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東京のお祭り(掛け声編)



ここでちょっとお祭で気になる事が・・・、それは神輿を担ぐ時の掛け声です。

私が子供の頃は「わっしょい!わっしょい!」でしたが今は「セイヤ!ソイヤ!」に変わってきていることです。

「わっしょい」には深い意味があり、東京下町のほとんどの地域では「わっしょい」がお祭の掛け声でした。
「わっしょい」とは、みんなで力を合せて神を背負う「和を背負う」から「わっしょい」になったが語源という説と、みんなで和気藹々に祭を行おうからから来た説がありますが、どちらも「みんなで一緒に・・」と平和的な掛け声です。
そして、江戸時代中期には使われていたという文献もあります。

尚、韓国語の「ワッシ」(来る)から転じたと言う説もあるが、掛け声とは違うし、その説では大正から昭和にかけて港で働く韓国人労働者から出たものとあるので、それでは江戸時代から使われていた説が消されてしまう、したがって私はこの説は無いと思う。

それに対して「セイヤ!ソイヤ!」はというと、東北地方のある地域には古くから「ソイヤ!」を使っている祭があるらしい、その祭では喧嘩神輿のぶつかり合いで「それいけ、やっちまえ」から「ソイヤ」となり使っているらしい。
また、北海道のアイヌ語で「揺する」が「ソイヤ」と言い、アイヌではフクロウを生贄にする儀式があり、木にくくりつけたフクロウを揺らしながら担いで羽ばたかせ最後は殺すというものでその時に「ソイヤ」が使われていた、そして現在でも北海道で「ソイヤ」をお祭の掛け声などに使っている地域がある。
「セイヤ」の語源は見つからなかった、たぶん「ソイヤ」から転じたものたと推測する。

つまり、東京の伝統的な掛け声は「わっしょい」であり昔は「三社祭」でも「神田まつり」でも使っていたのだ。
あるサイトでは「ソイヤは三社掛け声、わっしょいは深川掛け声」と記してあったが、それは間違いであると言えよう。

ではいつ頃から変わってきたのか?
1960年代~70年代にかけて浅草で若者の担ぎ手が不足して、「祭りの会?」という他からの担ぎ手を呼んで変化したのがはじまり、やがて地元の担ぎ手より多くなりその「祭りの会?」の独自の掛け声が浸透してしまい、やがて東京全域に広がっていった、それに輪をかけたのが20年ほど前の「一世風靡セピア」のヒット曲だという。
「美空ひばり」の曲の頃は、まだ「わっしょい」だったのに・・・

浅草で50年も芸者をなさっているある女性は、「今はあの掛け声がイヤで三社祭は観にいかなくなったよ。」と言っているTV番組を見たことがある。

伝統的な東京のお祭なのに伝統を壊しても盛り上がればいいという考えで行うのはどうかな、もうそろそろ伝統を見直す時期がきたのではないかと私は思う。

尚、「深川八幡祭り」(毎年8月15日前後)の掛け声は、「セイヤ!ソイヤ!」を禁止して昔ながらの「わっしょい」である。

後一つ、近頃は高層マンションが多くなり、上階から神輿を見下ろしている人が居ますが、神輿とは神様を頭上より高い位置で担ぐものであり、昔は2階屋から観ただけで怒られたものです。
それと、ある時代劇で神輿の上に人が乗っている場面を見たが、それもとんでもないことである。江戸時代にそのような事をやる、またはやらせるはずがない。

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