったとき、背後の屏風が動いたのです。屏風の後ろに隠れていた直之進が驚いて動かしてしまったのです。それに気づいた正人は時子の手を振り払い「けものめ」と言い放つのです。 正人「その屏風が動いた。あの強欲なけものめ、そこにいたのか」というと、剣を抜いて屏風に向い力いっぱいに突き刺したのです。 屏風と一緒に倒れて出たのは師景でなく、雪野の父直之進でした。物音で駆けつけた家中の者達を前に、正人は直之進を部屋から引きづり出して行きます。そこへ、「正気の沙汰ではないぞ、手出しはならん」庄司に逃げるよう促され庭先へ出た時、父に泣きすがる雪野の声、追いかける侍達に立ちふさがり正人を守るため命を落とす庄司の絶叫を背に、正人は城下を駈け抜けて行きます。 続きます。🎞️『炎の城』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。炎の城・・・(1)炎の城・・・(2)炎の城・・・(3)炎の城・・・(4)炎の城・・・(5)炎の城・・・(6)炎の城・・・(7)
2024年07月14日
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