JOKER†TRICK

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本当の想い


そこの中腹、安全地帯にある山荘まで、一行は辿り着いた。

流石に火山地帯だけあって、少し動くだけで汗が滲み出てくる。
いや、動かなくても正直厳しい状態だった。
しかし、所持しているクーラードリンクを温存する為にも、
このくらいの暑さで音を上げているわけにはいかない。

なにせ相手は溶岩の吹き出る大地にいるのだから。
そんな事を考えただけでも気が遠くなる。
何とか思考をずらそうと努力してみるも、暑い物は暑かった。


「あっちぃ~よ~」

ほら、やっぱり。とディビナは思った。
こういう時最初に口を開くのはいつもシャルだった。
ダルクは半分諦めながらいつもの如く注意する。

「暑いって言っても暑い物は暑いんだよ」


シャルがムスッとして言い返す。
「でも、暑い物は暑いって判ってても暑いんだから仕方ないじゃん!」

「まーまー、そうイラつきなさんなよ」
アスターが割って入り、その場を納める。


しかしこの暑さが続き、流石に全員消耗してきていた。
アカムトルムの強襲に逢う可能性を考慮し、いったん休息を取る事にする。

一息ついたその時。
全員が気配を感じ取った。



(威圧感はない……、群れか……?)
アスターがいち早く臨戦態勢を取る。

全員で背中を合わせて死角を無くし、あらゆる状況に備える。


刹那、ダルクの真正面からイーオスの群れが一斉に襲いかかってきた。
続いて反対側にいたアスターの方から。2方向ほぼ同時に現れた。

「何体いなさんのかねぇ、コイツら」
「片っ端からやるしかないですね」
そう言うとディビナはガンランスで目の前のイーオスを突いた。
シャルのボウガンが散弾をばらまき、ダルクとアスターの剣が群れを薙ぐ。

そんな中、ディビナはふと噴火している火山に目を奪われた。
ぐにゃりとした幻覚感。遠くからなのか、小さく声が聞こえる。


ディビナが気付いた時、群れに紛れていたドスイーオスが襲いかかってきていた。
(ガード、間に合わない……)
何故だか身体に力が入らない、虚無感の様な物に包まれていた。
もう、どうにでもなれ。


ガシュッと音を立てて、毒の牙が肉に刺さる。
ディビナは再び目を開ける。何故だ、痛くない。
一瞬自分が死んだのかと考えた。しかしそれは全く違った。

「この……、馬鹿野郎が!」

アスターだった。
ディビナの前に腕を差し出し、毒牙を受け止めていた。
辺りのイーオスはあらかた片付いている。

ドスイーオスは牙を抜こうとして、下がろうとする。
しかしアスターは頭を掴んでドスイーオスを逃がさなかった。
大きな隙が出来たところへ、シャルとダルクがとどめを刺す。

その後、そのままそこにいるのは危険なので
少し離れたところまで移動し、そこで休息を取った。
解毒薬と回復薬で治療したものの、アスターは息も絶え絶えだった

しかし、フッと立ち上がると、ゆらゆらとディビナの方へ歩き出した。
そして-----

ドガッ

ディビナは思いっきり殴り飛ばされた。
大剣を使うアスターのパンチ力は凄まじく、ディビナは口の中に血の味を覚えた。

「ちょっ……」
シャルが止めようとするも、鋭い視線がそれを阻止した。
視線の主はダルクだった。

アスターは、未だ立ち上がろうとしないディビナに向かって話し始めた。
「ハンターはなぁ!」

「ハンターっていう仕事は、そんな甘くねぇんだ!
 ダルクから事情は聞いてらぁ。両親が亡くなったって事はよ……。
 でも、お前そんな事を理由に……」


アスターはそこで声のトーンを落とし、威厳のこもった声で言った。
「死ぬのか……?」
そのままアスターは続ける。

「なぁディビナ。そうじゃねぇだろ!
 殺された両親の分も、お前は生きなくちゃいけねぇ。
 ハンターはもとより狩るか狩られるかだ。
 きっとご両親は殺された事をそれほど悔やんじゃいねぇ」


ディビナが言い返す。
「なんだよそれ……!死んで悔しくないはずがない!」
「それよりだ。両親はきっと今、お前を見て悔しがっているだろうな」
ダルクが口を開いた。

「お前が強く生きる事。それが両親の望みだと判っているはずだ」

「……」

「確かに私は……、間違っていたかも知れません……」
「ディビナ……」

「両親が死んだのを信じるのが怖かった。
 両親を倒した事を肯定すると、私はどうやっても覇竜に勝てない……。
 2人は私よりずっと優秀なハンターでしたから」

「確かに彼らは優秀なハンターだった」


「でもね」
ディビナは続けた。
「でも、みんなと一緒ならやれる気がしてきたんだ。
 ここまで信頼できる、みんなとなら……」

「ディビナ……!」

「そりゃ、ダルクは言う事キツイし、
 シャルはすぐにダダをこねるし、アスターさんとは会ったばかりだけどさ。
 みんな、大切な仲間だ」

「フン、上等だな」
「一言多い~」

「じゃ~、行くとするか?」
『おう!』


止まった歩みが、再び動き出す。
いざ、決戦の地へと。

《次章 覇竜 へ続く》

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