理想的な医療?!(医者からみた・・・)

理想的な医療?!(医者からみた・・・)

June 12, 2005
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カテゴリ: 病院
だいぶご無沙汰してしまっていました。

異動の時期で、スタッフの入れ替わりがあり、新しいスタッフへのオリエンテーションから始まり、慣れないことでのトラブルの対処や教育などでてんてこ舞いでした。
 少しみんなも慣れてきて、落ち着いてきたかなと言うところかな。ふう。


 新しい人に出会う頃にはいつも思うことですが、世の中、いろいろな考え方の人がいるということ。

 医療の現場では、それがそのまま患者や病気に対する態度につながります。
 患者に対する姿勢が違うと、たいていは、話が通じないんですよね。

 患者に対する姿勢は、そう簡単に変えられない・・・。
 この姿勢は、その人そのもののキャラからくるものでもありますが、たいていは大学を卒業して研修医の時に培われるものなのではないかなあと思ってます。

 その研修医の研修プログラムについて最近色んな問題が・・・。


 一つは、研修ローテーション

 一つめについて、
 研修医が労働者として保護されるようになったらしく、午前9時から午後5時までの基本的な労働時間以外は拘束できないとのこと。

 どんなに患者の具合悪くても、担当している研修医に「状態が落ち着くまで診てなさい」、と指導医は言えないらしい。それなのに、月30万は確保されている・・・。

 これってどういう事か分かりますか?

 法律で、研修医が「労働者」として認められ、いわゆる労働基準法に適応されるらしいのですが、患者がいるかぎりそれに対応していかなければならない、という医師の姿勢を、研修医の時に教えられないと言うことなんです。

 医療に携わる仕事は命に関わる仕事で、医者はそのトップに立って指揮していく立場にあります。命に対する責任感をはじめに身にしみこませなければ、信頼できる良い医者にはなれないのでは・・・。責任もなく、医者として働いているとも言えないのに収入だけは確保されている・・・。

 医者も健康を守られるべきとは思います(私も守って欲しい・・・)。しかし、大学を卒業してまだまだ吸収できる状態の時に、頑張って頑張って吸収できることを吸収することが出来ないのは、どうなんでしょうか。

 言ってしまえば、研修医成り立ては、素人同然。

 医学部で学んできたことが実際どのようなことなのかというのを本当に理解するには、実地で経験していくしかないのです。出来ない分時間を掛けてするしかないのは、医者に限らずどんな世界でも言えることだと思います。




 はじめに、「患者がいても時間が来れば帰って良いんだ」、という風に思ってしまえば、その医者は一生そのままです。責任感のこれっぽっちも養われません。

 看護婦に指示して、患者に指導して偉ぶるだけのやな医者作成!!最悪です。

 「三つ子の魂百まで」と言いますが、医者の魂も、はじめの2-3年で決まってきます。

 はじめに楽して、その後につらい仕事をがんばれる人ってそういないのと同じで、研修医の時に楽な生活をしていて、いざ責任のある立場になってから、がんばる事なんて、たぶんよほど強い精神をもってないと出来ないのではないかと。

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これまでは自分の患者を診て、研修医の患者を一緒に診ながら治療方針を研修医と一緒にディスカッションして、軌道修正していく、と言うふうにやってきました。自分の仕事が終わるのに5時過ぎるのは当たり前で、その後余裕が出来てから研修医をゆっくり指導。

 実際のところ、全て自分でやってしまった方が仕事が速いのですが、研修医を指導して育っていけば出来る医者になってくれるそう信じて指導しています。
 じき使える医者になれば将来的には自分が楽になるはず・・・これが本音。

 しかし、5時になったらいなくなっちゃうかもしれない研修医に患者を任せるなんて、そんな危なくてめんどくさいことは出来なくなっちゃうので、ぜーんぶ自分でやっちゃう。最終的に責任が掛かってくるのも指導医である自分ですしね。

 という風に、研修医は学ぶ時間が短くなる上に、更に教えてもらって勉強する機会が失われていっているように思います。


 そして、さらに!!

 もう一つの問題である研修医のローテーション制度。

 これは、研修医の時には入る医局を決めずに、全ての科を研修するという制度。
専門バカではなくてあらゆる事が診れる医者を育てましょうと言う制度らしいのですが・・・。


 今までもこのような制度はありましたが、とりあえず自分の所属する医局を決めてからでした。

 例えば、これまではまずは内科に所属していて他の外科や小児科、痲酔科などを短期間研修すると言うふうに。

いまは、所属科は決めずにまず研修医の時に、あらゆる科で短期間研修してから所属を決めると言う制度になっています。 

 これって、医師免許は持ってるけどただの学生の病院実習の延長みたいなもの。
 例えば「眼科に行くつもりだけど、決まりだから内科研修してます。」みたいな研修医に、指導する側が重傷の心疾患の患者さんを任せる気になりませんよね。一緒に診るにしても、やる気のない人に教えるほど暇ではありません。


 色んなところでそういう実態を耳にするので、本当にやる気があって研修に行かない限り、熱心に教えてもらう事って難しい状態になっています。

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 この前、知人が腰椎ヘルニアで、ある大学病院で入院して手術を受けることになりました。

 この人も研修医を指導するような立場の内科医ですが、手術の痲酔をかける担当になったのが研修医だったとのこと。

 大学病院では研修医が付くのは当たり前なのですが、その痲酔科の研修医が知人が指導医であることを知って、相談したそうです。

「私、精神科希望なんですけど、ローテーションしなきゃいけなくて今、仕方なく痲酔科なんですよね。この制度何とかなりませんかね。」と。

 その知人は、心からこの制度をなくしたいと思ったとのこと。怖い話です・・・。

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 結局、ちゃんと医者として教えてもらえるようになるのは、研修医が終わって3年目と言うことになってしまってるのでは・・・。

「専門ばか」な医者を回避しようとしたあまり、ふつうの医者でさえ育てるのも難しい制度になってしまったと思っているのは私だけでしょうか?

こんな状態で、いわゆる中堅の働き盛りの医者が更に忙しくなってしまい、当直のバイトに派遣する要員なんていない状態なのに、

マスコミで「小中病院の当直の実態!夜の当直は研修医ひとりだった!」
なんて・・・。

そんなの医者の世界では誰でも知ってるし~。

これが、マスコミにより「研修医の過労死」「専門誌か診れない医者」などなど変な方向に問題視してきた結果だと言うことを、今正に研修医の指導をしている先生たちは気が付います。

研修医を守るのも大切だけれど、その前に医療全体の制度を考え直すのが先なのではないですか?

どう思いますか?





久しぶりに書いたブログが、愚痴になってしまいました・・・すみません。





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Last updated  June 12, 2005 02:09:27 PM
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こんばんは  
 私も循環器専門医で、もう17年医者をしています。

 どちらにしても、この研修制度では、医者としての最低限度なんて、出来上がりませんよね・・・。 (June 13, 2005 11:14:40 PM)

わたしもそう思います  
ジュリ55  さん
わたしも今回の研修医改革(改悪)には絶対反対です。今卒業しなくて良かったなあと心底思っています。結局、研修が終わってから、また研修しないといけないだけですよね!無駄だわ~ (August 2, 2005 11:03:11 AM)

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woomacoo @ こんばんわ ほんと医療の最前線って大変ですね。 私…
woomacoo @ こんばんわ 抗生剤のお話、なるほど~と勉強になりま…
ジュリ55 @ わたしもそう思います わたしも今回の研修医改革(改悪)には絶…
ドクター理想 @ こんばんは  私も循環器専門医で、もう17年医者を…

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