オランダ・ベルギー(23)



ロイヤルデルフト工房内展示室に、イスラム風コーナーがあるのが
興味深い。 この工房は1653年、中国磁器の模倣からスタート
したが、中国より近いイランの影響を受けたことは容易に想像出来
る。

イランでは紀元前2千年紀のエラム王国時代にメソポタミアの影響
を受けて釉薬をかけた焼き物が登場した。そして9~10世紀のイス
ラムの時代になって、中国からの輸入陶磁器の刺激、陶磁器需要層
の増加、市場の拡大により陶磁器産業は活発化し、市場のニーズに
対応したバラエティー豊かな製品が生産されるようになった。

陶器は古くから世界各地で焼かれていたが、磁器は中国が発祥の地
である。 後に東アジア一帯に広まり、タイや韓国、そして日本で
も美しい磁器がたくさん作られるようになった。

陶器は土がバクテリアなどの作用でねばり気をおびた「陶土」を焼い
て作られる(約1000~1200℃)。素焼きの状態で褐色の土の
色をしている物が多いため、土の温かい風合いを大切にして、染め付
けをしない物もある。日本の備前焼・益子焼などがそうで、柔らかく
割れやすいため、薄く形成することには向いていない。

一方、磁器は石が地中で細かくなり、バクテリアなどの作用で粘土質
になった「磁土」を焼いて作る。陶器に似ているが、磁器のほうが高
温(約1300℃)で焼き上げる事ができ、硬く薄い物が作れる。ま
た地肌が白く表面がなめらかなため、鮮やかで細かい絵付けができる
のも特徴。叩くと「チ~ン!」と高い音がする。瀬戸物と呼ばれ普段
私達が食卓で使っているお茶碗などがそうである。

見学の最後は、お決まりの土産品の購入である。 丸皿を数枚購入し
たが、あまりにも高価なので10cm程度の小皿にとどめた。レジに
大勢並んでおり、バスの出発時刻にぎりぎりになりそうなので、出口
近くにいた添乗員さんにその旨伝えておく。

 -つづく-

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