ブックアドバイザー木村綾子の日々の徒然

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2026年02月10日
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『​ しずくと祈り



広島平和記念資料館に展示されている「人影の石」をご存じでしょうか。
これは爆心地からほど近い銀行の入口にあった石段に座っていた人の影と言われています。
ここに座ってた時に被爆し、命を落としたのは誰だったのか。
その一族の方の物語をフィクションを織り交ぜながら物語として紡いだのがこの作品です。

この石段は私自身は平和資料館でしか目にしたことがないのですが、私の母はこの石段が平和資料館に移る前、まだ、石段が銀行の石段として利用されていた時に見たそうです。

恐らく、今はもっと薄くなっているのではないかと想像します。
記憶だけではなく、物理的なものも風化していっているということ。
80年の歳月は短いようで長い時間なのだと実感しています。

さて、物語の方ですが、この石段に移った影が特定されつつも、そこに名前が掲載されたのは、あの日から50年以上の時間がかかっています。
その理由が物語の中に織り込まれており、そして今は再びその名前が説明書から消えているとのこと。
そちらも、もちろん物語に記されています。

石段の影の主は誰なのかということを正直私は考えたことがありませんでした。
広島で生まれ育ちながら、平和教育も存分に浴びても尚、まだまだ自分の思考が停止している状況であることをこの物語におり、思い知らされ、更には被爆した物質も風化していく……と言うことの視点も後併せていなかったなと猛省した次第。

そして、他の原爆関係の本を読んでもそう思うのですが、この原爆が落とされなかったら……たくさんの人々が「広島」という古来からの文化を受け継いで、今の広島を彩ったのではないかと思うと、悔しいだけでなく、切なくも思うのでした。


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最終更新日  2026年02月10日 06時40分02秒 コメント(1) | コメントを書く


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