inti-solのブログ

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2020.08.04
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テーマ: ニュース(100321)
ジャンボ機、22年に生産終了 ボーイング「747」、半世紀で

旅客需要全体が激減しており、声明で「市場の現実を反映して決めた」と述べた。燃費性能が劣るため、7月には英ブリティッシュ・エアウェイズやオーストラリアのカンタス航空が計画を前倒して退役させていた。
ジェットエンジンを4基備え、機体前方2階建てが特徴だった。

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ついにその日が来てしまいました。
引用記事にあるように、B747の就航は1970年(初飛行は1969年)、今から50年前のことです。そのB747の後、4発機(エンジンを4つ搭載する機体)として開発されたのは、エアバスA340とA380、イリューシンIL-86と同IL-96だけです。加えて、3発機として、ロッキードL1011、ダグラスCD-10、その後継のマグダネル・ダグラスMD-11がありました。このうち3発機すべてとA340、IL-86はすでに生産終了しており、世界最大の旅客機A380も生産終了が決まっています。そして今回B747も生産終了が決まりました。一応、ロシアのIL-96は残っていますが、旅客機型の生産数は年間の1機あるかないか程度で、何しろロシアのかつてのフラッグキャリアであるアエロフロートですら中型機以上はほぼエアバスとボーイングしか使っていない状況です。
つまり、B-747の生産終了をもって、実質的には4発機(それ以前に3発機も)は終焉を迎えることになるわけです。

登場した当時、B747は既存のどの旅客機より経済性が優れていました。客室を満席にすれば、ですが。既存のどの旅客機より大きな機体なので、当時の旅客数から考えると輸送力過大だったわけですが、そのことが航空運賃の価格破壊をもたらしました。飛行機による移動(旅行)を一般化したのはB747の最大の功績だったと言えます。

その後、B747より後発の新機種は、より優れた経済性を目標に開発されてきましたから、今ではB747は経済性の優れた飛行機ではなくなってしまいました。
もっとも、現在でも燃費自体は、他の最新鋭の旅客機と比べてそう劣っているわけではありません。
問題は、前述のとおり、「客席を満席にできれば」という条件がついて回ることです。それは他のどんな旅客機でも同じですが、B747は、機体がでかいだけに、損益分岐点が高い、ということになります。しかも、飛行機のあらゆる部品の中でももっとも高価なものはエンジンであると言われます。エンジンがなければ飛行機はただの金属のかたまりでしかありませんから、絶対必要なものではあるのですが、経済性を考えると、エンジンの数は少なければ少ないほど良いということになります。

一方で安全性の面では、万が一のエンジン故障の際のリスクを考えるとエンジンが多い方がよい、ということになります。エンジンが二つの双発機で片方のエンジンが停止しても、エンジン1個は残りますが、片側のエンジンが全部止まると、飛行機は極めてコントロールし辛くなるようです。

しかし1980年代「ETOPS」と呼ばれる制度で、双発機の飛行制限は最寄りの空港まで60分から120分に、後にはさらに緩められ、現在では6時間以上まで認められている機種もあります。こうなると、双発機では就航できない路線はなくなり、したがってどんな路線でも、運行機材はコストのかかる多発機より双発機、という流れになってしまいました。
こうなると、まず、機体サイズの中途半端な3発機が消え、続いて大型の4発機も消えようとしている、というわけです。

元々そういう流れは明らかでしたが、新型コロナ騒動で航空旅客需要が激減し、大型機を満席にすることなど不可能な状況で、4発機終焉の流れに更に拍車がかかっています。

日本は、かつては、日本航空が世界最大のB747ユーザーだった時代がありましたし、全日空も多くのB747を導入していました。しかし、旅客機としてのB747は、すでに6年前に全日空から退役して消滅しています。貨物機としては日本貨物航空が現在も運用していますし、海外の航空会社から日本に飛来するB747はまだ少なからずありますが。

私自身は、1988年に初めてメキシコに行ったとき大韓航空のB747-200に乗ったのを皮切りに、翌1989年再び大韓航空とアルゼンチン航空、96年ユナイテッド航空、99年カンタス航空、最後に乗ったのは、おそらく2003年日本航空の羽田-千歳線だったと思います。今後、もう乗る機会はないかなあ。
飛行場に行っても、B747は明らかに他の飛行機とシルエットが違い、一目でそれとわかります。それ以外の4発機、それに3発機も、程度の差はあれ、それぞれに特徴的なシルエットでした。双発機はどれをとっても似たり寄ったり。中身はともかく外見に特徴を見いだしにくくて、面白味に欠けるのが正直なところです。時代の流れで仕方がないんですけどね。というか、時代の流れは、4発機がどうこう以前に、新型コロナで航空会社が生き残れるかどうかの瀬戸際という状況ですけどね。
早く終息してくれないかなあ・・・・・。





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最終更新日  2020.08.04 19:00:06
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Re:4発機の終焉(08/04)  
アンドリュー・バルトフェルド さん
3発機も小学生の頃に何度か乗ったことがあります。
なぜだかガッカリしたことがありましたが。
ANAがトライスター(今の塗装になったばかりの頃が多かったです)でJALがDC-10でしたね。

B747は国内キャリアしか乗ったことがありません。とりあえず、数えきれないくらいということにしておきます。
海外キャリアだとアシアナ航空(何とか存続を願っています)は最後の一機が今月中に退役のようです。
エアバス一本化で行く気がしますが、777-Xも願っています。
後は安倍が断交して支持率爆上げという狂気をやらないことですね。

ルフトハンザ航空の747-8はやっぱり乗りたかったです。リトアニアから帰国するときにフランクフルト即羽田行きを選択しなかったのは惜しかったです。
とは言え、3年前にA340-600に乗れたことは幸いでした。

早く空の旅をしたいのは私も同じです。今秋に何とかA321neoにのって、来年はA350-900か同1000、A380とB787-10の最低二機種に乗りたいです。 (2020.08.04 20:15:01)

Re:4発機の終焉(08/04)  
maki5417  さん
B747はまだ作っていたのですね。
いつも2階の窓際の席に乗っていました。

DC10は、天井が高かったと記憶しています。 (2020.08.04 21:09:43)

Re[1]:4発機の終焉(08/04)  
inti-sol  さん
アンドリュー・バルトフェルドさん

3発機は、前述の1988年メキシコにいたとき、大韓航空でDC-10に1回乗っています。そのあと、アルゼンチン航空のB727-200、ロイド・ボリビア航空(のちに倒産)のB727-200、アメリカンのMD11に乗ったのが最後です。トライスターは乗ったことがありません。実は

747-8は、今は貨物機としての需要が多いようです。
経営が苦しいと言えば、メキシコのアエロメヒコ(日本にも就航していますが、新型コロナで現在は休航中)が米国で連邦破産法11条申請中とのことです。運航停止ではないですが、なかなか厳しい状況ですね。
A380は、もう乗れないかなあ。全日空のA380が国内線に転用されればのぞみがありますが、期待薄です。

maki5417 さん

まだ作っていたのです。機種名だけで言えば、B747より古いB737もまだ製造中ですが。
もっとも、B747は50年前も現在も機体のシルエットは非常に近いのですが、B737は初期のB737-200とそれ以降の型ではエンジンが低バイパス比から高バイパス比に変わり、翼への取り付け方も変わったので、印象がかなり変わってしまい、同じ機種というよりは同じ機種名を使っているけどほぼ別の機体、という印象を抱いてしまいます。
DC-10、それにMD11も、乗ったことは記憶しているのですが、機内の様子などはまったく記憶がありません。天井高かったですか。 (2020.08.04 22:32:09)

Re:4発機の終焉(08/04)  
Bill McCreary さん
私は、747には、2012年に乗ったのが最後ですかね。2階席に、2回乗れたのは、あれもいい想い出です。

前にも同じことをコメントしましたが、2003年にニューヨークへ行ったとき、コンチネンタル航空の777で、その時「ああ、もう747の時代じゃないんだなあ」と思った記憶があります。日本の場合、東京⇔札幌のようなドル箱路線で大量投入されたので、きわめておなじみですね。いま山口百恵主演の『赤い疑惑』というドラマを観ていますが、JALとタイアップしているドラマなので、やはりやたら747が登場します。75年~76年放送のドラマですが、その時代から旅客機というと747のイメージがあったのかなと思います。 (2020.08.07 01:00:00)

Re[1]:4発機の終焉(08/04)  
inti-sol  さん
Bill McCrearyさん

ニューヨークまで直行便と言えば、80年代初めまでは通常のB747でも無着陸では飛べず、胴体を短縮したB747-SPしか飛べませんでした。(747-SPはアルゼンチン航空で乗ったことがあります)
しかし80年代半ばにはエンジンの燃費性能が向上したことと燃料タンクの増設などによって通常のB747でも無着陸で飛べるようになりました。今では双発機でも問題なく飛べる。

実は私も2002年にメキシコに行った際(新婚旅行でした)、ダラス乗り継ぎだったのですが、成田-ダラス間はやはりB777でした。ダラスは多分ニューヨークよりもっと遠いですよね。

本文に書いたように、私も国内線での唯一のB747搭乗経験はJALの千歳空港行きでした。 (2020.08.07 06:55:49)

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