猪木魂

猪木魂

猪木対パク・ソンナン


アントニオ猪木には伝説の試合が沢山あるからである。

 アントニオ猪木対パク・ソンナン(韓国の巨人)。
猪木さんは韓国遠征でこいつと戦った。
有名なエピソードで、パク側は猪木さんにジョバーをオファーしてきた。
新間氏は一応控え室で猪木さんに伝えた。
その時の痺れまくる一言。
「新間よ、お前は韓国に俺を負けさせる為に来させたのか?そのためにアリと戦ったのか?」

 確かにこの筋はそっちの意味にも取れる。
しかしもっと深く考えてみよう。
そして試合になったときの狂気を含め分析すると、(さすが、本物のレスラーは違う。)と解釈できる。

 第一戦目、この発言によりキレ気味の猪木さん。
しかし試合は通常のプロレスであった。
ところがギブアップしたはずのパクはセコンドや観客に焚き付けられ、ギブアップしていないとクレーム。
怒った猪木さんはすぐにシュートモード。
目に指をいれ、鉄拳&蹴りの制裁。
パクは何も出来ず、無様な姿をさらしてしまった。
セコンドや観客は怒り狂い、会場は暴動寸前。
こんな状況でも決して臆さない、アントニオ猪木。

 パク戦の契約はシングルは2試合。
2戦目はテレビの生中継が入っているにも関わらず、パクは戦意喪失。
生中継なのに40分以上もリングだけが映し出される、異常な光景となった。

 周りに説得されしぶしぶリングインしたパクだったが、闘う前からビビリまくり。
試合開始後も、リング下に逃げまくる。
最後は試合放棄気味のリングアウト負け。

 この試合はキラー猪木シリーズで映像として残っています。
この2戦目は実は猪木さんは”キラー”化していません。
普通の試合です。
キラー猪木は一戦目。
ノーテレビだったのが悔やまれます。

 「いつ何時、誰の挑戦でも受ける!」
猪木さんの言葉の意味は自らが実践してきた説得力があるのです。
いつシュートに変わっても対応できる力があった。
今の総合の選手なんか事前に対戦相手に合わせた練習をつんでからの話。
昭和のレスラーはいつ”そうなるか”分からない世界。
今と違って、弱いやつはトップにはなれなかった。
客を掌に乗せる度量+いつでもシュートに対応できる能力と覚悟。
それができてこそプロレスラーである。

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