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また、ある虫が発生すると、ある魚種が近海に集まっている、と言う虫との間違いない関連もあります。
小さな島、周りの海から吹いて来る風、虫などの情報は、生きて行く大事な知恵でした。
ひかるが子供の頃、島の収入源は、サトウキビ生産で、サトウキビは、ネズミの格好の餌。
ネズミが繁殖し、その天敵として、猛毒を持ったハブが、大繁殖していました。
ハブは、脱皮をするので、皮を見ると、どれくらいの大きさか、ハブの棲家が、どの近辺かは、子供同士の情報交換で察知出来ます。
しかしハブは、かなりの行動範囲を持っているので、常に心の準備が必要でした。
ハブに噛まれた人を数多く見、ひかるも噛まれる直前の危険な目に何度か遭い、毒の猛威は、嫌という程知り尽くしていました。
噛み所によっては、命に関わります。
昔からの知恵で、島の道には、真っ白い砂を敷きつめてあり、美観の問題は勿論、夜道を歩く時、ハブが発見可能なように出来ています。
石垣の合間から、ハブが出てきた瞬間、本能的に、ガニ股で飛び退きます。
いわゆる、究極の「ハブジャンプ」です。
これは、子供の時から、親に教えられなくても、自然に出てくる行為。
それが出来なければ、猛毒を持ったハブに、間違いなく噛まれていた事でしょう。
上京して間もない頃、歩道を横断中、なにげなしに足元を見た瞬間、ハブが現れ、思わずガニ股、ハブジャンプ!。
自転車で横を通り過ぎようとした、おじさんと、もろにぶつかり、怒鳴られました。
まっすぐ歩けば、いいだろうに!
わざと、やったんだろう!
謝るしかありません。
前方には誰もいない、すれ違う人もなく、見通しの良い歩道。
いきなり、思いっ切りガニ股で、横っ跳びに出る行為は、自転車めがけ、体当たりをして来た、としか思えないはずで、怒鳴らない人は皆無でしょう。
「ハブが出たので、ハブジャンプをしたのですが・・」と説明しても分かってもらえません。
よく見ると、ハブではなく、ネクタイが落ちており、それがハブに見えたのです。
ハブが出るはずもない、アスファルトに覆われた東京のど真ん中で、子供の頃から、命に関わる本能として覚えた、見事なハブジャンプが出てしまったのです。
改めて、ごめんなさい!
ごめんなさい!
ごめんなさい!
(黒島は今、ほとんど牧場となり、ネズミも激減、そのため、ハブもほとんどいません)