5)ただひたすら「マナー」



マナーというのは基本的には「他人に迷惑をかけない」という状態であれば、後は別にどうでもいい、というか、あまり気にしすぎないで欲しいと思うこともございます。
また、マナーというのは身に着ける教養でもあるので、お店や他人がアレコレと「押し付ける」ものでもないわけですが、こちらもまた人間、お客様との関係は対等と思っていますので、知っててほしいな、と思うことも多々ございます。
私も、こんなテーマ、どっかのサイトにまとまっていないかしら、と、探してみたのですが、案外、こういうものはないので、奥歯に物が挟まったまま(笑)勢いでお話してみたいと思います。

「白い服を着てこないで」
 ワインは、人が美味しく飲んでこそ、その役割を果たします。洋服が飲んでしまっては、悲劇にほかありません。酔いで高揚してまいりますと、身振り手振りも多くなり、他に神経がいきがち、ということもあって、月に一度くらいは、客席から、ガチャン、あ!という声が聞こえてまいります。
 すぐ、救援のタオルを投げるようにお渡しするわけですが、ほぼ、後の祭り。これまでの経験上、こぼした人のみ被害者で済むのは1割。白ワインだから目立たず良かったね、というのは2割しかありません。
 このアントシアニンという色素のしっかりついた赤ワインは、衣服を染色のように染め上げてしまいます。すぐ脱いで(不可能ですが)洗濯しても落ちるかどうか、です。
かつて、伊東家のナンチャラ、という番組で、赤ワインの染みは、白ワインで拭くと取れる、というのがありましたが、番組になるくらいですから、かなり痛手をこうむった方も多いことなのでしょう。
 二人きりで、いいレストランで、向き合って、おしとやかに飲む、という状況ではない弊店のようなカジュアルなお店には、どうか、最悪ワインがかかってもいい、というような(そんなもの、ないでしょうが)服装で来られた方がいいか、と思います。
楽しい思い出がちょっとつらくなってくるのを拝見するこちらも気になります。割れたグラスやら、こぼれたワインをふき取る手間など大したこともありませんので、店サイドへの気を使うよりも、ずっとずっと、お仲間の服を気にされてください。
そういえば、かつて深夜にいらした颯爽とした白いシャツがお似合いの酔っ払ったレディ。
赤ワインの色合いを見ようと、天井の光に透かそうと頭の上に上げた、まではいいのですが、腕を安定させられなくて、そのまんま、自らの全身に浴びちゃった方がいましたっけ。
返り血を浴びたように真っ赤に染まったシャツ。まさか脱げ、とも言えず、そのままお帰りになって、帰りがけに、ワインで染めてみよう、とおっしゃってましたが、その後どうなされているでしょう。お元気でしょうか。

「知らない方との会話にこそ、その人の素が出る」
イーネ・イーネは、おひとりさまを大切にするお店をコンセプトのひとつとしています。それほど多いわけでもないのですが、深夜など、カウンターでは、料理もあらかた支度が終わって私とお客様との会話の中から、初対面のお客様どうし、お話されるケースがあります。お店にとっては、ありがたくもうれしいことです。
この時、その人、となり、が出てまいります。男性から女性に話しかけられるのは、正直、ヒヤヒヤとします。うまい方の特徴は、相手の女性の方の気持ちを大いに尊重理解して、全方位に話題を発展させられる機敏のある方です。自分の世界の話に引き込もうとしても女性はあまり乗ってきません。時には不機嫌そうな表情をなさることもあります。おそらく、男性ご本人にはわからない状況なのでしょうから、私が間に入って話題を変えていこうとしますが、あまりわかっていらっしゃらないようです。
コツ、ってものは、ないのですが、お店で他のお客様とお話されたい、という女性にはある種共通点があります。個性があって、好奇心が旺盛なこと。男性は話題の受身になってあげて、面白いとオーバーアクションで返してあげるとお話が盛り上がります。(統計的なデータではないので、ご容赦くださいませ(笑)
私も、かつて、ひとりでお店を尋ねることが多く、上品な酔っ払い?どうし、楽しい時間をすごした経験があります。銀座の「おおくら」というバーと神田の「があどした」というワイン酒場。
「おおくら」は今は閉めてしまいましたが、ママが仕切るカウンターバー。舞台俳優、映画監督、脚本家、プロデューサーが集まって個性派揃いの楽しい会話が咲きました。
「があどした」は今も健在ですが、一癖ありそうな頑固オヤジの硬派な店。カウンターが上席で、ワイン好きな方と様々なお話をさせていただきました。
イーネ・イーネも、こういうお店になっていったらいいのに、と思うこともございますが、恵比寿という土地柄となにせ、お客様が若い女性の方が多いので、もちょっと歴史の厚みを加えるとユニークなお店になることだろう、と思っています。

「けんかは、やめて~」
滅多にないことなので、レアケースかもしれませんが、ご夫婦の場合、けんか、し始めてしまうのを見てしまうことがあります。
もう、こういう時は、男はダメ。たいてい、男の負けです。
深夜など、他に客がいないと、すごい剣幕で、私など、いたたまれなくなって、逃げ出しちゃいます。でも、また、一時間もすると、デレデレになったりして、「ったくもう」と思ったりもしますが。
男同士の議論とかは、ここでは、無縁です。これは、ワインという酒のもっている不思議な魔力でしょう。
私もリーマン時代、よく会社の仲間と飲み屋さんに行って、仕事の激論などしたものですが、同じ仲間で、ワインやさんに行くと、なぜか、話題がプライベート旅行のとき、海外で飲んだワインとか、話題が変わるのです。精神衛生上健全に。時々、ワインや、で、よかった、と思ったりもします。

「合コン」って恥ずかしい?
 私が若いときは、合コンという習慣はありませんでした。合コンが普通になったときはお呼びじゃなくなっていました。
というわけ?で、合コンに興味もないのですが、皆さんは、合コンの幹事さんになったら、お店の予約のとき「合コンに使うのです」と言いますか?言いませんよね。普通。
 でも、イーネ・イーネでは、合コンだ、とあらかじめおっしゃっていただいた方がいいと思う場合が多々あります。え?違うの?そうなんです。特に合コンが女性の幹事さんの場合ある程度男性がフォローしてあげた方がお店とはうまくコミニュケーションできていいです。
 女性が幹事役の場合、メンバーがたとえ10人でも、お料理を一皿づつ頼もうとされます。シェアするとたった一口ですよ。シェアできないものもあります。たいていのお料理は、せいぜい4人で分けられる程度の分量が普通なんです。それと、なぜか遠慮しあって(正確には牽制しあって)料理が決まらない。これは、会話の進行に差し支えますよね。
女性って、勝手に料理を決めると、後で仲間内で悪口言われるのですよね、きっと。ご苦労様です。そういうのいや!ちびちびじゃなくて、食べたいものを食べたいだけ食べてどこが悪いのよ!そういうおひとりのレディ 好きです(笑)
 最近は、料理をお任せ頂いている場合も増えましたけれど、お席につかれて、合コンだ、とわかると、こちらはメニューを変更します。できるだけ銘銘に小分けして出せるように。
合コンは、当然、料理飲み物より人とのコミニュケーションが大事ですし、シェアする手元を見られたくない心理も働くでしょうから。
 合コンの場合、お店側に興味を持っていただけないのは致し方ないのですが、せめて、お飲み物のご注文の時は、メニューは見ていただきたいな、と思います。焼酎ないの?とか、言われますと、ガクっと力が抜けてしまいます。
 でもって、いい合コン(悪い合コンってなに?と突っ込まぬように)の場合、女性は時折、お店を出る順番すら張り合われることもございます(何を言いたいって、お察し下さい)
怒ったようにお店を出られるのではなく、ちょっと余裕の一言など言っていただけると今宵ご満足いただけてうれしいな、と思うこともありますが、それより大事なこの先が・・・あるのでしょう。

「ワインのお持込のマナー」
 ワイン好きのワイン会ではなくても、ワインをお持込になりたい、というご要望がけっこうございます。他のお酒にはない特徴、かも、しれません。
日本酒のお店に日本酒を持ち込もう、というケースや、居酒屋に持ち込み、というようなお話はあまり聞かないですから。
お持込が可能なのは、厳密に言うと、絶対お店がご用意できないワイン、ということになります。旅行で海外で購入したメモリアルのワインは、同じ銘柄が日本にあったとしても、このお仲間にとっては、かけがえのない1本。
こんなワインは、こちらも喜んでお預かりしてご堪能いただきたい、と思いますが、しばし、そうではないケースが多々ございます。
詳しくは、私が書いているブログのフリーページにまとめていますので、そちらをご覧になってくださいませ。
ワインカフェ イーネ・イーネの日記 ワイン持込のマナー 
http://plaza.rakuten.co.jp/icewine/2000

では、今日の一言
ワイン、女性、そして歌を少しも愛さぬ者は、生涯の愚者であろう。
~マルティン ルター~



















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