★おまつりにっし!・・・おむすびころりん♪人生ころりん( ̄∇ ̄;)

(10)≪一冊の本≫




「三ツ目くん」と呼ばれ、店では可愛がられてイイ気になっていても、

実際の生活は困難を究めた。

特に困ったのがトイレ。「小」は良くても「大」が困った。

・・・こんな時に限って下痢になったりもするので、

そのたんびに、曲がらない脚を我慢して右足に負担を掛けることになる。




あっしの住んでいたアパートのトイレは、水洗だけど便座は

旧式(大和式)で、思いっきり!『しゃがむ』ので、

あまり長時間には(笑)、耐えられないのだ。

・・・要するに、便器をまたいで、左足だけ『休め!』の状態でやんす。

すぐ近くに『ホームセンター多摩』というお店があったので、

椅子型の洋式便座(うまく伝えられんなあ。。。)を買いやした。

・・・今でこそ笑い話でやんすが、毎日あぶら汗をかきやした。



そんな様子ですから、大学まで行くにも

松葉杖をバイクの荷台に積んで行ったんですが

校門から校舎までが、やたら距離が長い。

毎度毎度、走って校舎へ向かう学生達を横目に

汗びっしょりで教室に入りやした。




・・・もし、あっしがあの事故に遭った時に

『もうダメだ』とあきらめていたら、あっしは全ての約束を

破らなければいけなくなったろう。

9ヶ月分滞納した前のアパートの家賃も、授業料も返せない。

・・・だけどあっしは、こうやって向かい風の中を前に進んでいる自分がいることが

たまらなく『快感』だった。

何のために大学行ってるの? とか

『卒業なんて・・・』という考えはなかった。

・・・そこには『古びた自分をコワス快感』だけがあった。




・・・たまたま、授業が終ってから声を掛けてくる連中と

気があったので友人付き合いを始めたのだが、

会えば、いつも肩を貸してくれるようになったんです。

ただ、あっしは全カリキュラムを3時までギリギリ受けているので

彼らに会えるのは昼飯時だけでしたが・・・。

実際は毎日2時半頃、授業を抜け出して夕刊配達のために下校していやした。



ある日、彼らが見慣れない友人、I君を連れて来たでやんす。

見たところ、彼らよりずっと年上にみえるが、

家があっしの近所だと言うので、いろいろと話を聞くと

地元でロックバンドをやっていると言うでやんす。

あっしは音楽は、カラオケぐらいだったが(笑)、子供の頃

ドラムを叩かせてもらった「こともある」し、

エレキギターも弾いた「ことはある」。

・・・せめてギターの一つでも弾ければ、と憧れた「こともある」(笑)

・・・ただ、I君もあっしと同じように大学を留年して

今年は目一杯、授業を取っているというので、

『お互い頑張ろう!』ということになった。

・・・その日はそれでお互い別れたのだが・・・。



数日後、例によって2時半頃に夕刊配達のため 隣りの子に

『また何かあったら教えてね。』と言い残して

コッソリと授業を抜け出そうとするあっしの背後から

『ちょっと待って!』と声が掛かった。

一瞬ドキリとしたが、人なつっこそうな目をして声を掛けてきたのは 

あのI君だった。

『先輩、一緒に帰りませんか?僕、家まで送って行きますよ』

『え?いいの?』と言いながら内心メチャクチャ嬉しかった。

『いや、あっしはバイクで来てるから』と断るが

I君は、家まで付いてくるという。



どうやら、I君はあっしの事を気に入ってくれたらしい。

明日から送り迎えしてくれるという。

彼も朝から夕方までビッチリ授業を受けなければ、

卒業できないので、自分に自信がなかったのだろう。

誰か一緒に行く人がいれば、という切なる思いだったのか。。。



・・・そんな訳で、彼は毎朝あっしのアパートまで来てくれ、

夕方約束した場所でおちあい、送ってもらった。

あっしの足が完治するまで それは続きやした。



そのあいだ、彼も寝坊する事もあったでやんすが、

それはお互い『助け合い』というものでやんす。

ホントに、わずかな期間であったが、彼も

『授業が面白くなってきました』という。

可愛いなあ。そういう性格大好きでやんす。

バンドの話もよく聞きやしたが、楽しかったなあ、あの頃は。。。

毎朝ドライブしながら行けるなんて、あっしもちょっとした社長気分♪

I君の人生相談なんかもよくしたなあ。。。

今頃どうしてるだろうか?



・・・・・あっしのお陰?とは言わないけれど、彼もその後無事に

卒業単位を取得し、一緒な日に卒業する事が出来やした(^^ゞ

お礼に一冊の文庫本をくれやした。



・・・ごめん。I君からもらった本、どっか行っちゃったm(__)m

(2003・11・22)

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