H@CHIMAKI  COMP@NY

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第1話「欠乏者たちの日常」



どこぞの県で欠乏者達が集団自殺をしたらしい。
という情報が朝、俺が新聞で目にした今日最初の出来事。

3時限目の突然の抜き打ちテスト。
あまり良くできなかったことが悔しい・・・。
というのが、今日2番目の出来事。

購買部の焼きそばパンが売り切れていた・・・。
明日は絶対に手に入れてやる。
これが、今日3番目の出来事。

そんな感じの一日だった。そんで、もう放課後。今日は部活無しである。

なんてことを頭で整理しながら俺、東 千太郎は、今日4番目の出来事である、保健室へ続く廊下を歩いていた。
これは1週間に約3回はあるな。

廊下に人は、いなかった。
窓から吹き込む夏の陽気が妙に生温かった。

月見ヶ丘学園のある、ここ月見ヶ丘町では、もう夏祭りの準備がにわかに始まる頃だった。
駅の商店街の店先には浴衣が並んでいたような気がする。

と。言っても。俺達にはあまり関係がない。

この学園からは、あまり外に出られないからである。
その風体や規則から通称「施設」と呼ばれるここでは、外に出かける気にはあまりならないからである。

寮から学校へ。学校から寮へ。

毎日、それの繰り返しだ。

これが俺達の日常。

・・・・・・・。


と。もう、保健室か。


薄汚れたドアには、「関係者以外立ち入り禁止!!」の文字が。

んなこと言ったら。ほとんど保健の先生しか入れないと思うが・・・。

ドアの立て付けが悪いのは知っている。
少し力を入れよう。

「失礼します・・・」

やはり固かった・・・。

ドアは軋みをあげながら開いた。
中は、熱気とアルコールの匂いがした・・・。

補足すると「アルコールの匂い」というのは消毒ではなく、酒の方のアルコールだ。
なぜか、この保健室の冷蔵庫には大量の酒が買いこんである・・・。
その理由は、本当にこの保健室の関係者以外に教えてはいけない。
それが、生徒たちの暗黙のルール。

他の先生など(特に校長と教頭)に言った次の日には。

保健室、永久利用不可は、まず免れないだろう。

そう、心得よ。

と、今、目の前にいる保健の先生。椿先生に入学当日に言われた。正確に言うと脅された。

「何か用か?」
現在25歳。彼氏募集中と書いてあるような顔が俺を睨んでいた。正直怖い。
「紅子の奴。来てます・・・」
言い切る前に分かった。後ろのパイプ椅子に座っていたのを俺は見つけた。
「よね・・・・」

「私は職員室に行ってくる。早くつれて帰りなさい。」
そういって椿先生は出て行った。


紅子は、俺に気づいたようだ。
「あ!千ちゃん!」
顔にはバンソウコウが数箇所に貼られていた。

適当なパイプ椅子を引き寄せて腰を下ろす。
「また・・・いじめられたのか?」
肩をすくませる紅子。

なんでも。上級生に紅子専門のいじめっ子がいるらしい。
女子のいじめは、怖いと聞くが・・・どんなものかは、分からない。
紅子は怒の感情が欠乏しているため、よほどの事がないと怒らない。
いつもニコニコとしている。

そう。
いつも。
どんなときでも。

いじめられても。

「帰ろうか・・・。」
「うん!」
そう促して、俺達は保健室から出た。

保健室の近くには、校長室がある。
俺達はそこの近くに下駄箱があった。

「今日の料理当番、誰だっけ?」
「確か。南だな・・・・」
「ヤッター!南ちゃんの料理美味しいもんね!」
確かにそうだ。
風太の料理は食えたもんじゃないからな。
俺達は、一緒の班だった。
班というのは、寮生活をするグループのことだ。
この校舎の裏にバンガローのような家がいくつかあり。そこで生活する。
他の人間にとっては夢のような話だが。
正直、俺達には、牢獄に閉じ込められているような気分だ。

「千ちゃん。あれ、誰だろう?」
「ん?」
校長室の前で紅子が立ち止まった。
見ると、そこには校長と話している眼鏡の女性と横には黒い長髪の女子がいた。
「転校生か?」

黒髪の女子は、こちらに気づいたらしく。微笑みながら手を振った。

第1話「欠乏者の日常」

あっけないが。これが俺達の出会い。

今日5番目の出来事だった。











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