音楽雑記帳＋　クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンが監督なので見に行きました。
事前に前田有一氏の批評を見ると、お正月映画で随一と書かれてあり、期待していました。
会場はがらがらで、３割程度の入りでした。
結論から言えば、まさに非常に優れた作品であると思います。
ＳＦＸはもとより、アクション場面のすごさ、
コングとアンの触れ合いの美しさなどが、余すところ無く描かれています。
さすがに、'33年製作のオリジナル版に惚れ込んでいた監督だけのことはあると思いました。
　内容は、一言で言えば、ロード・オブ・ザ・リング＋ジュラシック・パーク＋キング・コングといった感じでした。
最初の２時間２０分あまりは、髑髏島での出来事が中心で、
残りの４０分ほどが、ニューヨークでの出来事という時間配分でした。
島でのキング・コングと恐竜たちの戦いが延々と続きますますが、
全くだれることがありません。
恐竜が恐竜を喰う場面などすごくリアルです。
また、この手の映画につきものの、おぞましい甲殻類の昆虫や、なまこの怪物みたいな物などが、
ぞわぞわと出てきて、非常に気味が悪いです。
ただ、ステゴザウルス？が肉食恐竜に追いかけられている場面で、
人間だけが何故かつぶされないで生き残るのは、いかにも、ちょっと、と思いますね。

　キング・コングはモーション・キャプチャーですが、良くできていたと思います。
キング・コングとアン・ダロウとの情愛？も良く描けていて、
単に美女と野獣という感じではなく、コングの仕草がとても人間的でした。
このアンとの触れ合いで印象に残ったシーンは、
ジャングルの丘で美しい夕焼けを一緒に見るシーンと、
ニューヨークに連れられてきて、逃げ出した後、アンと出会い凍り付いた川で遊ぶシーン、
クライマックスのエンパイア・ステート・ビルディングで、
つかの間の休息に美しい夕焼けを見るシーンでしたが、とても心に残りました。
最後、落ちていく前に見せる表情に、無念さを感じて、
涙腺が緩みかけてしまいました。
危ない、危ない。。。

ＳＦＸはその通りすごい物でしたが、ニューヨークの３０年代の車が変にぴかぴかしていて、
安っぽい感じがしたのは、ちょっと残念でした。
髑髏島の城塞やニューヨークの町並み自体は、とても良く描けていたと思います。

　俳優では、主役のナオミ・ワッツの演技が非常に優れていました。
元々が喜劇役者という設定ですが、側転やバック転、
お手玉もとても上手でした。
それから、コングとの触れ合いの場面での心理描写も非常に優れていると思います。
思わず、感情移入しそうになるほどでした。
　あと映画監督カール・デナム役のジャック・ブラックも、
その抜け目のなさを遺憾なく演じきっていました。
脚本家ドリスコル役のエイドリアン・ブロディはどこかで見た顔だなと思って、
しばらく見ていましたが、「戦場のピアニスト」を演じた俳優であることを思い出しました。
あの映画の時と役柄的にあまりイメージが変わらないですね。
どことなく、頼りなげですが、いざとなったら力を発揮する役をうまく演じていたと思います。
エングルホーン船長役のト－マス・クレッチマンもすごくかっこ良かったですね。
キング・コングとコックのランピーの二役を演じたアンディ・サーキスですが、
コングの演技がまさに動物そのものの動きで、とても良かったと思います。

　音楽は、ジェームズ・ニュートン・ハワードですが、
おどろおどろしくない、むしろ少し悲しみが織り交ぜられたようなとても美しい音楽でした。
また、挿入歌としてアル・ジョルスンのI'm Sitting on Top of the World、
ペギー・リーのバイバイ・ブラックバードなどが入っていましたが、
１９３０年代の雰囲気作りに一役買っていたと思います。
とくに、ジョルスンの歌が出てくると一気に映画の中に引き込まれてしまいました。
さすが、アル・ジョルスンですね。

最後に３３年のオリジナル版にこの作品を捧げるというキャプションが映し出されていました。
オリジナルを見たことはないですが、機会があったら見たいものです。
ということで、３時間という長さを全く感じさせない、優れた作品だと思います。
まだご覧になっていない方は是非！！

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