H@CHIMAKI  COMP@NY

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第11話「始まる苦しみ」


口の中が苦い・・・。泥か・・・?口を動かすとわずかに砂の感触・・・。
ふとアサリを思い出した・・・。

ここは冷たい・・・。でも・・・。左手には柔らかさとわずかに暖かい手の感触があった・・・・。

蒼井。

「ぶはあっ!!!!」
俺は泥水と砂利の中から顔を出し、大きく息を吸った。

「ぶはっ!!」
俺の横から蒼井が顔を出した。

どうやら、あの雨の中で土砂崩れに巻き込まれたようだ・・・。

口の中の砂を吐き出しながら蒼井を引っ張ってそとに這い出た。

「はぁ・・・はぁ・・・ケホッ・・・ケホッ・・・」

蒼井を横目で見ると少し嫌な予感がした・・・。

かすかに耳に入る滝のような轟音。

「なんの音だ・・・・?」

「東さん・・・・!」

俺達の目の前を流れるのは、蛇のような泥の濁流。

雨はさっきよりも激しさを増していた。

「なんてこった・・・・。」

俺達は、完全に隔離されてしまったらしい・・・・。
まるで自然の牢獄。

前を見れば、泥の濁流。

後ろを見れば、流崩れた崖と・・・・防空壕?・・・・。
なぎ倒された木々の間に防空壕が見えた。

「蒼井、ここにいてもしょうがない・・・。あそこに入って助けを待とう・・・。」
「はい・・・。ケホッ、ケホッ・・・。」

そういって俺は、蒼井に寄り添い防空壕へ歩き出した。

誰か気づくのか?この土砂崩れに?
さっきの轟音に誰か気づいたか?

本当に助けは来るのか?


また、紅子の笑顔を見れるのか?
また、南の料理を食えるのか?
また、風太の半裸・・・・は、見たくないな・・・・。

咳き込む蒼井を見ると、また不安と嫌な予感が募った。


俺は暗くなった左目を擦った。

「くそったれ・・・・・・。」


俺達は助かるのか?答えてくれよ神様・・・・。





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