H@CHIMAKI  COMP@NY

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第2話「転校生」



「千ちゃん。どうしたの?ボーっとして。全感情が欠乏したのかなっ?」
「考え中。」
「ふーん。」

夏の夕暮れは遅い。それは、助かることだった。
寮へと続く道は高い木の並ぶ林で、薄暗く凸凹している。
ドジな紅子は、無駄なケガを増やさなくて済む季節だ。

林を抜けると見慣れた風景に。
そう。オートキャンプ場みたいに、バンガローの並ぶこの場所が俺達の寮。

周りは林に覆われていて、外部から隔離されている。
電話は、学校と、他のバンガロー、管理塔へ。
ここから出るのは、学校のときと休みで外出許可が出たとき、買出しのときのみ。
1ヵ月分の食費が各班に渡されて、それでやりくりする。
家事も自分等で。
協調性を高めるためだとさ。


俺達は「3」と書かれたバンガローの前にいた。
言うなれば、ここが我が家だ。

「ただいまー。」
玄関で靴を脱ぎ、中に入った。
中は、意外に広い。
一階には、リビング、バスルーム、トイレ、キッチン。
二階には、ベッドルーム。
TVもあるし。新聞もくる。

まぁ。普通の家と変わらない。

そこまで寮に金をかけているのは理由があるらしいが。詳しいことは不明。

「お帰り」
無理やり口を開いたような声で迎えたのは南だった。
片手にフライパンを持ち、エプロンと三角巾をしている、まるで家庭科の調理授業のような格好をして、キッチンから顔を出している。
第2話「転校生」


少々長めの茶髪ボブカットが印象的な奴だ。
肌は、白く。遠くを見据えているような目をしている。
「ただいま。南。風太は?」
「お風呂」
「みっなみちゃーんっ!今日のメニューは何かなっ!」
遅れてきた、紅子が叫んだ。
「ハンバーグ」
「えぇっ!マジ!?ヤッター!」
紅子は、そういうなり、二階の自室へ駆け上がった。うるさい奴だな。南の無口さを見習えよ。

俺は、カバンを置き。ソファーに横になった。
天井でクルクル回る変な物を見ながら。(あるじゃん。換気扇の進化バージョンみたいなやつ)

「なぁ。南。」
「なに」
「転校生、来るのかな?」
「知らない」
「そうか・・・。」

会話はそこで終わり、ジュージューとハンバーグを焼き始める南。

俺は、ふいに手のひらを見た。
生命線。短かった。

ピンポーン。

小気味良いベルがバンガローに鳴り響いた。

「誰だ?」
呟いて、玄関へ向う。

ドアを開けるとそこにいたのは、さっきの転校生と眼鏡の女性だった。
「3班は、こちらですよね?」
眼鏡の女性が強い口調で尋ねた。
「はぁ・・・。そうですけど・・。」
「ああ。良かったわ・・・。」
女性は向きかえりカツカツとハイヒールを鳴らして歩き出した。
「じゃあ。蒼井。しっかりやるのよ。」
そう口走って、逃げるようにして走り去った。

ああ。そういうことか。
コイツも親に見離されたか。

「えっと・・・。」
「ああ。ゴメン。入って。」
「はい・・。お邪魔します。」
転校生は、俯きながら部屋へと入っていった。
ドアを閉めかけると、少しだけ月が見えた。


月は俺達のように欠けていた。




オマケ
オマケ





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