不思議の泉

不思議の泉

30.丸底フラスコの木と言

30.丸底フラスコの木と言の葉の赤ちゃんたち



ゴーヤ寺の僧侶に教えられた道を進んでゆくと、

銀狼、若い物書き、キャンドルの妖精は分かれ道に。

行く手は3本の道 : 樹々の4番目の道しるべ。

若い物書きがふと口ずさみました。


       僕らの行く手はみえない unknown ways

               こたえのない分岐点。

       明日へのねがいへと、僕ら、いまを積みあげて手をのばす。

       情熱の火のうえ、丸底フラスコの実験を繰り返して。

       歩むことに疲れて lay down

             バランス崩して吐き出す公式。

       フラスコの中に僅かに残った、透きとおった液体。

       浮いては沈む心を、コトバにしようとするけれど。

                  No way

             、、、すくいとれないよ、、、


「『分岐点』という以前書いた詩です。」 すこし恥ずかしそうに、若い物書き。

ダン・ダタ・゙ダンダ♪

ロック調のメロディーをつけて歌いだす、銀狼。
キャンドルの妖精も加わって。

ダン・ダタ・゙ダンダ♪
    ダン・ダタ・゙ダンダ♪ダン・ダタ・゙ダンダ♪

若い物書きも加わって。

ダン・ダタ・゙ダンダ♪
    ダン・ダタ・゙ダンダ♪ダン・ダタ・゙ダンダ♪
        ダン・ダタ・゙ダンダ♪ダン・ダタ・゙ダンダ♪ダン・ダタ・゙ダンダ♪


    ―――きゃっきゃっパチパチ、拍手喝采!―――


何者かと見やれば、、丸底フラスコ を 抱えた木 に。

フラスコの透き通る水 に 〈 ぷかぷか 〉 浮ぶ 言の葉の赤ちゃんたち。

キャンドルの妖精がのぞきこむと、「バブバブ。バブバブ。」とおしゃべり。

「まぁ、かわいらしい! お日さまにあててほしいんですって。」

1まい1まい、ヤサシクすくいとって枝に。



すると…、言の葉たちは 〈 みるみる 〉 大きくなり、

          丸底フラスコの木を 〈 ざわざわ 〉 揺らして、

                    フラスコの水を 〈 ふつふつ 〉 沸きたたさせて。



                          蒸気の靄がただよえば。。。

                    あらわれいでたる、松の緑。四本柱の能舞台。

                       キツネ鼓て、ウサギ大革、タヌキの太鼓。

                          シカがふくふく能管のふえ。

                           地謡かしこむクマとウマ。

                     シテは白鷺、まいおおぎ、とんとんくるりと足捌き。

                          魔法の羽を、かくされて。。。



すると…、言の葉たちは 〈 わさわさ 〉 謡いだし。

            「金の羽は、二の次に。銀の羽も、二の次に。

             魔法の羽は、いずこにありや。」





そこまで謡うと、言の葉たちは 〈 凪のように 〉 静まり、

能舞台は 〈 たちまち 〉 蒸気に戻り、

蒸気はフラスコの口に 〈 すーっと 〉 吸い込まれてゆきました。



若い物書きが言いました。

「二番目の道の次の道に、金銀の羽がある。

 これは、両端の道に金銀の羽があると謡っていたのだと思います。

 それなら、真ん中の道に魔法の羽はあるということになります。

 つまり、捜しモノは真ん中の道にあるという意味ではないでしょうか。」






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