チャーミングな男性



新婚の頃、家のだんなが出張で一ヶ月ほど
家を開けることになった。

その時だんなが仕事場の友人だという男性を
紹介してくれた。

だんなの友達は全員紹介してもらったと
思ってたのにその人は始めて見る顔。

すらっとした黒人の男性で身に着ける洋服も
モデルみたいにおしゃれ。
とてもチャーミングで
中性的な雰囲気の漂うC君。

家のだんなはホワイト(白人)だけど、
色々なカラーの友達がいる。
コリアン系、ジャパニーズ系、ブラック系、
スパニッシュ系、ハワイアン系、フィリピン系。

日本人が日本人同士で固まっちゃう様に
アメリカ人も同じ肌の色同士で固まる傾向が
少なからずもある。

私はそんなだんなの自由な交友関係が好きでした。
私の妹のだんな(日本人)とも直ぐに打ち解けて
親友の様になっちゃった家のだんな。

国籍も人種の壁も直ぐに超えてしまう、
そんなオープンマインドの所が国際結婚しても
うまくいくだろうと思った理由の一つ
だったと思います。

「僕がいない時に困った事があったら
C君に電話して助けてもらってくれ」

だんなは更に続けて言った。

「たまには君を食事や映画に誘ってやってくれと
彼には頼んであるから。」

(^_^;) あっありがとう。

でも家のだんな、
C君と食事なんか行って嫉妬とか
しないのかな?

何か変…。

だんなが出張に出て1週間した頃、
私はだんなの仕事場に歯医者の保険の加入
手続きの為に出かけた。

C君が保険の手続きをしてくれた。
まだ英語も今ひとつな私に丁寧に
わかりやすく説明してくれる。

私の緊張も一瞬でほどけた。

それにとっても感じの良い人で話もはずみ、
週末に映画に一緒に行こうという話しになった。

(・・? でもさ~
いいのかな?
他の男性と映画なんて…

でもだんなが言ったんだからいいんだよね?
C君はとても清潔感があって紳士だし。
変な心配する必要はないよね。

その時見た映画は何だったか
忘れてしまったけど、その後
映画館の隣にあるレストランで食事
をする事になった。

C君は優しそうな目で私をずっと見つめて
だんなの話をず~~~~~~っと最後迄
話し続けてくれた。

だんなの普段の仕事振りや
結婚する前の事。
色々知っていて、とにかく
とても褒めた。

だんながどんなに仕事場でも
人気があるかとか、

どんなにスポーツが良く出来て周りから
人望が厚い存在だとか、
誰にでも親切だとか。

こんなに私のだんなの事よく
知っている人なのに
だんなは今まで私にどうして紹介
してくれなかったのだろう?

ちょっと不思議。

だんなが出張から戻るまで
C君は何度も家に電話もくれた。

たわいのない話をして
楽しい時間を過ごし、
だんなの長い出張もあっと言う
間に過ぎてしまった。

ようやく出張から戻った
だんなに焼きもちを焼かせようと、
どんなに私が
楽しい時をC君と過ごしたか、
大げさに話してみせた。

だんなは
「あっそう、良かったね」
の一言。

あ~つまんない。(-_-)y-~

それからしばらくして、
私はだんなの別の同僚にC君の
事を話す機会があった。

C君は元気?最近見ないけど
彼はとてもいい人ね。

「あ~Cは会社を辞めたよ
Cは君のだんなにぞっこんだったからな。
結婚しちゃってかなり落ち込んだんじゃないか?」

( ̄Δ ̄;) ハァ~~~ッ?

そう、C君は会社では有名なゲイだったのです。

家のだんなはゲイと言うだけで
みんなから“のけ者”にされていた
彼にもやっぱり優しくて、
とっても好かれていたそう。

だんな曰く、彼ならいい奴だし、
君に手を出す心配もないから
君の事をサポートしてあげて欲しいと頼んだんだ。

そう言えばだんなの事を話す彼の目から
嫉妬を感じたような気もした。

ゲイの彼に私の見張り役を頼んだという訳ね。
だんなには一本やられた!って感じでした。


トーマスの思い出

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