
http://www.youtube.com/watch?v=amYTQ91W6xo&mode=related&search=
(曲を聴きながら読んでもらえたら、と思います)
「宝石屋の息子」
ちいさなころから頭が良くて
おまけに財力は並じゃない
宝石屋の息子は
お決まりのごとく医者になった
飛び切りのハンサムというわけでは
なかったが
背が高く
ちょっぴり母性本能をくすぐる
こつを知っていたので、
ナースたちにはモテモテだった。
でも
酒癖が悪く
診察時間が終わると
まだ入ったばかりの
ナースのスージィを呼んで
口説くのだった
そりゃ、いちころさ
スージィは純真で世間知らず
あっというまに
宝石屋の息子が
初めての男となってしまった。
そりゃ、いちころさ
恥ずかしがり屋のスージィは
夢みるお年頃
愛撫で夢ごこちの毎日も、
酒びたりのお医者様
だんだん、ろれつが回らなくなってきて
仕事も休みがち
酒びたりのお医者様
スージィの心配をよそに
ついに医局では誰にも相手にされなくなったしまった。
そりゃ
そうだよ
患者の方から
震える手を心配されて
「先生、大丈夫ですか」って
聞かれる始末だもの。
ある日、
スージィは
面白いものがあるからと
いつものように、こっそり秘密の診察室に呼ばれて
「この薬を飲んで、あれをやると最高だぜ」って
白い錠剤を渡された。
「一緒に飲んでラリっちまおうぜ。」
なにも知らないスージィは
言われるままに裸にされて、
薬を十錠ほど飲んだら
泡をふいて、気を失ってしまった。
驚いた宝石屋の息子は
あわてて、内密で薬を吐かせようとしたが、
時間は過ぎ行くままで
医局総動員の大騒ぎと化した
この大騒ぎの最中でさえ
このやっかいな息子
甲斐性もなく
ソファで大酒をかっくらって高いびき
おかげでスージィは
片足麻痺が生涯治らない体となってしまった
病院を首にされた息子さん
今度は本当に宝石屋の跡目をつぐことになった。
ここでも、おんな癖は例のごとく、
アメリーには眼がくらむほどのダイヤを与えて
そのシルクのような白い肌の感触を楽しんだ。
ローリィには毒薬の輝き、サファイヤを与えて
その青い瞳を独り占めにした。
生きることがたったひとときのことだなんて
気がつきもせずに
別離の挨拶代わりに使われたガーネット
「おはよう」と言うのが面倒くさくて
無造作に渡されたパールのネックレス
灰色の瞳のシャーリィから、
たたき返された
ルビィの指輪
数十人のおんなに手をつけて
とうとう、この息子は破産した!
おやおや
その頃より
体のだるさが気になって
宝石屋の息子
しぶしぶ病院を訪れると
「あなたは胃癌ですよ」との
宣告を受けるに至ったのだ。
それまでの酒びたりの生活を
変えるわけでもなく、
入院もせずに女遊びにうつつを抜かしていたので、
末期のベッドはすぐにやってきた。
それでも宝石屋の息子
甘えん坊の息子
あくまでも個室をねだって
「最高のナースをつけてくれ」
と院長に頼み込んだ。
ひそかに
ウオッカとバーヴォンを
持ち込んでいながらも、、、、、。
だけど
驚いた事に
彼に付けられたナースは
あのスージィだったのだ。
彼女は懐かしい瞳を潤ませて
かいがいしく、この息子を看病しだした
それこそ寝食いとまなく
> スージィは当代随一のナースとなっていた。
おかげで宝石屋の息子
快方に向かったかといえば
その逆で、
すこしは自分の生き様と
コトの重大さに気がついたみたいで
気の沈む毎日を過ごした。
スージィは片足を引きずりながら
生きてきたのだった
やがて最期のときがやってきて
フウフウと苦しい苦しい息の中での
ご臨終、、、、、、、、、、、。
ーちょっとまてよー
ここまで作者は書いてきたんだけれど
これじゃ
スージィが浮かばれない!
と思ったので、、、、。
こんな宝石屋の息子でも
しょうがない男だけれど
奇跡的に病状が回復して
それから五年
なかよくスージィと暮らしたって
そして
みたまのように
きよらかな
男の子を
スージィに残して
逝ってしまったことにしよう!
あれほど
浴びるように飲んでいたお酒も
人が変わったように、ぴたりとやめて、
エメラルドのように気品に満ちた
トパーズのように
あでやかで甘い生活を
ナースのスージィに残してくれた。
それは
たった五年のことだったけれど
ほかの誰にあげた宝石よりも
とりわけ、うつくしく光り輝いている
愛と愛撫の限りを
尽くした
ほんとうの日々であった
と


