アントレプレナー塾長 「大人の探検隊日誌」 夢のソーシャル・アントレプレナー            

アントレプレナー塾長 「大人の探検隊日誌」 夢のソーシャル・アントレプレナー            

再建請負人


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                第8号
               ★★★★★★★ 
       「見方が変わる!『超』マーケティング発想法」
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  ●発行責任者:アントレプレナー塾 塾長 三丘 大詩
 読者数:886名
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【はじめに】☆★☆★☆★☆★☆★―――――――――――――――――――
 こんにちは!みつおかです。早いもので今年も余すところ十日程になりまし
たね。皆さんはもう年賀状書きましたか?私は今年も最後に一気に書きます。
この切羽詰らないとやらない性格なんとかなりませんかね。さて、今回のテー
マをがらっと変えて「会社再建」について考えてみたいと思います。 
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◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇ ターン・アラウンド考1 ◇◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆
         会社再建請負人のリストラなしの再建    
     わづか1年半で42億円の営業赤字を33億円の黒字に!
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●慶應大学の丸の内キャンパス・夕学五十講にはじめて申し込んだ。ダイエー
を立て直した高塚猛氏の講演であった。高松氏というと小久保選手トレードの
超本人のイメージがあったので、興味津々で聞きに行った。はてさて福岡ダイ
エーの巨額赤字をどのように立て直したのであろうか♪ お手並み拝見・・。
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▼ダイエー中内功氏に三顧の礼で迎えられたのが会社再建の請負人、高塚猛氏
である。その時、福岡ダイエー球団、ホテル、ドームの三点セットの負債利子
を除いた営業赤字だけでも毎年40億以上を垂れ流ししていた。手の施しようも
なかった。しかもしかもトップは中内氏のご子息である。負債総額1400億円。
断るに断りきれなかった。中内会長の球団や息子を思う熱意にほだされたのだ。

▼「企業」とは字の如く、人を止める業だと高塚氏は考える。だから「従業員
を大事にする」「地域社会に喜ばれる」ことが、企業の目的であり「利益や売
り上げ」は手段であると言いきる。しかし、えてして手段が目的になってしま
っている。福岡ダイエーもどの部門を見ても問題だらけであった。

▼中内会長に送り込まれてきた高塚氏は福岡の人々にとってよそ者であった。
会う前から「中内氏の命令だから一応ハイとはうなずけ、指示には従うな」
これが暗黙の了解事項。要は地元から四面楚歌だった。投資するお金は全く、
ない。知ってる部下も一人もいない。ないない尽くしのスタート。初日、地元
の銀行の頭取に呼ばれた。「悪いことは言わない。あなた今すぐここにサイン
してお止めなさい」。それは、辞表届けであった。想像以上の四面楚歌・・。

▼高塚氏はまず、現場に入って徹底的に観察した。次のような決意をし、腹を
くくった。「今の自分には何もない。ここの人間と環境に投資をしよう。人生
は努力する人に運という掛け橋をかけてくれるものだ」と。どうすれば、お客
様や地元の人が喜んでくれるか、顧客の思いからすべてを見なおした。盛岡の
ホテルの社長との兼任であった。こちらに居る週四日は、4時間寝てあとは仕
事に没頭すればいい。逆境の中、高塚は死ぬ気でやり遂げる決心をしたのだ。

▼再建はゆっくりやってはいけない。やるならすぐに!これが高塚の持論であ
る。ここの人たちは目的達成能力はあるにはある。ただ、目的設定能力がない
のだ。全社員に次の三つの目標を掲げた。社員は皆出来る訳がないと思った。
1)三年以内に営業赤字を黒字にする 2)ダイエーホークスを優勝させる
3)結婚式を倍増させる 誰もが目を剥く目標だった。ダイエー球団は万年最
下位。黒字は今まで一度もなし。福岡の結婚市場年々縮小していた。

▼高塚はトップの役目の一つは社員に夢を与え、自信をつけさせるようなこと
を言いつづけなければいけないという。目標を達成させるために、この言葉の
投資とともに、お金がなくても出来る人事異動と評価制度の変更も実施した。
ホテルの最大の問題点は、自分の部署は何とかやってるからいいやと考えてし
まう自分主義にあった。会社全体のためという視点が欠けていたのだ。そこで
高塚は部門会計を廃止し、評価制度も変更した。結婚式と宴会を担当部署だけ
でなくすべての部署で応援できるような態勢にするためだ。

▼高塚は野球のことは何も知らなった。それを聞いた周りの人は絶望的な気分
になった。しかし、「私は運がいいから、今年は優勝しますよ」と言いつづけ
た。事実、高塚が球場に足を運んだときの勝率は7割を超えた。まず、ドーム
球場を満員にすることを考えた。ホテルの宿泊客の販促にチケットを配ったり
地元商街の人たちにプラチナチケットですから応援に来てくれるならと配った。
今まで2億円の収入のあったダイエーホークスの商標権の使用も地元に自由に
使えるようにした。ホークスが勝った日にはビール一杯無料など地元商店街も
次第に応援に熱が入ってきた。選手も地元の試合でハッスルしだした。

▼高塚は野球のデータをすべて頭に叩き込んだ。どう言う場面でどれだけの勝
率があるのかを分析したのだ。例えばツウアウト一塁での得点確率は、ホッム
ムランバッターでも二十分の一、ヒットが連打されるのは十分の一、盗塁させ
れば得点確率は五分の一に跳ね上がる。盗塁成功率は六割なのだ。でも皆走ろ
うとしない。そこで一計を案じた。二軍の若手に盗塁を徹底的に奨励するとと
もに盗塁の評価ポイントを引き上げた。これで積極的に盗塁するようになった。

▼結果は誰もが目を疑った。42円の営業赤字は、わずか1年半で33億円の
営業黒字になった。ホークスも快進撃を続けたが、球団社員も五木の子守唄と
同じで盆までだと言っていた。その心は「盆から先は、おらんどー♪♪」であ
った。しかし奇跡的に優秀までしてしまった。そしてついに観客動員数も巨人
に次いで三百万人を越すまでになった。一人一人のやる気を引き出すことによ
って会社全体が変わってしまったのだ。しかもリストラもやらずにである。

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【 みつおか流料理のツボ 】☆★☆★☆★☆★☆★―――――――――――
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●高塚猛氏はとても静かでソフトな語り口であった。しかしその内容についつ
い引き込まれてしまった。悟りきった修行僧のように淡々としていたが、その
言葉は何故か心の奥底に響いた。「人生は努力した人に運という橋をかける」
心に沁みた2時間であった。



▼高塚氏によれば「事実」には二通りあると言う。過去の「事実」という真実。
もう一つは未来に向けた「実感」という真実である。過去の「事実」をいくら
並べても組織や未来を変えることはできない。組織を変えるためにはこうあり
たいという「夢」や「実感」をリーダーが持たねばならない。トップが将来へ
の「実感」を語り続けることによって、いつの間にか理想の組織に近づいてい
くのだという。

▼リーダーが社員に対して取るべき重要な点は、部下を信じること、守ってあ
げること、教育目的でのみ叱ること、そして評価してあげることだと言う。特
に何も知らない新人は、叱ってはいけないという。伸び伸びチャレンジできる
ように若手を育てることが五年後、十年後の会社の最大の財産なのである。若
くて失敗ばかりする、あわてん坊は将来伸びる人なのである。なるほど、私も
これから前向きな若い人の失敗はすべて許すことしようかな・・?

▼最近、日本の企業を見ていてとみに思うことがある。「効率」を追求するあ
まり、かえって「効果」を失っているのではないか? 例えばリストラや個々
の仕事の効率を上げていくと一時的に数字は挙がる。しかし会社全体の利益や
最も大事な活力が失われることが多々ある。高塚氏はそのことを手段の目的化
と言った。無駄で一見非効率なこと、逆転の発想が今の会社には大事なのだ。
世の中の「余分なこと」にビジネスチャンスが転がっているのである。

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【今週のみつおかひろしの薀蓄】☆★☆★☆★☆★☆★――――――――― 
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●【マーケティング公理2】「頭だけで考えるな!マーケティングは実践ある
              のみ」

 【マーケティング原理28】「すべての答えは顧客と現場に在り」   

●【今週の一言】高塚 猛『ならば私が黒字にしよう』(ダイヤモンド社)
      大切なことは「現状」のまま黒字にすること。
      地域社会やそこで働く人たちを守る。
      その上で会社が変わっていくことが、真の黒字ではないか・・

      「人生は努力した人に“運”という橋を架けてくれる」

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★☆☆☆☆☆  <<みつおかひろし の編集後記>>  ☆☆☆☆☆★
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■■■■悩み□□□□
■■■ 今年は年賀状をすべて印刷屋に頼んでしまおうかなどと未だに悩んで
■■  いた。いや、長谷川京子のCMにしようか? 結局、先ほど近くの山
■  田電器でキャノンのPIXUSを買った。これで写真印刷でもしよう・・っと。 

 ところで、あなたの回りの人を見まわしてください。 そしてお友達
 にも一声! エッ、まだ読んでないの? 「超・マーケィング発想法」

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■【次回予告】
 もう1回、会社再建について別の角度から考えてみたいと思いますが、どう
ですか? よくよく見渡してみると日本にもカルロス・ゴーンに劣らないター
ン・アラウンドの名手がいるものです。


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