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熱い夏が続いています。久しぶりに続きを書いて見ました。
青春の戸惑い (三十八ページ)
ヒロシ達を乗せた車は、道路沿いのガソリンスタンドに立ち寄った。が、男たちは誰も口を開こうとしない。顔を止め、目だけが辺りを伺っている。
ヒロシは大声をあげ、助けを呼ぼうかとも考えた。だが、男たちの放つ威圧感が恐怖を覚えさえ、ヒロシの動きを押さえ込んでいた。
車はガソリンを入れ終えると又走り出した。ヒロシはこの後どんな事になるのか予想もつかなかった。「なるようにしかならない な」ヒロシの心に諦めに似た感情が生まれていた。
車は、コンビニの横を左に折れ、随分前に建てられた感のある、薄汚れたマ ンションの前で止まった。
「降りろ!」
ヒロシは、男たちに車の中から引き摺り出された。
「逃がすんじゃねぇぞ」
坊主頭の男が、ヒロシを取り囲んだ男たちに言った。
ヒロシは、肩を突き飛ばされながら玄関のエレベーターの中に押し込まれた。
男たちが目指す部屋は三階にあった。色の濃いサングラスをかけた男がドアの鍵を回すと、ガチャリとつめたい鉄の音が辺りに響いた。
ヒロシは、家具が一つも置いていない広さ六畳ほどの畳の上に正座させられた。隣の部屋には絨毯が敷き詰められ、生活の感じがする。
「これからお前の指の値段を決めるからな」
目付きの鋭い、額の両側が禿げ上がった坊主頭の男が、ヒロシに向かって言った。
ヒロシが、坊主頭の男が言った意味が分からないでいると、
「おい!早くしろ」
と、坊主頭の男が、手首に金のブレスレットを填めたキザな男を急かした。
キザな男は不貞腐れた態度で立ち上がり、隣の部屋からまな板とドスを持ってくると、ヒロシの前に置いた。
「おい、この前詰めた指が冷蔵庫にあったろ、それを此処に持ってきてみろ」
坊主頭の男は、胡坐をかいた太股に右肘を乗せ、銜えタバコを噛みしだきながら指図している。
部屋の柱に寄りかかっていたサングラスの男が、一本の瓶を持ってきて坊主頭の男に渡した。
「この指は五十万やった」
坊主頭の男は、瓶を顔の前で持ち上げ、翳しながら言った。
瓶の中を覗きこむと、爪の付いた小さな肉片が、薄黄色した液体の中でユラユラと漂っている。
坊主頭の男が言っているのは、指を詰めるか五十万のお金を払うのか、どっちかにしろということだった。だが、ヒロシは指を詰めることも、お金を払うことも考えてはいなかった。この場をどうやって切り抜けるか、それだけで頭が一杯だった。
続く