2005年01月29日
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カテゴリ: 本読み
今月読んでおもしろかった本たち

『数学者の休憩時間』藤原正彦
この人の『若き数学者のアメリカ』『一数学者のイギリス』は
とても面白くていずれも一気に読んで、あとからも思い出せる内容
だった。
この二冊を読んでも彼が新田次郎の息子だとはわからない。
でも今回読んだ『数学者の休憩時間』については父である新田次郎に
ついての記述も多く、父・新田次郎の姿はもちろん作家である新田次郎
の姿についてもたくさん書いてあった。

本著所収の文章は昭和60年代に書かれたものらしい
その頃ぼくは小学校高学年~中学生だった。
日本はバブル景気に湧き、「受験」「偏差値」というのが中国の「科挙」
のように重要視されていた時代だ。
反対にアメリカ経済は絶不調。腹いせに日本車を大ハンマーで叩いたり
大人げなさを露呈させていた。
教育についても、日本の「受験」や「偏差値」偏重の社会に疑問を
呈する声が多かったけど、いざアメリカの教育制度と比べると
アメリカの人種間教育機会の不均等や、低い識字率などが上げられ
日本人の方が優秀だ、なんて言われていた頃だ。
藤原さんはアメリカ社会の教育ということについて述べている

「いかなる国においても、いかなる時代にあっても、教育の荒廃が単独で
起きることはない、と私は思う。学力低下、非行、教員資質の低下等、
どの事象をとっても、それは社会に深く根ざしている。低下しているのは
子供や教師達だけではなく、政治家も官僚も、学者も主婦もみな同様と
考えられる。人心の荒廃が教育において最も劇的に現れる、というだけ

一般論として書いているが、十数年前のアメリカについての記述である。
これって、まさに現在のどこかの国にもあてはまるんじゃないの?
とおもった。

『昭和新山』新田次郎
藤原正彦さんの本と同日同古本屋で買った本。
これは短編集。
表題作である「昭和新山」は去年の初秋に見てきたばかりなので
地理感もあるし、読んでいると情景が良く浮かんできておもしろかった。
『氷葬』は第一次南極越冬隊の備品である「保温洗滌式人体模型一号」に
ついての物語なのだけど、史実にもとづいた小説(フィクション)。
「保温洗滌式人体模型」とはいわゆる「ダッチワイフ」の官名である。
越冬隊がこれを南極に持ち込み、一号は使われることなく氷葬され、
二号は帰りの船便で仕事をしたのち海に水葬される。
こういう話は笑い話にしていいのだろうと思うのだけど、当事者たちは
極めて真面目に悩み、いろんなことが巻き起こる。
そしてそれを語る新田次郎もまたとても淡々とした語り口なのだ。

『幕末』司馬遼太郎
亡くなってからもポツポツと新刊が出てくる司馬遼さん
司馬遼太郎の本はとても面白い。
面白い理由は、読んでいると司馬遼さんがぼくの目の前で高杉晋作や
坂本竜馬などの歴史上の人物、事件について語ってくれているように
感じられて、語り口が良いものだからぐんぐん話の中に吸い込まれる。
そして司馬遼さんの特徴は、主題とは直接関係のない小咄や解説が
随所に挿入されていることだとおもう。
こういった理由で、過去という歴史が情景として目の前に広がってくる。
『幕末』は、文字通り幕末の話なのだけど、司馬遼幕末物の副読本として
お勧めしたい。どれもこれも面白い小咄集といった感じの短編集。

ちなみにぼくが初めて読んだ司馬本でもある。
もう十何年前に父親の本棚から抜き取って一気に読んだ記憶がある。
今回、久しぶりの再読なのだけど、まったく古さを感じさせない。

『ママット』佐藤秀明
著者は椎名ファミリー(あやしい探検隊)写真記録係主任といった感じ。
椎名誠はもちろん野田知佑などの旅にも多数同行している。
たぶん一番有名なのは野田知佑と椎名誠を親に持つカヌー犬「ガク」の
一生を纏めた写真集。
一時期「あやしい探検隊シリーズ」を発行していた角川書店が
「これはおいしいブランドができるぞ!」と思ったのか
あやしい探検隊のメンバーの本をシリーズ化していたことがあった。
他とは違った紙質の表紙に共通の装丁をほどこして、裏表紙には
あやしい探検隊ロゴが付けてあった。
イラストレーター・沢野ひとしや弁護士・木村晋介、カメラマンの
岡田昇の本などはこのシリーズで角川デビューした。
『ママット』は秀明さんが北極へ写真を撮りに行ったときの話で、
「ママット」とはイヌイットの言葉で「おいしい!」ってこと。
なのでイヌイットの食べ物の話が中心だ。
本の初めの方は、カメラマンなのにこの人も文章うまいなぁ、って
思いながら読んで、「もしかしたらゴーストライター使ってる?」
とも思ったのだけど、ページが進むにつれてなんだか素人くさい文章
になっていく
と言っても、ぼくはそういう素人くさい、良く言えば感情丸出しの
文章がとっても好きで、この本も楽しく読んだ。
写真についてはカラーページが少なく、挿入されている白黒印刷部分の
写真は画質が悪すぎて残念。
この写真をカラーで見たいなぁ、っていうのがたくさんあった。
カメラマンはやっぱり写真にこだわってほしいよなぁ

佐藤秀明さんとは、もちろん直接あったことも話したこともないのだけど
以前働いていた飲食店に数ヶ月だけ来ていた自称カリスマ料理研究家の
人が(実際には旦那)が佐藤秀明さんと知り合いで、この人が持ってきた
自著の料理本の写真を担当したのが佐藤さんだった。
「えぇ!佐藤秀明さんと知り合いなんですかぁ!」と興奮して聞くと
「シュウメイ知ってるの?シュウメイは友達よぉ。よく八ヶ岳の別荘に
遊びにくるわよ」と言う
まぁ最後まで心を開くほど仲良くはなれなかったけど、この料研家が
佐藤さんと友達ってことで、ぼくはすごい人だなぁって思った。


+++++++++++++++++++++++++++++++++++


日本代表、今年の初ゴールは「柏レイソル」の玉田!
よぉ~し! レイソルがんばれ!
いやいや日本代表がんばれ!だな





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最終更新日  2005年01月29日 21時13分13秒
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Re:2005年1月期の読書(01/29)  
私は面白かった本があると、その作家を追いかけて読むのですが、新田次郎もその一人でした。
確か気象台に勤めていて、その関係のことを書いた本もあったと記憶しています。
奥さんが「流れる星は生きている」を書いた作家、藤原ていだから、藤原正彦はその二人の間の子供なのでしょうね。
「数学者の休憩時間」・・面白そうだから、探してきます(*^_^*)

今日、サッカー、カザフスタンだったんですね・・
「空中ブランコ」のシリーズの「インザプール」に夢中になっていて、見るのを忘れてしまっていました(>_<)残念。
玉田が点入れたんですね・・ニュースで見よっと。 (2005年01月29日 23時24分43秒)

Re[1]:2005年1月期の読書(01/29)  
hide-river  さん
るりいろるりりんさん
こんばんは
藤原正彦さんはとてもおすすめです
ちょうど去年の今頃も藤原さんの本を読んで
http://plaza.rakuten.co.jp/hideriver/diary/2004-01-13/
ここに感想書きました
興味があったらご一緒にどうぞ

藤原ていさんっていう人が母親というのはどこかで
知っていたのですが、どんな方なのかはわかりませんでした
『流れる星は生きている』
題名がすごく良いですね
今度探してみます (2005年01月30日 20時11分08秒)

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