H@CHIMAKI  COMP@NY

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第15話「なくなった。」



廊下に出てみると、蒼井の病室の前をなにやら忙しく走り回っている看護士さん達を見つけた。

「あれ?東さん、起きて大丈夫ですか?」
後ろから声。振り返ると昨日の看護士さんがいた。
「おかげさまで・・・。」
「そうですか。良かったですねぇ。」
看護士さんは、微笑んだ。
「あの・・・どうしたんですか?」
「ああ。星さんの目が覚めたのよ。」
「そうですか・・・。」
俺は少しホッとした。
「これから色々と検査があるんで、面会は夕方頃にね。」
そういって看護士さんは、行ってしまった。



午後になって面会に来たのは意外な奴だった。

ガラッ、と病室のドアが開いた。
「よう!元気してるか?」
この軽い調子の声は、風太か。
「なんだ風太か。」
「なんだとはなんだ。」
「珍しいなお前一人なんて。」
「・・・・・。」
風太は、黙り込んでパイプ椅子に座った。
「なぁ・・・。千太郎・・・。」
「なんだよ。」
「お前・・・。南のこと好きか?」
はぁ?
「何言ってんだお前?」
「どうなんだ・・・。」
妙に改まった態度だな。
「今更そんなもんはねぇよ。俺達、家族だろ?」
「だよなぁ・・・・。」
「まさかお前。」
そういうと風太は、顔を赤らめた。気持ち悪りぃよ。誤解されたらどうすんだ?
「俺・・・。南が好きなんだよ・・・。家族とかじゃなくて・・・・。」
「ふーん・・・・。」
「もうちょっと驚いてくれたっていいんじゃないか?」
「いや別に。驚かないし。」
「そっか・・・・。なぁ。俺はどうすればいいと思う?」
「知らねぇけど。お前の好きにすればいいんじゃないか?」
「そうか・・・・・。」
そう言って、風太はドアに向った。
「風太。」
「ん?」
「頑張れよ。」
「ああ。」
風太は、いつもの調子で笑った。

バタン!!、と急にドアが開いた。目を向けるとあの看護士さんが。
そのまえに気づいたのは風太がドアにはじかれたことだが・・・。
「東さん!!大変です!!」
「ど、どうしたんですか・・・?」
「星さんが!!」


「星さん。本当に覚えてないんですか?」
「はい・・・・。」
と、蒼井がベッドで半身を起こして医師と話している。
「もう一度聞きます。月見ヶ丘学園は、分かりますか?」
「いいえ・・・。」
フーっと医師は、ため息をついた。
「今日はゆっくり休んでください。明日になれば思い出すかもしれません。」
「はい・・・・。」
そう言って蒼井は、俯いた。

「すみません!!。」
俺は出てきた医師を呼び止めた。
「どうしたんですか?」
「蒼井は・・・。」
「まず。記憶喪失とみて間違いないでしょう。」
「記憶喪失・・・・。」
「療養すれば自然と思い出すでしょう。」
そう言って医師は、歩いていった。

俺は、蒼井の病室のドアを静かに開けた。
涼しい風が流れている。
「誰ですか・・・?」
蒼井は、不安そうな顔をして俺を見た。
「蒼井・・・・。」
「誰ですか・・・・。」
震えるような声で俺に聞く。
「覚えてないのか・・・。」

「誰ですか・・・・・。」

蒼井は、泣き出しそうな声でまた聞き返した。




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