Get your gun

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君への最後の嘘  1






タカユキとは付き合い始めて3ヶ月になる。
友達を通じて話すようになったけれど、彼はとても人懐っこくて、私ともすぐに打ち解けた。なんだかふわふわしていて、大丈夫かなぁ…と思うような不思議なオーラを出している彼の周りには、いつも友達が絶えない。私以外にももちろん、仲のいい女の子は多かった。きっと、何か人を惹きつけるものを持ち合わせているんだろう。

だんだん2人で話す時間が増え、2人だけの内緒話も積み重なり…自然と恋心が芽生えるのに、そう時間はかからなかった。どこがどう好きか、そんな次元の問題じゃなかった。何を話しても何をしても、疲れを全く感じることなく、2人でいるのはごく自然なことのように感じる。そしておそらく彼にとっても、そう感じているだろう、何故か私はそう思えていたのだ。

私が彼に気持ちを伝えようかと考えていた頃、彼の方から気持ちを打ち明けてくれた。夕日を背に浴びながら自転車を押す、家への帰り道に、まるで世間話をするかのように、ぽつっと。
「好きなんだ…。」


あの日以来、私たちは穏やかに日を重ねてきた…といえば、そうでもなかったりする。何故か、タカユキに対しては思いっきり我が儘を言ってしまう私は、とんでもないことを言い出しては彼を困らせることもしばしば。こんなことはつい先日もあったばかりだ。
私が悪いと分かっていながら、それでもいつも折れてくれるのはタカユキの方で、
「でも、君のそんなところも好きなんだよね。」
と言いながら、頭をなでなでされてしまう始末。正に駄々っ子が大人にあやされている図の通りで、私は悔しいと思いながらも、彼のその言葉に照れくささと安堵感を覚える。こんなタカユキだから、私は甘えることができるのだった。


週も終わり頃の金曜日、明日は午前中からタカユキと久々のデートだ。
今日は一緒に帰ろうと約束していたので、私はいつものように玄関のガラス窓に寄りかかり、外を眺めながらタカユキが来るのを待っていた。が、なかなか来ない。おかしいなぁ、今日は最後の授業を終えたら何も用事はないって言ってたのに。30分が過ぎても彼の来る気配はない。


もしかしたら…。鈍色の不安が脳裏をかすめる。


ナナコは私の友達でもあり、タカユキのクラスメイトでもある。タカユキを私に紹介してくれたのが彼女だったし、彼への恋心を打ち明けた友達は彼女しかいなかった。だから、私たちが付き合っていることは、彼女ももちろん知っている。
これは女の感だが、おそらくナナコもタカユキのことを好きなんじゃ…。私はそう感じている。近頃の彼女の様子からしてみると、思い当たる節がなくもない。廊下で私たちとタカユキがばったり会うと、ナナコはそそくさとその場を離れてしまい、3人で話すことが少なくなってしまった。たとえ3人で話していても、話している間は私と目を合わせてくれない。
そうだ、もともと誰よりもタカユキと仲が良く見えたのはナナコだった。

いったん考えはじめると、ネガティブ思考は止まらなくなる。
授業が終わって、きっと今頃2人で仲良く話してるんだ。この間のいざこざで、ついにタカユキも私に愛想尽かしたのかなぁ…。
頭の中でいっぺんに様々な想いがぐるぐる回り出し、気分が悪くなってくる。落ち着きをなくした私は、瞬きが増え、唇の奥で歯を食い縛り、手にはじとじとと汗をかき始めていた。

すると、よく響く廊下の向うから、タカユキと女性の声が聞こえてきた。
あぁ、ナナコだ…。


自分でも気づかないうちに、私は無我夢中で薄暗くなりかけた外へと駆け出していた。




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