P-Blog アイデア&インプレッション

2004.01.08
XML
テーマ: 人間関係(954)
プランナーという、仕事柄、提案書を書くことが多いが、想いが強い企画ほど、通らない気がするのだ。まあ、本人が結果を期待しすぎるから、少しでも、結果が悪いと、かなり、悪い結果だと感じてしまうこともある。しかし、自分ならまだしも、他人の企画なり、提案書、嘆願書、案内文、ポスター、チラシ、冊子などを見ても、想いが強いほど、熱さは感じるが、読んでいる人の心に響かなかったり、妙な違和感を感じたりする。

実に不思議な現象だ。
まあ、肩の力を抜いて・・・という事なのだろうが、想いが強いと、辺りが見えなくなるのが、原因の一つだろう。
想いが強いことは、頭の中で、そればっかりを繰り返して考えしまいがちになる。これは、ある種の快感がある。だから、それ以外の事を感じにくくなるのだろう。
そうなると、同時に、自分の感覚や価値観や認識や立場と同じものを、他人も持っていると思い込んでしまう。実際は、他人なので、自分と違った感覚、価値観、認識、立場などを持っていて当たり前なのだが、それを忘れてしまって、自分の感じているものが、いわば「常識」として、他人も同等の「常識」を持っているものだと感じてしまいやすい。
だから、想いが強い主張を持っている場合、相手が同意しないとなると「なんで、あなたは、そんなことも、わからないの」という事になる。これでは、場合によって、相手の人格を否定してしまい、相手が同意出来ない原因を聞き出すチャンスを失い、問題の解決が出来ずじまいになりかねない。
また、想いが強いと、感情を主張の中心に置いてしまう事が多い。たとえば、かなり前の話しだが、諫早湾の干拓の反対運動で「ムツゴロウが、可哀想」というような事を、キャッチフレーズに、なっていたが、それは、あくまでも、感情の押し売りなのである。
干拓を推進する方とすれば、この事業を進めないと、自分のお飯が食い上げになるので、そうなったら、ムツゴロウより、自分たちの方が可哀想になると、言われればそれまでである。

想いの強い人の一部に、自分の論理で、突拍子もない事をする人がいる。たとえば「イルカが、かわいそう」といって、漁船に体当たりしてくるという外人がいるが、捕鯨をしている土地の人からすれば、白人系の外人は、変な事をするかもしれないというように思われてしまっている。そういう状況で、いくら、漁民に何かを主張しようとしても、たとえ、お互いにメリットのある、いい案であっても、平行線に終わる事が多いだろう。
さて、このような現象を防ぐ方法は、東洋の思想の中に、いくつか見られる。
たとえば、禅宗などでは「念を継がない」という事を、訓練するのだそうだ。これは、一つ思ったことを、繰り返して、同じ事を考えたり、思い続けないというような事らしい。つまり、想いが強くなり、冷静さに欠けるようになる前に、ブレーキをかける。
また、これも仏教系なのだが、 内観 では、事実と、考えや想いを分ける訓練という要素もある。過去のある時期の特定の人物に対して、何をしてもらって、何をしたのかなどを、思い出す作業を続けるのだが、その時、自分が何を感じたかという事を思い起こすのではなく、そのとき起こった事象について思い起こす。
この内観、とくに、集中内観では、一週間、視線を合わすという、非言語コミュニケーションを含めて、コミュニケーションを絶つ事により、他人からくる情報によって見えにくくなっている、事実を見つめやすくする事で、事実を見る感覚を磨く要素もある。
これは、同時に、想いの強い人の主張に対し、受け手として、冷静に判断する能力を高める効果も期待できる。
さらに、中国の荘子の言葉に「感情を抑えすぎないこと、感情を出しすぎないこと、中庸を守ること、この三つが飛躍の要素である」というものがある。日本の思想のベースの一つである道教でも、このことは指摘されている。
このように、日本には、古くから、強い想いによって逆に目的を達成できない事に対する知恵があるわけだが、今は、それが忘れられてしまっているような気がする。
富国強兵やら、高度成長など、同じ事をして、同じように熱くなる事で、国力を上げて来たために、冷静に、客観的に物事を見て、一つの考えに囚われない自由な発想を思い浮かべる効果のある、ちょっとした方法を軽んじてしまい、伝承しそこなったのではないだろうか。
また、団塊の世代が経験した、学生運動なども、強い主張をする事によって、受け手からすれば、説得力が欠けている事に気が付かなったために、多く活動は失敗に終わったのかもしれない。そして、その失敗の経験が、シラケ世代など、主張しない方向に向かってしまい。主張しないから説得できない、主張した事がないから説得の方法がわからない、という事になっているように思う。

その一方で、想いが強すぎて、説得力に欠ける主張も多く、二極分化してしまっているようである。
想いが強い人は、想いを適度に押さえるテクニックを、主張がない人は、自分の主張がどこにあるのか、受け手はどうなのかを探すテクニックを身に着ける事が、今の日本人に必要だと思う。
先日、コーチングのプレ講座で、日本人は、他人のパラダイムを見分ける技術が足りないと言っていたが、もしかすると、その部分ともリンケージする事なのかもしれない。


★参考文献★
「タオの言葉」

出版社:紀伊国屋書店
ISBN:4314007346 本体価格:1,165円






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004.08.12 09:05:10
コメント(7) | コメントを書く
[「個」「孤独」「群」「共同体」] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

お気に入りブログ

・・ 野山ですごす… りおじーにょさん
ゴーヤ泡盛の野毛日記 ゴーヤ泡盛さん
ヅ+の日記 art-labヅさん
アジアン雑貨屋店主… エナエナさん
しみずきみひとの楽… Shimmy0603さん
小島トモオス 小島トモオスさん
新・さすらいのもの… さすらいのもの書きさん
新川てるえの家族の… 新川てるえさん
繁盛請負人ばんたか… 繁盛請負人ばんたかおさん
ヘンかわおいしいお… artlabova-goodsさん

コメント新着

サイド自由欄

設定されていません。

バックナンバー

・2026.05
・2026.04
・2026.03
・2026.02
・2026.01
・2025.12
・2025.11
・2025.10
・2025.09
・2025.08

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: