凍えたココロ

凍えたココロ

Into the naight...



トロッと 凍える寸前の 冷えた ウォッカ

ショットグラスに 注いで 飲み干す

冷えたウォッカは 喉を やきながら

空腹の 胃に 沁み渡る




「嫌な事があった日は ズブロッカに限る・・・」




男は 一人 身分不相応な 広い部屋で

家具も少ない 殺風景な部屋で

またズブロッカを グラスに注ぐ

「そう言えば・・・」 と男は キッチンの冷蔵庫を開け

半分になっている 檸檬を ダイニングに 持ってきた

徐に 檸檬をグラスに絞る

味を変え 冷えたズブロッカは 余計に男の

胃に 沁みた




ガラスの灰皿を 手元に寄せて 

マルボロを1本 取り出し マッチで火をつける

ただっ広い部屋の中 1人 紫煙を燻らせる

70年代のレコードを かけて ソファーの背もたれに

身を任せる




「あいつは今頃何をしているのか」

「俺から離れ外国へ旅立ったあいつは今幸せなのか」




下らない事を考え 男は 自嘲の笑みを浮かべ

音楽に身を任せながら 3杯目のズブロッカを

胃に流し込む 流石に酔いがまわってくる

口直しに さっき絞ったレモンを 口に放り込む




「ああ、酸っぱい」




そしてまた徐に キッチンへ向かい 今度は

安物のウォッカで ソルティドッグをつくる

レコードの音を絞り TVを点ける




あいつはもう此処には帰ってこない

あいつはもういってしまったのだから




下らないバラエティー番組が 部屋を賑やかにする

しかし男は笑えない

3杯目のソルティドッグの塩を嘗める




そして今日も ソファーで短い睡眠を摂る

明日のプレゼンで 発表する資料は 全て揃えてある

愛する女よりも 仕事を選んでしまった男は

毎日の様に 戦場に赴く気持ちで 職場へ向かう




「あぁ、明日帰ってきたらギムレットを作ろう」




今 男の傷を癒すのは 強い酒だけである

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