Get your gun

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君への最後の嘘  3


君への最後の嘘  3



う…ん…。
体が重い。時計を見ると7時43分。カーテンの隙間から、やや弱い日差しが差し込んでいる。
昨日タカユキから電話があって、その後そのまま寝ちゃったのか…。寝ても覚めても眉間のしわは寄ったままのようだ。

とても今日は遊びに行く気になんてなれない。誰にも会いたくない、何も考えたくない。


「エリ~、いつまで寝てるの。今日は出かけるって言ってたでしょ?お天気は曇りで雨は降らないって。ほら、起きて朝ごはん食べなさい。」

大きな声で言いながら部屋に入ってきた母は、私の背中をゆすって起こそうとする。

「今日は出かけないの。」

顔を枕につけたまま、生返事をする。ふふっ、と母が鼻で笑う。あ~なるほどね、といった口調で

「何があったんだか知らないけど、意地を張るのもいい加減にしときなさい。愛想付かされるわよ。」
「うるさいなぁ、ほっといてよ。」
「なになに?なんかあったの?」

興味津々といった感じで、弟までもが冷やかしに来る。いい迷惑だ。

「彼氏と喧嘩でもしたんじゃないの?」
「ふ~ん。どうせ姉ちゃんが何かしでかしたんだろ?いよいよふられちゃうぞ~っ。」
「ほんと、素直じゃないんだから。」
「まあ、一時だけでも彼氏ができただけで、奇跡だな。」

母と弟が漫才口調で喋り続けるのを黙って聞いているうちに、再びイライラが積もってきた。

「もうっ、いい加減にして!放っといてよ!」
「へえへえ、わかりやしたよ~だ。あっ、母さん、出かけるついでに学校まで送ってって。部活あるから。」

そう言いながら、2人は戸を閉め、階段をおりていった。

全部悪いのは私なの?何もかも私が悪いの?なによ、何も知らないくせに私のこと悪く言わないで…。

しばらくして、車が出て行く音が聞こえた。父は今日も会社だし、今家にいるのは私一人か。
耳につく妙な静けさが、波のように淋しさを襲う。一人だ、一人きり…。
ここにきて、とうとう涙が出てきてしまった。何故泣いてるのかよくわからないけど、無性に淋しくてたまらない。


ブーッ、ブーッ、ブーッ

無機質な携帯の音。タカユキからだ。パキッと折りたたみの携帯を開きながら時計を見ると、すでに9時半。待ち合わせの約束の時間だ。

もうこんな時間なんだ。
とても会いになんかいけない。電話にでることも…。タカユキ、すごく怒ってるだろうな。

バイブの音がやんでしばらくすると、また電話がかかってきた。
電話にでようかとためらっているうちに切れてしまい、間をおいて再びかかってくる。きっと私が出るまでかけ続ける気だ。

複雑な気持ちで、私はようやく通話ボタンを押した。




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