5)レプトスピラ症(人畜共通感染症)



 レプトスピラという細菌の感染により出血性の黄疸や尿毒症を起こす,哺乳類が感染する人畜共通感染症(人にも感染する可能性がある.)である.レプトスピラ菌はスピロヘータと呼ばれる種類の菌で,不顕性型(感染しても明らかな症状を表さないまま自然治癒してしまうもの)と,出血型と黄疸型に区別される.大部分は不顕型で,イヌレプトスピラ菌が感染すると出血型,黄疸出血レプトスピラ菌が感染すると黄疸型になる.末期になると口内炎がひどくなり尿毒症を起こし脱水で死亡する.たとえ回復しても慢性腎炎に移行することが多い.肝臓が冒されると黄疸も起こる.黄疸出血レプトスピラ菌に感染した場合はイヌレプトスピラ菌に感染するよりも症状が激しい事が多い.突然の高熱に始まり全く食欲もなくなり,全身が衰弱して体が震え嘔吐も起きる.すぐに尿毒症の状態に陥り発病後2~3日で死亡する場合もある.1週間以上生存できれば回復する場合もあるが,この菌に感染すると約70%が黄疸を起こす.
 人畜共通感染症のため発病犬の取扱いには十分注意が必要で,この病気と確認されると届出が義務付けられている.この菌は保菌動物の尿中に排泄される物で,犬だけでなく牛,豚,ねずみなど,勿論人間にも感染する.特にねずみは感染しても発病する事はまれなため,最大の感染媒体となる.犬における感染経路はレプトスピラ菌を含んだ感染動物の尿を舐めたり,汚染されている土や水たまりに触れ,口の粘膜や皮膚の傷から感染する.この菌には抗生物質ペニシリン,スレプトマイシンが有効である.定期的なワクチン接種で予防できる.(通常は7種混合の中に入っている.)

   症状
    ①腎炎(腎臓や泌尿器が冒されると,おしっこが出なくなったり強い臭いの尿が出る.)
    ②出血性の胃腸炎
    ③潰瘍性の口内炎(末期になると悪化)
    ④発熱
    ⑤食欲減退
    ⑥口の粘膜や目の充血
    ⑦嘔吐
    ⑧血便

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