『駅』


夏が過ぎ 秋が来ます。
風もじょじょに涼しくなって
日が暮れるのも早くなりました。
夜には虫の声も聞こえます。
感じますか? この風の涼しさを
感じますか? この日の短さを
聞こえますか? この虫達の鳴き声を
感じますか?見えますか?聞こえますか?

駅のプラットフォームに立っていると
あなたが走ってくるような気がします。
過ぎた季節の格好のまま 走ってくるような気がします。

季節を感じる事の無くなったあなたは
全てを捨ててしまったあなたは
二度とこれらを感じる事も見る事も聞く事も無い。
大切な日々をあっさりと捨ててしまったあなたは
それでも
それでも どこか遠くで私の声を聞いてくれている事を望んでいます

駅のベンチに子供用の麦わら帽子が一つ
ぽつんと寂しそうに置かれていました。
もう、秋が来ます。
あなたのいない 秋が来ます。
あなたの捨ててしまった 季節が来ます。


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