議員を削れ・・・の声に思う


伊藤まち子
 今、ちまたでは「政治を変えて欲しい」との願いに、この2年半でことごとく裏切ってきた政治に対する怒りの声が渦巻いています。それと同時に「あんな国会議員ならいらない。減らせ」の声も広がってきています。期待が大きかっただけにその落胆は大きくその気持ちも理解できます。
 しかし、しかし・・・です。国会議員を減らすこと、特に比例定数削減がどんな結果をもたらすのかよく考えてみなければなりません。
 政府は国民の怒りを受けてと言うか利用して「国会議員も身を削る」と言う新しいデマ宣伝で、さらに選挙制度を改悪し、現在の比例定数180を80減らして100にしようとしています。
 選挙制度は以前中選挙区制(1選挙区定数5~3)であったものが「小選挙区比例代表並立制」になりました。(小選挙区300議席、比例区180議席)そのことによってどのようなことが起こったか。議席には結びつかない「死に票」のヤマができる一方で、「4割台の得票で7割の議席を得る」という小選挙区が土台となって2大政党特に第1党がボロ勝ちになります。実際に前回衆議院選挙の小選挙区では民主党は得票率47.43%で73.67%の議席占有率221議席でした。
 一方国民も選択の自由を奪われています。例えば「原発を廃炉に!」は国民の8割以上が願っていますが、自分の大事な1票を議席に結びつけようと思えば、選挙の際「原発推進」の2大政党を選ぶしかないという矛盾を抱えることになるのです。
 本当に民意が反映される480議席をすべて比例配分すれば共産党は9人の議員が34人になります。一方民主党は204議席のはずなのに308議席、何と104議席もの水増し議席を得ているのです。選挙で議員を選ぶと言うことは国民の思いと政治がかけ離れている状況を変えるチャンスです。「国会議員を削れ」と言うことは私たちの民意が削られると言うこと、特に比例定数の削減は選挙制度の中でほんの少しでも民意を反映している部分を切り捨てる事になります。
 また、「日本の議員は多すぎる」と言いますが、OECD諸国の中では下から2番目です。さらに「ムダを削れ」と言うのなら私たちの税金を分け取りしている政党助成金320億円こそ削るべきです。国会議員80人を減らしても56億円にしかならないのです。政党助成金は使途が決まっていませんから湯水のようにマスコミの宣伝費に使ったり、遊興費に使ったり乱費されています。そのことをマスコミも含め口をつぐんでいます。
 比例定数を削減し、「ムダを削る」のではなく「民意を削り」、独裁的な権力を握りたいという策謀を許してはならないと思います。

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