「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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島流れ者 - 悪意なき本音
ルームメイト探し、更に難航の巻
しばらくはやっぱり私とジャックよりも若い女性で、出来れば学生が良いと思っていたので、男性からの応募を断っていたが、なかなかうまく行かない。そもそも女性はカップルと住むことをあまり好まないので、(私も独身のときにカップルとは住みたくなかった)なかなか電話が掛からない。それでもたまに女性からの電話があってもペットを飼っているとか、私達の条件に合わないような人だったりする。
ある女性は、最近手首を故障して、仕事を休んでいる最中。現在は仮住まいとして友達のところに身を寄せているという。年は多分私達よりもちょっと上のようで、とても華奢な神経質そうな人だった。化粧がとっても濃く、玄関で彼女を迎え入れた瞬間に強烈な香水のにおいがむわっとして、一瞬のけぞりそうになるほどだった。
電話で少し話はしていたが、お世話になっている友達が、ほかの州からの家族をバケーションで呼ぶことになっているので、今すぐにでも自分の部屋を探して出て行かなくてはいけないという。あせっているのは分かるが、私がこの空き部屋のことや、ジャックと私の生活パターンなどをする端から、もう自分が入居するつもり、というよりも、自分のものと決まったかのような口調でいろいろ質問をしてきた。圧倒されつつも軽く流していると、彼女は聞いてもないのに自分の状況をべらべらと話し始めた。
それは、彼女は最近結婚したんだが、なんと三ヵ月後に新夫に気が変わったから分かれてくれと言い渡されたという。彼女は結婚前には素敵なアパートで一人暮らししていたのだが、結婚を木に一緒に彼の家に移り積んだという。しかし、離婚が決定となり、持っていた物殆どを売り払い身軽になって仕方なく友達の家にお世話になったのだそうだ。
なんとひどい話ではないか!と同情したんだが、あまりにも私達の探しているタイプの人間ではなかったため、何でそんなことになったのかと、とっても不思議で興味があった聞きたくて仕方ないのをぐっとこらえた。そんなこと聞いてしまったら、きっと彼女に、お涙頂戴劇場を始められてしまって、断るにも断れなくなってしまっただろう。
散々時間を使って見に来させておきながら、非情だとは思いつつも最終的には、‘学生で、私達と生活パターンが逆な人を探しているので’というのを理由にお断りして帰ってもらった。
それから幾つかこの子なら、というのが居たのだが、そういったときに限って別の場所を見つけたので、と言って断られたりとルームメイト探しが難航し、それに加えて私の仕事探しももっと難航していたので、ここは文句を言っている場合ではないと、対象の範囲を広げてみることにした。今までは、完全にシャットアウトしていた男性応募者も、会ってみないと分からないし、実際に住んでみたら女性よりもうまく良くかもしれないと考え直して、OKということにした。
一旦こうして範囲を広げると、反響は一気に二倍以上になった。考えてみたら人口の約半数は男性なんだから当たり前といえば当たり前なんだが。掛かってくる奴らにはいろんなアプローチの仕方があった。面白かったのは、やたらと愛想のいい奴。電話を取った瞬間に、”は~い、僕はXX,ご機嫌いかが?”と、まるでマニュアルを読みながら挨拶するテレマーケターそのもの。そして私の名前を聞いて答えるとこっちが何か言おうとする前に、間髪居れずに馴れ馴れしくも私の名前を何度も口にしながら、自分がいかに私達にとって打ってつけのルームメイトであるかをアピールするのである。さすがにうんざり着て話している途中で、“結構です!”ってまるで煩いセールスマンを断るようにして切ってやった。
そして次には、ネット上のルームメイト探しでの登録者であった。電話の段階では彼の年齢は不明だったが、職業が、何処かの出版社のエディターで、個人的にも本を書いたりするとても穏やかな口調のインテリ風の男性。とても感じが良かったので、取り合えず、来てもらうことにした。
翌朝、この男から連絡があり、残業をしなくてはいけなくなってしまったというので時間を変更した。その後私はいつもの如くのんきに楽天をやり、仕事探しをし、仕事中の友達とチャットをしたりしながら過ごして居るとあっという間に夕方になったので、エクセサイズ用の服に着替えた。
すると、ピンポ~ンと誰かが呼んでいる。この時点で私は彼が来る事をすっかり忘れていたのだ。誰だ?またなんかの勧誘だろうなんて思いながら戸を開けると、四十半ばのメガネを掛けたおっさんが立っている。
“.....?”
一瞬状況がつかめずに立ち尽くす私。
“あ~、XXなんだけど”
なぜか申し訳なさそうに名乗るインテリ物書き
“ああ、ごめんなさい、すっかり...(忘れていたと言いそうになるのを飲み込んで)わざわざ、どうも有り難う御座います。”
すばやく体勢立て直す私。
“じゃあ、早速キッチンから紹介しようかしら...”なんて作り笑いをしながら、この突然な訪問客に(本当は約束してたけど、忘れてたから突然という状態)ちょっと前に食べた物の残骸がテーブルの上に散らかった物をさり気なく片付け、椅子に脱ぎ捨てられたブラをす~っと本で隠し、平静を装って部屋の説明を始めるのであった。しかし、この私のオタオタぶりは、バレバレだったに違いない。
そしてガレージにある洗濯機、乾燥機を見せようと一緒に入っていくと、ジャジャ~ン!三日くらい前に洗濯して、もうとっくに乾いた、ブラジャーが暖簾ように吊るしてあるではないか!そこで、慌てた私は、“洗濯機や乾燥機があるから、コインランドリーに行かなくっても済むわよね!”って適当に切り上げてインテリ物書きをガレージから押し出した。
それから何とか冷静さを取り戻し、家全体を見せて回っているうちになんか彼の視線が気になりだした。それは、私のノーブラの胸に行っているのではないか?ひどいときは、彼の二つの目玉が私の顔を見ながらも、ひゅ~んと下に行くのが明らかに分かるのである。それまで自分がノーブラであったことなんか、彼のアポイントメントと同様、すっかり忘れていたのだ。
彼の視線に気がつき、急に恥ずかしくなったのと同時に、このいやらしいおっさんが気持ち悪く思えて来た。そう思い始めると、変な空想が始まってしまい、彼が私のいない間に下着を漁っている姿や、自分の部屋にこもってエロビデオを見ながら興奮して執筆活動している彼の姿が浮かんでくる。そうなったらますます気持ち悪くなってきた。
私が胸を隠すようにして腕を組むようにして話し始め、しかも、初めとは打って変わって冷たい態度になってさっさと切り上げるようにして居る私に気づいたインテリ物書きは、もうその時点ではちゃんと私の顔を見て話している。でも時はすでに遅し。部屋を気に入った様子の(部屋を気に入ったのか何を気に入ったのか?)彼が一生懸命入居の可能性を探る中、一方的に前述の女性に言ったのと同じを理由で断り、帰ってもらった。
この一連の話をジャックにすると、私のノーブラ状態を見ながら、“ねえ、それじゃ、彼だけじゃなくて、男だったら誰だって目が行っちゃうよ。はっはっは!”って大笑いされてしまった。“別に潔癖って言うわけじゃないけど、あの男の二つの目玉がくぃ~って下に向かったのを見たときは寒気がしたんだから!”って行っても笑いっぱなしのジャックはもっとからかうのであった。
いくらブラが必要ないくらいの平らな胸でも、カジュアルなカリフォルニアだっても、やっぱりノーブラは気をつけたほうがいい。
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