中途半端

★中途半端★

「俺の一番嫌いな言葉何やと思う?」
「何?」
「中途半端」
少し笑みを浮かべて、自信ありげに彼は言った。

だのに、一番中途半端な形で、私の前から去っていった彼。
誠実で、純粋だとずっと思っていたのに、
その想いは、最後の最後に崩れ去ってしまった。

「この世の中にハッキリしたものなど何もない。
              それだけはハッキリしている」
トンガリ君の言ったその言葉は、私の心に突き刺さった。

そう。確かなもの、確信できるものを見つけることは
本当は、スゴクスゴク難しい事で・・・
その先に何がみえるかなんて誰にもわからない。

だから、人は「運命」とか「確信」とかいう言葉を使いたがり、
それをひたすら信じたいと思うのかもしれない。
そして、その言葉にすがりたい自分も現実、どこかにいた。

でも本当はわかってたんだ。
それは多分ずっとあとになってわかるってこと。
今この瞬間にわかることは、実はとても曖昧で・・・
やはり不確かだということも。




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