いつか見た青い空

いつか見た青い空

時が告げる十字架  ~神様の数え歌~



前回も記入した通り、私の主義、主張を押し付けるものではなく、

こんな体験をしている人もいるんだ~ぐらいの感覚で読んでください。

それでは、お楽しみください。

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美帆のアパートに向かっている直樹の携帯にメールが入った。

「たいへーん!鍵がなーい!」

どうせ、寝坊でもして焦っているんだろうと思い、アパートに向かった。

アパートの前に車を止めて何気なく、2階の美帆の部屋の玄関を見ると、そこには

かなり年老いた老婆の霊が立っていた。直樹の視線に気づいた老婆の霊は何かを

つぶやきながら消えていった。直樹には

「気をつけて・・・」

と言っていたように感じた。悪い霊気は感じなかったが、明らかに直樹が来るまで

そこで待っていたような感じだった。

「何か、ありそうだな」

そう思いながら階段を上がっていった。美帆の部屋をノックすると、美帆が出てき

た。物凄く慌てている様子だった。

「大変、鍵がないの。いつもテーブルの上に置いてあるのに、おかしな夢も見るし・・・、ねえ、直樹、変な霊、憑いてないよね?」

「鍵がないならしょうがない。時間を遅らせようか。ところでおかしな夢って言ってたけど、ひょっとして老婆が出てこないか?」

きょとんとした顔で美帆は答えた。

「どうしてわかるの。確かに去年亡くなったおばあちゃんが夢に出てきて、子供の頃の私と遊んでいるの。すると、いつのまにか、大人になった今の私が出てきて風景が今から行く渥美半島の伊良湖(いらご)岬の岸壁に立っているのね。そして、肩をたたく人がいるから振り向くと夢から覚めるの。今日で三日連続よ。あっ、あった。直樹あったよ。雑誌にはさんであった。かなり遅れたけど出発進行!」

直樹は明らかに今回の一泊旅行に対する守護霊からの警告だと思った。鍵がなかっ

たのは外に出さないためだろう。なら、なぜ、鍵が出てきたのか?直樹が今回の出

来事に気づきつつある事で美帆の守護霊が動きやすくなったのかもしれない。直樹

の守護霊からは何の警告もない。おそらく直樹自身には関係のない事なのだろう。

こうして、直樹と美帆は予定より50分遅れて美帆のアパートを出た。車に乗り込

む時、直樹は再び美帆の部屋の玄関を見た。やはり、誰もいなかった。

太平洋が展望できるホテルに向かって国道42号線を走っていった。ほぼ直線の道が30キロ程続く。

春にはところどころに菜の花畑ができあがり、春の舞台を演出してくれる。

コンビニも結構道沿いにあるのでトイレも助かる。途中、信号を左に曲がり、太平洋の砂浜に下りていった。

見事なまでに東と西に太平洋と砂浜が広がっている。しばらく、駐車場から太平洋を見ていた

直樹と美帆は車を降りて砂浜を歩く事にした。

「ねぇ、直樹、砂浜を歩くなんて久しぶりだね。私、海が大好きなんだ。空も物凄く青くて、波の音が綺麗で、海から吹いてくる風がとても気持ちいい。ねぇ、直樹、写メ撮ろうよ。」

美帆は直樹に抱きつきながら、左手に携帯を持ち、直樹のほっぺたにキスをした瞬間に写メを撮った。

しばらく、砂浜で過ごしてホテルに向かった。

この後、直樹と美帆に死と隣り合わせの心霊現象が襲う事になる。

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