H@CHIMAKI  COMP@NY

H@CHIMAKI COMP@NY

第16話「姉さん。事件です。」



僕の名前は沖 隼人。
沖家の長男だ。
今は中二、今日は我が姉に会いに行くためにここ、月見ヶ丘町に来た。

駅前の商店街を抜けて、住宅地を抜け、この町の名前の由来でもある月見ヶ丘のふもとまで来ていた。
このふもとの病院の横を過ぎて、坂を歩くと月見ヶ丘学園か。

「それにしても・・・。田舎だな。なんで姉さんは、こんな町に来たんだ?」

思えば、中二になった姉さんが突然、月見ヶ丘学園に転校したいと言ってから、もう2年か・・・最後に会ったのは1年前か?

今日は、そんな姉さんを連れ戻したくて来たんだ。

姉さんには、沖家を継いでもらわないと・・・。

思考は、そこで終わり、ポケットの中から地図を出して改めて見た。
「えーと・・・。そっちがハイキングコースの入り口だから・・・。次の道を左か・・・そうすると病院があるんだな。」
地図をしまって、また歩き出す。

地図の通り、次の分かれ道を左に行くと白い建物が見えてきた。
「あったな・・・。どこかに坂道があるはずだけど。」
辺りを見回す。

「ん?」

そのとき、病院から同年代くらいの男女が3人出てきたのが見えた。
1人は、男。3人の中で一番背が高かった。
後の二人は女の子だな。1人は3人の中で一番背が低い。すこし紅みがかった髪をしている。

もう1人は・・・・。
少し思考が止まった気がした。

少々長めのボブカットに透き通るような白い肌・・・遠くを見据えているような遠い目をしていた・・・。

な、なんなんだ?この胸の高鳴りは・・・。
まるで、魅入ったような・・・・。魅入った?

もしかして・・・・。これが噂の・・・。

一目惚れ?

まるで脳に電極を埋め込まれたような・・・。そんな感じがした。

僕は少し、後ろに下がった。

地元の子だろうか?
どこに住んでるのだろう?
名前は何というのだろう?
中学だろうか?

いっぺんに知りたいことが頭をめぐった。
「ん?」

などと考えている間に、3人は学園へと続く坂道を歩いていった。

「月見ヶ丘学園の人なのか?」

吸い込まれるかのように僕は3人の後を追った。



「って。わけなんだよ・・・。姉さん。」
そう言って、僕は俯いた。

ここは、姉さんの暮らす、1班のバンガロー。
僕は、ここまでの経緯を姉さんに話していた。

「ちょっと見ないうちの成長したわね。あなたも。」
姉さん、親戚のおばさんみたいなこと言わないでよ。
今、向かい合って話しているのが僕の姉さん、沖 洋子だ。
今日の髪型は、少し毛先がカールしている。
「そうねえ・・・。ボブカットに・・・白い肌・・・・。3人組・・・。」
「あ。」
「え!心当たりがあるの?」
「ま・・まぁね・・・。」

な・・なんで・・・。よりにもよって、あの3班の・・・。

南 南・・・・。

なんであんな無口女がいいのかしら・・・・。

「ね・・・ねぇ。隼人・・・。なんで、その人がいいの?」
「えーと・・・。ひ、一目惚れってやつかな・・・・?」

一目惚れですってぇー!

・・・・。でも・・・隼人の決めたことだし・・・。
私は・・・姉として応援してあげるべきなのよ・・・・。
「隼人。明日、3班のバンガローに行ってきなさい。」
「3班・・・・?」
「そう。あなたが一目惚れしたのは、多分3班の南 南っていう、女の子よ。」
「南 南さん・・・・・。」
「ありがとう。姉さん、僕頑張るよ。」
「え、ええ。頑張ってね・・・。」
そう言って隼人は二階に行ってしまった。

はぁー。正直・・・もっといい人がいるんじゃないかしら?
確かにあの子は料理も家事もできて、しっかりしてるけど・・・・。

「そういえば。なんで隼人は私に会いに来たのかしら?」

姉さん。事件です。まさに今。恋の嵐が吹き荒れようとしていた。


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: