H@CHIMAKI  COMP@NY

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第2話「朝比奈 紗代」

―――正直俺は、朝比奈 紗代とは縁がないと思っていた―――

3―3。女子出席番号一番、朝比奈 紗代。かなりの金持ちで、良家のお嬢様。この学校の誰もが知っている一般常識。
スタイルバツグンの成績優秀。まるで絵に描いたような美人。

しかし、不思議なことに彼氏がいない。

俺の周りの友達も何人か朝比奈に告ったと聞いた。その中にはイケメンな奴もいたし、性格の良い奴もいた。聞くところによると年上からも告られることもあるらしい。だけど、朝比奈の答えはいつもこう。

―――私と付き合うと不幸になる。やめて。

その言葉の意味に誰もが首をかしげた。
もしも、運良く結婚できれば逆玉の輿。どこに不幸があるのだろう?男は、ぶっちゃけ美人と付き合えれば嬉しい。(まぁ。性格も考慮するが)それは、女子がイケメンと付き合いたいというのと同じである。
そんなことはどうでもいいが・・・。

気付けばもう3年。「朝比奈に告ると、必ずフラれる」という意識が誰の真相意識にも根付いた今では告ろうとする奴なんて一人もいなくなっていた。それも今では一般常識。

「失礼しましたー」
俺は、部室の鍵を事務室に返してから帰路につくことにした。
部室で暇を潰していたために辺りには、生徒の姿がない。腕時計に目をやると、もう7時を過ぎていた。
「あーあ。徒歩は、メンドクサイねぇ・・・」
俺の家は、ここから徒歩20分くらいのところにある。自転車に乗ってしまえば、簡単なのだが・・・中一の夏に祖母の家で自転車ごと田んぼに突っ込んだ俺は、それからあまり自転車を使わなくなった。

そんなことを考えている間に俺は、商店街の方まで歩いてきていた。ここを抜けて駅を横切った住宅街に俺の家がある。
この時間帯は、会社帰りのサラリーマンや別の高校生やらでごった返すのであまり通らない。
「早めに帰っておけば良かったなぁ・・・」
俺は、雑踏を見てウンザリした溜息を吐いた。
「ん?」

するとその雑踏の中に見慣れた顔を見つけた。

「あれは・・・・」
見失わないように目で追う。その見慣れたヤツは、黒いスーツに身を包んだ長身の男と雑誌でも紹介されるほど話題の高級和食屋の中に入っていく決定的瞬間だった。
店屋の暖簾をくぐってスライド式の木製ドアを開け、吸い込まれるようにして入っていった。俺は、そのスーツ男の隣にいた女に見覚えがある。
そう。長身の男の隣にいたのは、まさしく朝比奈 紗代だった。

「朝比奈・・・・?」

いやそれよりも、隣のスーツ男は誰だ?彼氏?まさか、ありえない。2、3歳くらい年上に見えぞ。父親・・・あんな若いわけないか・・・。
しかもこんな時間になにしてんだ?

時間は7時過ぎ。
スーツを着た長身の年上男。
二人っきりで高級和食店。

俺の頭の中では、すぐ答えが出てきた。

「まさか・・・・援交・・・・?」

それは、至極単純でなんとも健全な男子の答えだった。




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