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Jun 7, 2008
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カテゴリ: 阪神2008
サヨナラ男や新井様!ついに杉内倒した


 虎の天敵をついに攻略した。阪神が03年の日本シリーズ以来、1度も土をつけられなかった杉内を相手に、今季4度目のサヨナラ勝ち。決めたのは新井貴浩内野手(31)だ。同点の延長十回、一死満塁から左前へ痛烈にはじき返した。これでチームの貯金は「19」。首位快走の勢いは止まらない。

  ◇  ◇

 指揮官の囁(ささや)きに、見事に応えた。ベンチに人さし指を突き出し、ヒーローが絶叫する。ナインにユニホームを剥(は)がされ、地面にたたきつけられた背番号25が歓喜の泥にまみれた。

 難攻不落の天敵を劇的なサヨナラ打で沈めたのは、満塁男のバットだった。延長十回。一死満塁で回った新井5度目のアットバット。得点圏で打席に向かう度、気持ちを落ち着かせようと必ず行う「その場跳び」の儀式は、いつもより1回多い4度を数えた。前4打席で無安打2三振。切れ長の目がいつも以上に鋭さを増した。

 杉内が投じた149球目。こん身のスライダーを、新井が躊躇(ちゅうちょ)なく振り抜いた。チーム全員の「気」を乗せた打球が、左翼で跳ねた。「それまでしょうもないバッティングをしてたので、最後は気持ちを込めて打席に入りました」。

 お立ち台を終えた新井が舞台裏を明かした。一死から代打葛城が右前打で出塁し、赤星が打席に向かったときだ。それまでの打席で「ちょっと力みがあった」という新井のもとへ、岡田監督が笑顔で近寄った。「お前で勝負やぞ」。将の描いたシナリオがハマった。

 「絶対決めるんだという強い気持ちで向かった。サヨナラの場面だし、1打席1球だと思って…」

 56試合目だ。新井にも疲労がたまっている。前カードの楽天戦。札幌から仙台へ移動した日の夕方、新井は1人で繁華街へ出掛けた。「ケーキを食べたい」。体が甘いものを欲して仕方なかった。喫茶店へ入り、夕食前のおやつを口にした。ブラックを好むコーヒーにも、砂糖を入れるようになった。「疲れてるのかな…」。自身の体に問い掛ける日々だ。



 03年日本シリーズから一度も勝てなかった杉内に、ついに土をつけた。新井が前打席まで13打数2安打に封じられていた難敵を沈めた。今季4度あるサヨナラ勝利で、3度目の主役を演じた新井。満塁機には、8打数4安打8打点の暴れっぷりだ。

 交流戦2度目のカード2連勝で、貯金「20」に王手をかけた。「杉内は本当にいい投手。改めてそう思った」。苦難の18・44メートル。最後の最後で、新井が勝った。

天敵の天敵や!浅井が殊勲の“杉撃ち”
 サヨナラ打を放ったヒーロー・新井の横に、阪神・浅井が飄(ひょう)々とした表情で並んだ。プロ7年目で初となる、甲子園でのお立ち台。「てっきり新井さんだけだと思って…。でも、気持ちいいもんすねぇ」。大歓声のシャワーが、これでもかと降り注ぐ。冷静だったはずの体が、いつしか熱くなっていた。

 出番だ。そう岡田監督に告げられたのは、1点を追う七回裏だった。一死二塁の同点機。「控えみんなで準備を怠らないようにしてますから」。残っていた右の代打は自分と野口の2人。だが浅井は、代打を告げられる前から、マウンドだけを見ていた。

 難攻不落の天敵左腕。過去8回対戦して、一度も黒星をつけたことのない苦手だったが、浅井は06年の交流戦(5月14日・ヤフーD)で一発を放っていた。今季も5月24日の(2)戦でスタメン出場して2安打。「僕個人は嫌なイメージは全くないですね」。最高の結果だけを思い描き、打席に入った。カウントは2-2。そして、甲子園初のお立ち台へと導いた、運命の5球目が来る。

 外角高めに浮いた142キロの真っすぐ。「前回の2安打が変化球だったんで、今度は真っすぐやろなと思って、待ってました」。会心の打球は右中間を深々と破った。走った。抜けろ!!と叫びながら走った。気が付けば三塁に立っていた。

 狙った獲物は逃さないのが、代打稼業で生きる男の鉄則。「ベンチでいつも出番のタイミングとかを話してくれる」という桧山の背中を見るうちに、浅井も感性が研ぎ澄まされていた。昨年の秋季キャンプから、パンチ力のある打撃を生かし、外野手に転向。飄々と振る舞う性格が災いしてきた面もあるが、野手としてのセンスは、主力にも劣らない。

 値千金の同点三塁打。赤星の左飛で果敢に本塁を狙ったが、惜しくも憤死した。しかし、そのスタートは見事だった。プロ初打点を記録したのが6年前のこの日。「6・7」が、また浅井の心にくっきりと刻まれた。

指揮官も称賛 江草の気迫が劇勝呼んだ
 滝のように流した汗をぬぐい終えたのは、もう何時間も前のことだった。商売道具が詰まったバッグを右肩に携え、阪神・江草は軽快に勝者の列を先導した。

 「全体的に低めに集めることができたのがよかった」

 淡々と振り返ったこの41球こそが、勝利への貴重な礎だった。「江草が五回まで投げてくれたのが大きかった」。岡田監督は試合後、劇勝の立役者として迷わずこの左腕の名を挙げた。



 中継ぎとしての責任感を新たにしたのは、開幕直後のことだった。左肩痛で戦線離脱することが決まったウィリアムスは真っ先に江草のもとを訪れ、こう言った。

 「迷惑を掛けてすまない。でも俺の離脱は、君にとって大きなチャンスになるだろう。後は頼んだ」。その言葉通りにジェフの穴を埋め、チームの開幕ダッシュを支えた。そしてあの日新たにした責任感と闘志が、今の江草を支えている。

 「最後はちょっと危なかったけど、抑えられて良かったです」。涼しげな表情で、劇勝の喜びをかみ締めた。浅井の同点打があった。新井のサヨナラ打があった。しかし江草の熱投なしに、この日の勝利はなかった。

JFがソフトバンクに仁王立ち

 握り締めた敵の後ろ髪を二度と離さないのが、猛虎の猛虎たるゆえん。劇勝の余韻覚めやらぬ勝者の列で、阪神・球児が声を弾ませた。

 「これがチームのバランス。これができているうちは勝っていける」



 勝ち越される気配すらなかった。同点に追いついた直後の八回から投入されたジェフは、最速152キロの速球を主体に九回までを1安打無失点。このバトンを受けた守護神・球児も、中軸から始まった延長十回を無難に封じ、敵の勝ちみを完全に消し去った。

 「チームワークの勝利だね」。ジェフが胸を張る。球界一の個人技と、球界一の組織力。価値ある1勝を支えたのはまぎれもなく、ブルペンの底力だった。

矢野 きっちり2安打!しっかりリード
 ベテランの味。サヨナラ勝利の隠し味に、ピリリときいた活躍だった。阪神・矢野が、苦肉の継投策にこたえる好リード。バットでも2安打を放ち、天敵・杉内を揺さぶった。

 まずは二回だ。先発・能見の乱調で2点を先制された直後だった。一死一、三塁の好機。「何とかしたいと思っていた」という一振りで左前へ運び、追撃の1点をもぎ取った。さらに先頭で迎えた七回にも左前打で出塁。二進後、代打・浅井の適時三塁打で同点のホームを駆け抜けた。

 「ピッチャーが頑張ったから、こういうゲームになった」

 投手陣の“頑張り”を引き出したのは、もちろん矢野の頭脳だ。能見が2回で降板後、次から次へと投入されたリリーフ陣を好リード。三回以降、最後までスコアボードに「0」を並べた。

 「初めからこういうゲームになると思っていた。守っていても“1点でも少なく”と」

 これで矢野が適時打を放った試合は23戦連続負けなし。熟練の技と読みが、劇的勝利を陰から支えた。





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Last updated  Jun 8, 2008 05:07:21 PM コメントを書く
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