「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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楓&雅のHPです
~第三章~
ナーリンが先ほどもらった炭酸水を飲みながら言う。
「ふーん。もうすぐ抜ける事をお忘れずに。」
リアシスは不服そうに言う。だが、ナーリンは気付いていない。
キャピトルの街を抜け、先に進んでいたナーリンとリアシス。だが、外れにある山にさしかかったとき、ふと馬の足を止めた。
「……4人?」
リアシスが聞く。
「いや、5人ね。」
ナーリンが耳を澄ましていった。
「残念。まぁ、いいけど。ナーリン。あれ。」
リアシスが小さな前足をあわせてナーリンに何かをねだるような仕草をする。
「あれつかうの?まぁいいけど。」
そういって服の下から小さな瓶をとる。
「だって戦う気でしょ?ナーリンは。」
「私はいやだけどね。やむを得ないでしょ。こんなに殺気がこもってちゃあ。」
そういいながら瓶のふたを開け、薬みたいなものをリアシスに渡した。それを受け取ったリアシスは、どこかへと走り去っていった。それを見届けてから、ナーリンは静かに馬を下り、手綱を放った。馬はおとなしくリアシスが去った方向へと行った。
「そろそろかくれんぼ終わりにしない?」
ナーリンが楽しそうに言う。
「へえ~?俺たちに気付いてたって訳か。」
一人の男が茂みの中からでてきて言う。その声に合わせて他にかくれていた
男たちがでてくる。……5人だ。
「キャピトルあたりからついてきてたのはわかった。あなたたち、いったい何のつもり?」
「……。金目のものはおいていってもらう。」
「ふーん。私がおいていくと思う?」
ナーリンが嘲り嗤う。
「ならば力ずくで奪うまでだ。」
そういって5人の男が一斉に刀を抜いた。
「へぇ。しょうがないなぁ。」
ナーリンが首に下げていたものを取り出す。
「……石か。それで何をしようって言うのかなぁ、お嬢ちゃん。」
そういうと男たちが一斉に笑い始めた。だがナーリンは気にもとめない。
「……あんた達って馬鹿ねえ。これがただの石にしか見えないなんて。」
ナーリンが男たちを馬鹿にした。その一声で、構えが変わる。
「へぇ~楽しませてくれそうじゃん。一人でどうやって戦うのか、見物だねえ。」
「ばっかじゃないの?私がいつ一人で戦うとか言った?」
そういってナーリンが口笛を吹く。(注・曲を奏でるのではありません。)
と、どこからか獣のような鳴き声が聞こえる。と、すぐに姿を現した。茶色の長い毛、二本の尻尾。足のところには火の輪がついている。尻尾が一本で、火の輪さえなければ犬と形容できたであろう。
「へぇー面白いもの飼ってるじゃん。」
一人の男がいう。
「あら、ありがとう。でも、そちらには仲間がいないようね。」
そういってナーリンは嗤った。
「俺たちで十分ってことだ。」
男たちが刀を握り直す。
「………仕方ないようね。……わが魔力を秘めし魔法石よ。わが思いに答えて彼の力を解き放て。我が名はナーリン・アルシーナ・シェリカなり!」
ナーリンがそういうと、首にかけていた石が光り始める。
「ほぉ。魔法石か。また面白いもの持ってるじゃないか。野郎どもっ!!やれ。」
一番背が高い男が言うと、そこにいた男どもが一斉に襲いかかってくる。
「さぁ、リアシス。たくさん暴れちゃっていいからね。2人任せるわよ。」
「グルル。」
そういってナーリンは襲ってくる男たちの方を向いた。
「ナーリンの名にかけて命ずる。水よ、戒めの鎖となり、彼の者たちを捕らえよ。」
そう唱えると、ナーリンの手のひらから溢れ出た水が男たちに襲いかかっていった。ナーリンの前から襲ってきた3人を捕らえる。
「……うっ。」
水に捕われた男たちは木に縛りつけられた。
「なぁーんだ。手応え無いじゃんか。」
ナーリンは捕われている男を見ながら笑う。
「ぐるる。」
リアシスもナーリンの後ろにいた2人をしとめ終えたようだ。戦闘不能状態までもっていっていた。
「あらら。リアシスまで終わっちゃったの?!もう少し楽しんでもよかったのにぃー。どうする?殺っちゃう?」
ナーリンが楽しそうに嗤ってリアシスをなでる。リアシスはナーリンの手を受け入れた。気持ち良さそうになでられる。
「それもそうよねえー。うん。ねえ、そこの人。」
ナーリンがリーダーらしき男の方を見る。
「……。」
男は睨んだままナーリンの方へ顔を向ける。言外になんだと言っている。
「あんたたち今どのくらいあるの?」
ナーリンがニコニコしながら聞く。
「……女一人と10シルーンだ。」
男が無愛想に答える。
「ふーん。じゃあさ、その女の人つれてきてよ。その人を解放すれば、あなたたちの命は救ってあげる。」
ナーリンがいい提案でしょ?っとでも言いたげに可愛らしく言った。
「……わかった。…これを解け。」
男は渋々承知した。
「ナーリンの名にかけて命ずる。水よ、我が手に戻れ。」
ナーリンがそういうと、水は意思を持ったようにナーリンの手に収まった。そして、
「木々よ。彼の者達の行動を監視し、我が意思に背いた場合は捕らえよ。」
と唱えた。木々は風が吹いたわけでもないのにざざっと葉を揺らした。解放された3人と、2人はそそくさと自分の領地に帰っていった。
「なんか超弱かったよね。」
リアシスがいう。大きさはもうすでに元の小さく、可愛らしい姿に戻っていた。
「なんか拍子抜け。でも、一人、いたでしょ?」
「何が。」
「魔法使えるやつ。」
「そうだね。」
リズムよく会話がすすむ。そのときだ。木々がざわめき始める。
「………?」
「風?………?!リアシスッ!隠れてっ!!」
「えっ?!」
「魔法が破られたのっ!!」
なんだかわけが分からないままリアシスは草の茂みに隠れた。
「……残念だねえ。ナーリン・アルシーナ・シェリカ殿。一足遅かったようだ。あなたの勘は外れていなかったというのに。」
先ほど一緒にいたうちの一人の男がナーリンを捕らえていた。
「ちっ。」
ナーリンは悔しそうに顔を歪めた。振り払おうと努力する。が、できない。
「残念だったな。」
その男は嗤って、ナーリンの口をハンカチで塞いだ。ほんの数秒後、ナーリンの全身の力が、抜けた。ハンカチは、睡眠薬に浸されていたのである。眠ってしまったナーリンを抱きかかえ、男は山を登っていった。
「どぉしよぉー!!!!」
茂みに隠れたリアシスはナーリンが連れ去られるのを見て錯乱状態に陥っていた。
「やばいじゃんこれっ!!とにかく作を練らなきゃ……。その前に、場所確認しなきゃっ!!」
そう独り言を呟いてから、羽をだして男の後を上空から追っていった。
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