バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

≪フランス≫パリに降り立つ



  パリの子供達が、手提げカバンを背中に背負って登校して行く。
 東京へ入って行く高速道路のように、パリへも高速道路のように、整備された道をスピードを増して、右へ左へカーブしながら街へ入って行く。

  午後一時半、バスはパリの街へ下り立った。
 しかし、ここがパリのどこらあたりなのか、まるでわからない状態でパリの土を踏んだ。
    ガイド「お疲れ様でした。良い旅を!」
 ここで降りるのは、俺一人。
 他の乗客たちは、終点のイギリスまで良くのだろう。

  降り立った前には、冬枯れの木立がそびえる公園がある。
 荷物を降ろし、今乗ってきたバスがロンドンへ向かって、走り去るのを見届け、ユースのガイドブックを広げ、パリのページを開けると、ユースの紹介が一軒だけ掲載され、簡単な地図も載せられていた。

  それによると、”O’Austerlitz(オーステルリッツ駅)”から20分の所にある、ChoisyーleーLoy(チョイシ・ル・ロイ)駅から歩いて15分と書かれた、すごく簡略な情報だった。
 まず、バス停に開示されている、路線地図を覗き込みながら、おおよその方向を目に入れ(方向音痴で有名なこの俺が?)、自信を持ってオーステルリッツ駅らしい方角へ向かって歩き出した。

  その駅がここからどのくらいの距離なのか、全くわからないのだが、とにかく 第一歩を踏み出したのである。
 地図によると、パリの入り口である”PL.DU.25.AO’UT1944”へ降り立ったらしいことが分かる。
 途中、フランス人に道を聞くが、どいつもこいつも英語を話そうとしない。
 俺は英語しか喋れない?というのに!

  途中、BANKで20US$(≒99フラン)を両替して、初めてフランス・フラン紙幣を手に入れた。

     ≪1US$≒5フラン、1フラン≒60円≫

  赤色刷りの漫画チックな、10フラン札と5フラン・1フラン・1/2フランをコインで受け取った。
 イタリアの札はひどく小さく、貧弱であったが、フランス・フランはなかなか上質で出来ている。
 現在の両国の国情がお金の紙幣やコインに良く現れているようだ。

  BANKをでると、買出しだろうか、葱を袋に入れて小脇に抱えている日本人と交差点で偶然目をあわせた。

    俺 「こんにちわ!」
    葱 「こんにちわ!」
    俺 「ここで住んでるんですか?」
    葱 「そうです!」
    俺 「オーステルリッツ駅はどう行けば良いですかね。」
    葱 「この道を真っ直ぐ歩けば、駅へ行けますよ!旅行ですか?」

    俺 「そうなんです。今、ギリシャからロンドンへ行く長距離バスで、降り立ったところなんです。どこか安い宿・・・知りません?」
    葱 「それだったら、私のいる宿はどうです?すぐ近くなんですけど・・・。」
    俺 「いくらですか?」
    葱 「そうですね・・・・16フラン(960円)/一日で自炊が出来るんですよ。」
    俺 「部屋、空いてますかね。」
    葱 「そうですね。・・・・いってみますか?」
    俺 「是非、お願いします。」

  彼の住んでいる宿は、ここから歩いて4~5分の所にある、小汚いアパートだった。
 彼が中に入って、大家さんに聞いてくれる事になった。

    葱 「駄目だどうです。今、部屋がいっぱいですって・・・。」
    俺 「そうですか?」
    葱 「残念ですね!」
    俺 「仕方ありません。ありがとうございました。」
    葱 「いいえ!力になれなくてすみません。」

    俺 「パリは長いんですか?」
    葱 「二年とちょっとです。」
    俺 「暮らしやすいですか、パリと言う街は?」
    葱 「ヨーロッパは物価が高くって駄目ですね!北へ行けば行くほど、物価が高くなって生活できないですよ!」
    俺 「そうですか。」
    葱 「・・・・・・。」

    俺 「普通安い宿って、相場はいくらぐらいなんですかね?」
    葱 「そうね・・・・、20~30フラン(≒1200~1800円)/日ぐらいじゃぁ・・・ないですか!」
    俺 「そんなもんですか!」
    葱 「でも、食事は別ですし、シャワーのお湯だって別料金ですから・・・・ただベッドで横になるだけの値段ですからね。」
    俺 「有り難う!」
    葱 「いいえ!」
    俺 「とにかく、オーステルリッツ駅まで行ってみます。」
    葱 「気をつけて・・・。」

                  *

  背中の荷物が肩に重く圧し掛かってくる。
 途中、日本人学生らしい集団も見かけるが・・・いつものように、日本人同士肩寄せ合って、よく言えば励ましあって、悪く言えば日本人同士でしか異国でも生きていけないというか、曽於な感じの日本人に出会った。

  何とか、駅に辿り着き、駅構内に入る。
 チョイシ-・ル・ロイ駅と言う文字を何とか探し出し、チケットの自動販売機の前でウロウロしていると、フランス人が寄ってきて「何処へ行くんですか?」とフランス語で聞かれたと判断して、「チョイシ-・ル・ロイ駅」と言う文字を指差した。

  すると分かったのか、コインをもっと小さいものに両替するように教えてくれたではないか。
 すぐ近くに、両替機が置いてあり、そこでコインを小さくして、切符を何とか手に入れることが出来た。

  Choisyまで2.20フラン(132円)。
 駅構内のインフォメーションに行って、色々情報を得ようと英語で話をするが、係りの女の人は英語を知っていながら、フランス語しか喋ろうとしないではないか。
    俺    「英語で喋れよな!」
    フランス女「私はフランス人、フランス語しか喋んないのよ!」
 とにかく、英語を使わない。
 知っているのに・・・・である。
    俺    「くそ生意気な女め!」

  良く見ると、ここは国際列車のインフォメーション。
 恥をかきながら、チケットを持って駅の地下に降りて行く。
 日本の地下鉄と全く同じで、すぐ四両編成の電車が入ってきたのは良いが、目の前をスーっと通り過ぎて行く。
 随分と離れたところで、やっと停まった。
 慌てて走りよる。

    俺   「くそ!!電車までフランス製らしく、俺を無視しやがる!」

  降りてきた車掌に「Choisy駅まで行くのか?」と確かめると、「ウイ!ムッシュー!」と言われ、慌てて飛び乗った。
 日本の電車よりも少し狭く見えるが、なかなか清潔な車内である。
 オーステルリッツ駅からチョイシ-駅まで、間に三つの駅があるはずなのだが、この電車快速電車なのか、五分も走ると一駅でチョイシ-・ル・ロイ駅に到着してしまった。



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