サクラチル*..。*・.*

サクラチル*..。*・.*

ずっと いつまでも *後編*





雨の音がうるさいぐらい部屋に響いた。

剣心はあれからすぐに家に戻ってきた。




「薫殿。なぜ・・・。」







剣心は今だに自分の見たものが信じられなかった。まさか薫殿が自分以外の男と

親しくしていたなんて。しかも とてもうれしそうな笑顔をその男に向けていたな

んて。






「薫殿はもう覚えていないのでござろうか。」






すると、玄関から薫の声が聞こえた。


「ただいまー。おそくなってごめんねー。」



しかし、剣心は返事をする気にはなれなかった。



すると、いきなり剣心のいる居間のふすまがあいた。薫は少し怒ったような表情を

見せると



「もー!いるんじゃないの!声かけたんだから返事くらいしてよね。」と少しため

いきまじりに言った。


「ああ・・・すまないでござる。」


「?剣心どうかしたの?」


「いや、なんでもないでござるよ。それより薫殿。雨が降っている様でござったが大丈夫でござるか?」




「え?ああ。それは平気。赤べこで傘かしてもらったから。」


「そうでござるか・・・。」



「ねえ。やっぱりちょっと元気ないわよ剣心。どうしたの?どこか痛いの?」




「なんでもないでござるよ。」



「剣心がなんでもないって言う時は必ずなにかあるんだから!正直に話してよ!」




「・・・ならば薫殿もこれから拙者が言うことに正直に答えるでござるよ。」


「いいわよ。なに?」





「薫殿。今日拙者の知らない男と町にいたでござろう。あれは一体誰でござる?」



「え!なんで知ってるの?!」



「今日薫殿の帰りが遅いうえに雨まで降ってきたから町まで迎えに行ったのでござ

るよ。でもこれで家に居ろと言っていた意味がわかったでござるよ。他の男との

逢引きを見られたくなかったからなのでござるな。」





「は・・・?何それ。」

















「呉服屋に?そうでござるか。ありがとうでござる妙殿。」


そう言うと剣心は赤べこを勢いよくとびだしていった。



「ホンマ 薫ちゃんのことになるとなんでも一生懸命なんやから。ハァ。ウチにも

そんな男性があらわれんやろか。」






剣心が薫を見つけだすのに、そう時間はかからなかった。

剣心が呉服屋を数件まわると、やっと薫の姿を見つけることができた。





「やっと見つけた薫殿。あまり心配かけないでほしいでござ・・・る」




剣心の薫に歩みよる足が止まった。出るはずの声は出ず、のばせるはずの手はあが

らずふるえていた。一瞬にして全身が凍りついたようだった。

剣心は自分の目に映ったものが現実なのか夢なのか、それすらも分からなかった。




「な・・・ぜ・・・。薫殿・・・・。」





さきほどから降り続く雨は、まるで剣心の心を打つかのようにいっそう強く

降り始めていた。

















「・・・薫殿は拙者たちが結婚した日のことを覚えているでござるか?」



「もちろんよ。」


「ではその日交わした約束は?」


「・・・!!」




薫は今になってようやく剣心の機嫌がなぜ悪いのかに気がついた。そして少しおか

しくなって思わずふきだしてしまった。



「あはは。剣心と一緒になった日なんだからちゃーんと覚えてるわよ。『ずっとあ

なたと一緒にいたい。だから私に隠し事はやめてね?私も隠し事はしないように

するから』でしょ?でも小さい隠し事はいいって言ったじゃない。」



「逢引きが小さい隠し事!?拙者薫殿がそんな人だとは思わなかったでござるよ!

!」



薫はため息をつきながら




「だーかーらー。違うんだってばぁ。ハァ。このまま話しててもこじれていくだけ

ね。本当は祭りの日まで内緒にしておきたかったんだけど・・・。」




と、なにやらもっていた袋をガザゴソと探し始めた。




---------祭り?----------






薫が袋から出したのは上品そうな浴衣だった。





「今度町で夏祭りがあるでしょ?その時に剣心に浴衣着てもらいたいなって思った

の。でも私じゃ男の人ってどんなのがいいか分からないし。だから妙さんのお友達

に一緒にえらんでもらってただけなの!」



「妙殿の友達・・・。」




「そうよ!まったく。こういうことになると思ったから家にいてって言ったのに。

でもまあ、遅くなっちゃった私も悪いわね。ごめんね。」




「・・・拙者。穴があったら入りたいでござるよ。」



「ふふ。でもうれしい!やきもちやいてくれて!」



「(///)」






「ねぇ剣心!今度のお祭りだけじゃなくて、その先も。これからもずっとこの浴衣

着て一緒にお祭り行こうね!」



「ああ。」





剣心はそう言うと優しくうなづいた。














君との幸せも、この先ずっと続いてほしい。

『ずっとあなたと一緒にいたい。』


そう言ってくれた君の気持ちにウソはないと思うから。





これから先も     ずっと   ずっと   いつまでも----------。



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