ロシア旅行(3)



バスはモスクワ郊外の住宅団地を目指す。 22人が
3班に分かれて、一般の家庭を訪問することになって
いる。 片道3車線はある道路であるが、郊外に向か
うというのに結構渋滞している。 反対側は、当然の事
ながら、より渋滞している。 ここ数年で、急激に車が
増加して、時間帯に関係なく、車の渋滞はモスクワの
風物詩となっている。 

さて、のろのろ走って40分位かかったろうか、高層ビ
ルが林立する大団地に到着した。 一見したところ、
20年前の日本の団地より素晴らしい感じである。団
地内に小学校もある。

車を降りたところに、2名の通訳さんが待っていた。
我々の班・8名は、現地ガイドさんが通訳を兼ねてく
れる。 訪問先のAさん宅は、進行方向左手にある、
10数階建ての古いビルの1Fにあるらしい。 住宅の
入口は意外に狭い。 タタミ1畳分のドアが縦に付い
ているだけである。 しかし、オートロックになっている
のには感心した。 つまり、住人に連絡して開けても
らわないと入れない。 住人は暗証番号を入力する。

通路は狭くて、古めかしいが、玄関より居間に入って
驚いた。 立派な家具と絨毯、シャンデリアで、一流
ホテル並み、いやそれ以上である。 1991年6月の
市場経済に移行後に、私有財産として買い取ったと
かで納得する。 つまり、自分の家なので、大事に飾
り楽しんでいる訳である。

ご主人はタクシーの運転手とかで、収入は結構いい
らしく、奥さんは専業主婦である。 大学生の娘さん
の為に、ダイニングルームの一角をベッドルームに
したとか。 1Fの特権なのか、地下の倉庫が広く、
備蓄用のジャムやピックルスの瓶が沢山並んでいた。

各部屋を見終わったところで、キッチンで手作りのケ
ーキと紅茶をご馳走になる。 料理自慢だけあって、
誠に美味であった。 特にジャムは持ち帰りたい位
美味しかった。 因みに、日本のロシア料理店では、
紅茶にジャムを入れるが、それが普通の習慣かと
質問したところ、NOであった。 どうやら、シベリアに
抑留された人達が、甘味に飢えて紅茶にジャムを入
れたとの説が有力らしい。

何しろ8人が、入れ替わり立ち替わり質問するので、
通訳さんも大変である。 ここ10年間、生活は安定
してきたが、ルーブルが弱いのが悩みのようだ。折
角貯金しても、常にインフレの懸念があるから。しか
し、逞しい生活力を目の当たりし、これなら10数年
で日本に追いつくのではないかと思った。 特に、大
学卒の若いリッチな世代の出現が、外資企業などで
働き、月2,000~3,000ドルを稼いで、消費ブーム
の担い手となっている。 と同時に、貧富の差が拡
大しているのが、悩みの種となっている。 特に、モ
スクワ人口の2割が年金生活者といわれており、辛
い生活を強いられているようだ。

あっという間に、予定の1時間が過ぎてしまった。居
間で全員の記念撮影を現地ガイドさんに頼み、別れ
を告げる。 玄関先で、日本から持参したささやかな
プレゼントを渡すのを忘れた事に気付き、慌てて取り
出す。 奥さんが、雨の中をわざわざバスまで見送っ
てくれたのには恐縮した。

モスクワ郊外の住宅団地

3-01

団地内小学校

3-02

雨の中、訪問宅へ

3-03

住宅入り口

3-04

Aさん宅居間

3-05

同上シャンデリア

3-06

地下倉庫

3-07

ベッドルーム・大学生の娘さん用

3-08

同上部屋の隅にパソコン

3-09

キッチン

3-10





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