「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
000000
HOME
|
DIARY
|
PROFILE
【フォローする】
【ログイン】
INVICIBLE NIGHT
SD2
カリン。高い、鈴の音。二人の客がファミレスへ来店する。
「…なんだか耳にきーんとくるなコイツ。客への嫌がらせにとられるんじゃねぇか?」
来店者――石山剛健はドアに付けられた鈴をつつく。…石山の巨体が小さくて可愛らしい鈴を遠慮がちつつくというのは、なんだか微笑ましい。何を食べればこんなにデカくなれるんだろーか。
「もっともな意見だね。でもココ、電気系の来店センサーはイヤなんだって、お店側のご意思」
ていうか店員さんの問答無用のご意志。恐ろしいので口にはしない。店長…もしかしたらオーナーまでもあの店員に脅かされているやも知れぬ。
「いらっしゃいませー」
と、件の店員さん登場。営業スマイルにちょっぴり本心をまじえた笑顔で石山に一礼。次いで自分に向かって
「いらっしゃいませ。毎度毎度ご来店ありがとうございます」
仏頂面に棒読み。毎度なんて今時使いませんよ。あと「ありがとうございます」のところに憎しみを込めないで下さい。次回来店が憂鬱になるんで。
いや既に憂鬱な気分ですが、店員さんはちゃんと四番テーブルへと案内してくれた。そこら辺はしっかりしてる。性質悪い。
この四番テーブル、何があったわけでもないが、何故か自分と石山のVIP席みたいになっている。最速と最強――普通、Aランカー…というかタイマンでのケンカをするランカーは皆群れない。石山と自分は中学時代から付き合いがあり、今日はランカーとしてではく、単に友人として食事をするのである。そもそも階級が違うから勝負はしないし。
ランカーは自分をスティングともドレイクとも名乗っていいが、上位のランカーはそんなバカな事はしない。勝負に負けたら銀をトレードしなければならないのだから…それと階級違う場合は銀を奪ってもいいというややこしいルールなんで旨みはない。
それになにより――最速は最速にしか興味がないし、最強は最強にしか興味がない。そのポリシーを持つランカーには、他の階級の勝負になど意味がないのだ。
先日のCランクのドレイクは、まあ例外のバカちん。あんなことする暇があるんなら、ドレイク;最強のBランクに勝負を挑んだ方が強くなれるのに――。
「ホントバカな事やったね、あのドレイク。あんな事に時間費やすなら、もっと体鍛えればいいのに」
「ああバカだ。…まあでも気持ちは解らなくもねぇ。要はソイツ、結局は誰よりも優れていて、自分が強くなる事じゃなく、強い事に興味があったんだろ」
こちらの独り言に石山は相づちを打ちながらも、同情するように言った。
勝負で強くなっていく自身を認めていくのではなく、勝負に勝つ事で自身の強さを誇示する。勝負に意味は無く、その勝敗に意味を求める。ただ強く認められたいから。
「なるほど…誰かに認められたい、か…だからそれがバカな話なんだって。強いかどうかを決めるのは他人の記憶や勝敗とか数字の記録だけどさ、最後に自分が強いかどうかを認めるのは、自分自身だよ。心構えって、そういうことでしょ?」
たとえば、何かの勝負をしたとする。結果は勝った。ただ勝負の内容が納得できなければ自分が強くなったとは思えない。
逆に負けたとして――内容が満足いくものなら、勝敗は瑣末な問題だろう。
「ああ。確かにソイツのやってた事はちょい俺らとは毛色が違うな。よく言えば純真、悪く言えば子供の考え。そこら辺の価値観の違いは経験で変わってくるんだろ。
誰かに認められたい――でもたぶんそれでもいいんだ、子供のうちは。俺らだって、ガキの頃は純真だったろ?」
…む。確かにケンカばっかやって、勝った事で優越感に浸ってた。…そういうのが今は出来ないのは確かだ。…確かだけど、アレを純真とは言うまい。ビッグメン、お前ベンチ何個壊したっけ。
「んー…でもなぁ…あのドレイクは微妙に違う様な…」
勝負に勝ち、バングルを集めて優越感に浸るというよりも、勝負を楽しみ、飢えている様な――だとしたら矛盾してる。なら自分以上のランカーと勝負すればいい。Eランクと勝負する理由がない。その辺りの価値観はあのドレイクにしかわからないものなのだろう。
「…ワケわかんないね、あのドレイ――」
ため息を吐きながらジュースを一口――が、ストローくわえたままピタリ静止。石山も幽霊でも見た様な顔してるオレの顔を見てから、四番テーブルから覗ける、窓越しの風景を見て、次いで静止。
窓越しに見える――いつもは車が行き交い、たまに通行人が通る風景は――ナニモノかが窓にベッタリくっつく事で遮断されていた。
顔を押し付け、両腕も窓にベッタリ。まるで玩具店のショーウィンドウに張り付く子供――だがしかし、張り付いているヤツはどう見ても子供ではない。身長は180を超え、髪はパーマか。ドレッドか。服装はベージュの短パン、上は紫のランニング――
「…ワケわかんないね、このドレイク」
――不良さんこと、元Cランクのドレイクが窓に顔を押し付けコチラに手を振っていた。
「…一応聞くけどよ…コレ、知り合いか?」
石山が訝しげな顔をする。…まあ普通の反応だよね。誰が窓に張り付いているドレイクに「オー、ナンダイ?」などと言えるのか。
「…知らない事にしておきたいけど、多分帰ってくんない…このままだとずっと張り付いたま――あ、割るかも。…中、呼んでも大丈夫かな?」
「暴れねぇんならな。…だがこの手の連中はどうにも苦手だ。話をするならオレは放っておいてくれ」
石山はテーブル席の奥に身を寄せる。…ちなみに石山、お前自身の外見もこの手の部類とやらに入ってると思うよ。
もう窓にチョップ食らわしそうなドレイクに『入り口から入って』と指でジェスチャーする。…なんか嬉しいらしく、ヤッタ!とガッツポーズしてから180センチオーバーの巨体で全力疾走、入り口の扉に激突しなかったのが不思議だった。
カリン――鈴の高い音が鳴って、ドレイク来店。店員のお姉さん、その風貌に露骨に嫌な顔をしながらも接客。…マッチョなら誰でもいい、というわけじゃないんだ。
ズカズカと四番テーブルに歩いてくるドレイク――その気になる第一声は――
「おっす!アニキ!」
――どうにも、やっぱりわけわかんなかった。
「…アニキって、誰が?」
「いやだからアニキが」
…もうなんだか、わけわかんなかった。
「…オレがアニキ?なんでまた?」
それに何だか恥ずかしそうにするドレイク。その巨体でもじもじとかしないでほしい。
「いやー、おれっち、アニキのパンチに惚れ込んだんですよー。なにアレ!全然見えなかった!卑怯臭いその強さに惚れ込んだ!」
熱く語るのはいいですが、まったく答えになっていないので意味不明。
「…で、何しに来たの?」
もじもじ。
「いやだから、惚れ込んだから、弟子入りしようかと思って」
…うむ。まあなんとなく目的は判った。だけどそこに至るまでの経緯がまったく不明。あともじもじやめい。
「…何故に?ドレイクのキミがスティングに弟子入りって、お門違いじゃない?今は新参者扱いだろうけど、キミはどう見てもドレイク向きの体なんだから、それは無駄だと思うよ?」
そう、無駄だ。最速を師にもっても、最強にはなれない。これは道理だ。
「いや、だから…惚れ込んだんです!」
…なんか疲れてきた。さすがに面倒になってきた。
「ふーん…でもおそらくキミは『強くなりたい』んだと思うよ?勢いで決め付けるのはよくない。キミはドレイク向き。オレは『速い』専門だから…そうだ。だったらオレと同じぐらいのレベルのドレイクを参考に紹介してあげる」
えー、と眉をひそめるドレイク。不満らしい。だけどもう疲れたのでパスする。
「ホントにその人強いんですかー?」
「大丈夫。同じAランカーだから」
まてまてと大袈裟にジェスチャーしてみる。
「え?マジですか?どんな人なんですか?こう、メチャクチャデカイとか?どのぐらい?」
「いやこのぐらい」
「っ……!?だからなんでその手の話をいつも俺に持ち込むんだお前は…!?」
向かいの大男さん、露骨に嫌な顔。頑張れビッグブラザー。オレはお前に期待してるぜ。
「いいじゃん。石山、面倒見いいし、ドレイクとしての格もトップなんだから」
石山剛健。その体格の通り兄貴分的な存在である。この町のシンボルと言ってもいいぐらい。舎弟に入りたいと願った子は200を超えるという伝説がまことしやかに囁かれている。
「俺はそういう上下関係ハッキリした付き合いは嫌いだって何度言やわかる!独裁者じゃあるまい、なんだって主従ハッキリの付き合いしなきゃならねぇんだ」
「独裁者じゃないでしょ。結局お前、全部断ってるんだから」
まあ、そんな『一匹オオカミ』――そのネームバリューに憧れて来る輩は増える一方なんだけど。
「第一ソイツはドンマに弟子入りしたいんだろ?坊主、お前もお前だ。見ず知らずの俺に弟子入りするなんて、ねぇだろ?」
「いやまあ、スティングさんが同じぐらい強いっていう人なら、いいかも」
さすがドレイク、期待通りのいい加減っぷり。ほ、やっと肩の荷が降りた感じ。後はビッグなアニキが断るだけ。
「なんだそのいい加減さは!オレはゼッテーお前なんか弟分にしねぇ。そもそもそんなもん作んねぇし、お前みたいなのは特に気に食わねぇんだ。
SDのルールを破った――その程度の器のヤツの面倒見るなんざ御免だ」
えー、とドレイク残念。トウドウシナリオ通りである。
「おれっちだって好きでやってたわけじゃないですよー。あれには色々と・・;目的がありまして」
――ただその台詞だけは、聞き捨てならないものだった。
「…ちょい待ちキミ。なに、なんかの為にバングルを奪ってたの?」
…いや、それはちょいとというか、かなり聞き捨てならない。怪訝な顔で言うと、ドレイクは何が嬉しいのか、へへーなどと笑う。
「トーゼンでしょー。何の目的も無しにバングルなんて奪いません。個人的にはBランクあたりと勝負したかったんですけど――まあ、まずは最下位から様子見をしようかと」
あっけらかんと答えるドレイクには、まるで緊張感がない。
「…お前、意図的に違反したってのか?」
「んー、目的は違反じゃないんですけど、結果としてはそうなるんですかね。ルール書き、わかりづらいんでよく解らないんですけど」
まるで笑い話のようにドレイクは語る――ドレイクの精神面は、それ程に優秀なのか、イカれているのか。
「…俺らとしては聞き捨てならねぇセリフだって、わかってるか?」
石山の目は勝負時のモノになっている――それを観察しているオレとて、既に初撃を考えていた。アウトロー;確信犯に礼儀など、もはや必要ない。――ただドレイクだけは、そんな張り詰めた空気など、関係がないように――
「――もっちろん。ですから、スティングさん達はおれっちを監視してた方がいいでしょ?違反を犯しかねないヤツは放すより、手綱を握ってた方が楽じゃないですか?もしかしたら考え改めるかもしれないし」
ニヤニヤと笑うドレイク――格上であるAランクのスティングとドレイク二人を同時に、目の前に、挑発するかのように。
「…この場で取り押さえてonlyに突き出してもいいんだが」
石山はより目を細める。――オレも同意。同意なんだけど――そうもいかない。
「そんなん無理でしょー。だっておれっち、・・;まだ・;何・・・・;もやって・・;ないし、スティングさんは復帰してもいいよって言ったんですから。犯罪と同じですよー。
犯罪は止められません。どれだけ凶悪な意志を知ろうとも、どれだけの前科があろうとも、その人間の犯罪を『犯罪を犯す前』に止めるなんて不可能です。できるのは、終わってからの後始末。犯罪は終わった後にしか処理できない。必然として後手になってしまうんです。未然に、なんて言葉は抑止する側の強がりと見栄でしかありません。結局止められるのは、動き出したモノに限られるんですから――スティングさん達に出来るのは、手綱を握って監視するだけ。やるかもしれないからひっ捕らえぇなんて、横暴過ぎです」
…むぅ…そうなんだよね実際。外見に似合わずよく頭が回る。確かに違反者が違反をする前に捕まえることはできないし、そもそもそんな事ではランカー全員を疑う事に直結する。それではSDが成り立たない。
要は『あなた方が見てる限りは違反しません。でも見てないんだったら違反するかもしれません』という事か…でもそれって、ドレイクに何の得があるのだろうか…?
「…ちなみに、目的は?」
「無理っす。つーかそれ言ったらもう全部台無し」
両腕をクロスさせて×マークを作るドレイク…真剣なのか、ホントわかんない。
「…じゃあ何、石山が面倒見てくれるんなら、違反しないんだね?」
「ちょっと待てドンマ。コイツはバングルを七つも――で何で俺が面倒見る事になってんだだから!?」
「だって彼、ドレイクだし。…オレだって気は進まないけど、仕方ないでしょ。管轄はお前なんだから、一人ぐらい面倒見てあげなよ」
ふざけんなガナル石山はいいとして「そうだそうだー」と万歳してるヤツは何様だろうか。一応キミ、今修羅場だから。
「じゃあ決まり。はいお互いに自己紹介」
「ああもう勝手に進めんな!お前も知ってるだろ!俺はこういうのは……アレなんだよッ!」
苦手なんだよ、と言いたいらしい。でも石山アニキ、そこら辺は本人の前では言わない。既に面倒見イイアニキモード入ってるあたり、やっぱりアニキ肌。…石山よ。仮に面と向かって「大嫌いだ」と言っても、きっと付いてくるよ。金魚のフンみたいに。
既にガッツポーズをしてどう自己紹介をしたもんかと悩んでいるドレイク。やってる事は可愛らしいのだが180の巨体だということを忘れてはいけない。いい加減もじもじもヤメテほしい。
「――えー…はい、香宮誠って言います!好きな食べ物はカレーライス、嫌いな食べ物は野菜全般。最近はまってる事は地下バーでのポーカーです」
で、元気良く自己紹介する巨体くん。最後のは多分賭けトランプの事だと思うけど追求しないでおこう。
「石山剛健。何でも食う。最近はスティングをブチコロしたい」
で、コチラは納得いかなげな石山君。そうあまり睨まないでほしい。
「…ふん…マコトと書いて誠か?…そりゃすげぇ、外見とは全く合わねぇ」
「ですよねー。なんでこうなっちゃったんだかこんな名前なんだか」
が、納得いかないまでもやっぱりアニキ肌な石山くん。その手の話題はアウトローにとっては褒め言葉に聞こえるというのを素で知らない。社会からリタイヤすると自分の名前にも悲観的になるものなのだ――まあオレは微妙に違うけど。
「じゃあ最後にスティングさん。クラス委員長が最後なんてイカすぅ!」
…即興のまとめ役がクラス委員長に変換されるあたり、やはりわけわかんない。ま、いっか。なんとか上手くいきそうだし。
――こほん
「あー、オレは――」
「――東籐万亀(トウドウマキ)。読みづれぇから、俗称、ドンマ」
…石山君、俗称とは酷くないかね。てかドンマって読んでるのお前だけだし。
「トウドウマキ?それでなんでドンマなんですか?あ、まさかのステキエピソードとか!」
誠くん、もっともな意見だ。そのままオレの俗称とやらを覆してくれ。あとステキな話があってもそんなアダ名は御免である。
「いやな、最初中学のクラス表で変な名前のヤツ見つけてよ。漢字の読みが『ヒガシ・ドウマキ』だと思ってたんだ。でもドウマキって呼ぶのもどうかと思ってよ。ドウマになって、亀っつー漢字が入ってっから、もうノロマなドンマ」
如何な変換回路か…!IQの低さが生んだ悲劇のニックネーム…!そんな俗称を使うのは誇らしげに語るこの巨体だけだ。
「ああ!なるほど!」
――だけなのに、誠くんは難題が解けたとばかりにガッテン。同じドレイク、頭の造りが似ているらしい。
…しつこいようですが、パワー重視のランカーはドレイク、スピード重視のランカーはスティング。目の前の愚か者どもは間違いなくドレイクで、ドンマと呼ばれるオレはスティングです。ファック。
「ああでも、おれっちがドンマって呼ぶのは失礼っすよね」
だがやはり誠くん、最初にアニキと決めたスティングさんをノロマ呼ばわりはしない。よしよし。
「じゃあドンマさん!」
だがしかし磨きがかかってしまうドレイクの頭なのだった。どの辺を失礼と捉えたのかコノヤローは。
「…ま、いいけど。バカちんの一人や二人、増えたって変わんない――時に誠くん。キミ、どうやってオレの居場所を探知しちゃったわけ?まさかずっと尾けてたとかそんなんじゃないよねまさか?」
だとしたらダメだなぁ。ちょっと人間としてダメだなぁ。
でもそんなわけはなく、「まっさかー」と笑ってくれる誠くんは
「いやー、Aランクのスティングさんが居る場所聞きまわったらみんな口を揃えて『悪趣味な鈴のファミレスにいる』って。さすが最速っす!ひゅー!有名人!」
もっとダメなセリフを言ってくれた。やべぇ、防空壕掘らなくちゃ。
そしてコンマ七秒後にファミレスのレジから放たれるコップ――容赦なく誠くんの顔に激突、パリンなどとは割れず、パンと音を立てて砕け散る。すげぇ、150は出てたよ今の。
「…………」
沈黙のヤロウども三人。二人は顔面蒼白で口も開けず、一人は顔面から血を垂れ流していてやっぱり口が開けない。つか意識あるのかなアレ。
「…―ぬぁッ!?い、今のガラスの豪速球はなに!?もうなんか殺意がこもってるとしか思えない速度だったんですけど…!」
大丈夫、意識はあるようだ。流血も鼻血だけで、さすがドレイク。コップと言えど100キロオーバーでは冗談にならない。マジ死人出なくてよかった。あと石山「こもりにこもってんだよ」とか呟くなバカちん。こちらにも二次災害が及ぶ。
「魔弾の射手は…!射手はいずこ…!」
鼻血が出て興奮したのか(いや普通逆だけど誠くんにはこれがノーマルらしい)ランカーカモンやってやる体勢でコップぶん投げたお方を探す。
魔弾の射手ことレストランの店員さんはレジで違算の確認なぞを涼しい顔で進めている。…恐ろしい。どこにもコップが見当たらない。
「…石山、常備かな?」
「…ああ…ちょうどあと二つ、エプロンに怪しい膨らみがあるからこの話題はやめよう」
カンペキ。ストックが標的と同じ3つなんてステキすぎ。
「うわ!?お姉さんか!客になにを――わぎゃっ!?」
再度放られるガラスの豪速球。店長は留守なのか。留守だったらこの店ヤバイんじゃね。
「ま…待った…!いや待って下さいアネキ!マジアブナイ!」
ドレイク降参。ただ未だに何故コップを顔面にスローされるのかはわかってない模様。オレと石山も何故あんなにキレるのか、その理由は聞いたことがない。付き合いは六年近いんだけど、鈴への無礼を働いてしまった者への報復をする理由は目下不明。次いでこの店のコップのストックも不明。客が少ないのは案外その辺りの理由なんじゃないかな。
「お客様、店内ではお静かにお願いします。どうぞ」
ペーパーを手渡して拭けと目で命令を下す店員さん。鼻の方ではなく、テーブルに飛び散った方に顎を向けているあたりやっぱこぇえ。よく六年もアルバイトクビにならなかったとか以前に、よく面接通ったねこの人。よっぽど人材不足だったのか…いやいや、ここ自給900でシフト自由だって話だし…実は店長の弱み握ってて主従入れ替わってるとか――この人なら有り得るって頷けちゃうよ。
「…なにか?」
「店員さん、ガチで営業スマイル崩さないで」
…SDのランカーじゃなかったら絶対こんなアブナイお店には来ない。指輪獲られた日には隣町のメイド喫茶にでもお邪魔してみよう…あそこ、ツンデレ系だったよーな。
「お、終わりやした!」
しゅたッと立ち上がる誠くん。さすがだ。床の破片まで片付けさせた。
「…アナタがEランクのスティングを襲ってたドレイクなんですか?」
と――誠くんへのこれは敬語ではない。顔こそ営業スマイルだが目はスバラシイ鋭さだった。
「あー…まあ、そうなん…ですけど…」
もじもじ。なにかなコレは。ヘビニニラマレタカエル?
でも誠くん、自分がカエルだとは理解しているものの、相手が正体不明の蛇なので混乱中。
「…はい、とりあえずすいませんっ」
とりあえず謝るあたり、シモベの才能がある。それを気に入ったのか、店員さん極上の笑み。…それが営業スマイルではなく、ドレイを獲たことへの悦びからくるものであるというのは、店内にいるカエルヤロウどもにしか解らない。
「ごゆっくりどうぞ――と、石山さん、今度食事でもいかが?」
仕事中にお客さんにこんなこと…店長には内緒ですよ、なんて人差し指を立てるのは可愛らしい――だが騙されてはいけない。これは偶像だ。ファミレスに限られたアイドルなのだ。店外ではタメ語常道、行き過ぎると命令口調なヤンキーお姉さんに変身してしまうのでポっとした人は注意しなければならない――各言う自分もポっとしちゃってからパシリ同然なので。正直、ドレイ;仲間が増えてくれれば楽だけど。
「…マジこぇぇえ…」
席でブルブル誠くん。いや気持ちは痛いぐらい解る。事実痛い。
「なんなんすかあの人…?アニキたちも恐縮って感じでしたけど…ヤバいんですか?」
「…微妙だな…ただ真面目にヤバくはない。クスリはおろか酒も飲まねぇし、タバコを吸ったところも見たことねぇ。どこかに所属してるとかでもない…ってのは聞いた話だが」
「なに、アレを信じるの石山は?それあの人が喋った時、周りに何十人と男集団が群がってたのを忘れた?」
「…いや、単に忘れたいだけだ」
同感。今後一切この話はしない。
「ただ誠くん、あの人には逆らわない方がいい。キミ、一つ勘違いしてるよ」
「…???」
クエスチョンフェイスな誠くんに真面目顔で忠告する。
「だから――鈴があるファミレスにいる、Aランクのスティングで有名人って、オレの事じゃない」
――調理場から店長の声がする。
「渚ちゃん、今日はもう上がってもいいよ」
「いえ、もう少し手伝います」
――フフフと笑う店員さん。店長を含めヤロウ四人衆は軟禁状態を三時間半も続けたのであった。
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
動物園&水族館大好き!
大宮公園小動物園(無料)ブチハイエ…
(2026-05-07 00:00:09)
競馬全般
[41]園田~兵庫チャンピオンシップ予…
(2026-05-06 15:02:49)
妖怪ウォッチのグッズいろいろ
今日は妖怪ウォッチ見ました&今日の…
(2026-01-20 16:20:04)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: